音楽放談 pt.2

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響き渡る反響―Massive Attack「Mezzanine」

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大分季節も深まってきて、そろそろ本格的な秋が来る気配である。

いい季節だと思う。

でも、そう思っている内にいつの間にか冬になっている。

秋が恋しくなるのは早い。

でも、私は基本的に秋から冬にかけてのこれからの季節が一番好きである。

12月の少し前くらいが一番いいね。

年の瀬のお祭り騒ぎには着いていけないので。


さて、冬と言えば、聴く音楽でもやや静かなものが心地よくなってくる。

夏はそれこそメタルみたいなガンガンギンギンした奴も、暑さを乗り越えるためのひとつの方策であった。

でも、やっぱり冬は静かに、動物たちも冬眠するような季節ですから。

で、静かにと言うと、どういうものが想像せられるのか。

一概に静かな、と言っても、色んなタイプがあるからね。

とにかく静まり返って空間だけがそこにあるような静けさも、あるいは遠くに騒音がかすかに聞こえる位の静けさ、あるいはゆったりした時間の流れる静けさ。

まあ、感覚的に違うかな?と思ったので挙げてみましたが、あんまり変わんないか。

それは人それぞれということにして、私に関して言えば、どんどん小さな世界に押し込められて、感覚の及ぶ半径が小さくなっていき、すごく自分に目を向けさせられるような感覚を覚えることがある。

一人きりの静けさ、見たいなね。

そういうとひどくさびしいようにも感じられるかも知れないが、決してそんなことはなく、むしろそう言う感覚は心地よかったりする。

そう言うときに聴きたくなるのは、どこまでも自分を精神の深いところへ連れて行ってくれるような音楽である。


と言うわけで、大分前置きが長くなってしまいましたが、今日の1枚はそんな冬にしっくりくる静かで深い音楽、Massive Attackの「Mezzanine」である。

彼らは90年代、一世風靡したトリップポップと呼ばれるジャンルのパイオニア的存在にしてその中心にいるバンドである。

打ち込み主体のテクノ系(というよりはヒップホップか)から派生した音楽で、一言で言って暗い音楽ではある。

地を這うような、轟くようなベースラインと、囁くような、ときに頭の中に響くようなヴォーカル、洞窟の中で反響したような音空間。

ものすごく真に迫る迫力がある。

まあ、人によっては怖いと感じるかもしれない。

非常に冷たく、どうしてこんな非人間的な感じの音楽を聴くのかしら、とかね。


たしかのそう言う側面はある。

しかし、その中には、ある種の美感も備えているのである。

聴いていうと、どんどん深みに嵌っていくような感覚になるけど、その向こう側にいるのはより本質的なもののように感じる。

余計なものをそぎ落としていくと、非常に脆弱で、頼りなく、ふとした拍子に壊れてしまうのではないか、と思えるものが見えてくる。

そこには一種の美しさがあると思う。

たとえば花がきれいだと思えるのはその刹那性ゆえである。

それを強く感じるのは、このアルバム中でも屈指の名曲"Teardrop"である。

女性ヴォーカルをフィーチャーしたこの曲は、氷のような冷たい世界を思い起こさせるが、一方で非常にきれいな曲である。

心臓の鼓動のようなドラムも相俟って、えもいわれぬ感動をたたえている。

心が洗われる、ちゅうやつね。

そのほかにも圧倒的な迫力で迫り来るような"Angel""Mezzanine"など、まあはっきり言ってこのアルバムは、アルバムとしてきいても良し、曲個々を見ても捨てなしで、まさに名盤である。


これからの季節は、寒くなってゆく。

人肌恋しいわ、なんてのが世間のマジョリティであろうが、時にはそんなときだからこそ、自分と言うものの深遠と深く交わってみてはいかがであろうか。

彼らの静かで、しかし真に迫りくる音楽は、日常とは違う空間に、トリップさせてくれますよ。


・・・う~ん、うまく締まった、か?