音楽放談 pt.2

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小休止67「俺 in Fuji Rock」


先ほど先だってNine Inch Nailsについてだけ書いた。

それ以外の私の金曜日の足取りを追いかけてみよう!

興味のない人は「戻る」ボタンをクリックしてくれたまえ。


本来であればもちろん平日なので仕事だし、金曜日は内の会社は社員の大半が参加の会議が設定されているため、暗黙に休む事は難しい日である。

しかし、今年は信用のすべてを失っても構わない気持ちで有給を申請。

普段一生懸命働いている俺はすんなり休みを貰ってフジロックへやってきたんであった。


越後湯沢駅へ着いたの9時半過ぎくらいだった。

会場まではシャトルバスが出ており、移動時間は1時間弱を見込んでいたので思いのほか早く着いてしまったな、なんて思っていたのだが、バス乗り場へ行ってびっくり。

既にバス待ちで長蛇の列が出来ている。

すっかりいい天気で暑い日差しが照りつける中、結局1時間半くらいそこで待っていた。

バスに乗り込んだのは11時頃、使い古されたベテランの路線バスは冷房も弱く、ちょっと気持ちがなえた。

会場に着いた頃には12時を回っていて、そこで既に誤算であった。

リストバンド交換でもまた長蛇の列。

どこに行っても並びやがる。

ディスニーランドか!とも思ったが、周りを見ればキャンプ仕様な人たちばかり。

ロックフェスというよりはキャンプフェス、あるいは田植えフェスのようである。

それはともかく、12時20分からSoil & Pimp Sessionsがあったので、そこをライブ初めにと定めていたのだが、この時点で結構きついな、ということが明確であった。

そもそも初めて来るので会場の具合もよくわからない。

交換には思ったほど時間がかからなかったものの、地図を見ながらステージを目指す。

しかし、遠い。

よりに寄って奥から2番目のステージであって、そこに至る過程遥かなる事山の如しである。

実際ここは山だ。

途中でグッズ売り場が見えると、とにかくNINのTシャツが欲しかったので、ソイルを断念、グッズ売り場の列に並んだ。

ところがここでもべらぼうに待つ。

不思議なのは一向に列が進まないのだ。

何故だ、と思っていたが、買う段になってその訳が知れた。

とにかく回転率が尋常じゃなく悪い。

スタッフもバイトの兄ちゃん姉ちゃんなのだろう、必死に動いているが今一。

これでは待たせるばかりだぜ、てなもので、実際2時間くらい待った。

列から離れた頃には14時を過ぎていた。


15時からのSea And Cakeは見逃すわけにはいかなかったので、それには間に合ってよかったよ。

しかしステージは一番奥である。

と、遠い・・・。


ようようたどり着いたステージはまだ人がまばらだったので、かなり前の方へ行けた。

既に日が傾き始めた夕方3時、少し遅れてメンバー登場でライブスタート。

こんなおっさん達だったとは思わんかったが、一体あの透明感ある声のおっさんは一体誰だ?

ドラムにはもちろんジョン・マッケンタイア

カッコいいぜ、ジョン。

そしてヴォーカルは実に無愛想な感じのおっさんであった。

こ、この人の声だったのか!信じられん・・・などとおののいているのも束の間、実際のライブはそれはもう良かったですよ。


彼等の曲は特にテクニカルでもないし、それほど新しい要素が在る訳でもない。

純粋に綺麗な透明感のある良い曲なのである。

でも、それが実によくってね。

少し曇り気味の空を見え上げながら、いつもなら仕事をしている時間、しかも会議に向けてテンションも下がり続けている時間帯である。

それを今日はこんな素晴らしい音楽を聴きながら、大好きな山の中でぼけっと空を眺めている。

なんて幸せなのだろう、しかも夜にはNine Inch Nialsのライブも待っている。

なんて幸せなのだろう。

そんな幸福感に包まれている間にライブは終わってしまった。

ジョンのドラムはやはりかっこ良く、ちょっとおっちょこちょいのリードギターもいい感じ。

ベースはアメリカの映画でガソリンスタンドにでもいそうな体のデカイおっさんだったが、たまに虫を払っている。

ライブは音源で聴くよりもずっと力強くて、でも綺麗な曲は綺麗だし、何よりヴォーカルの声がそれらをうまく夏の空気に染めている気がする。

非常に良質な音楽でした。


Sea And Cakeを見終えて、次はMy Bloody Valentineを見るべく再び山を下る。

その合間にメシを喰う。

ラーメン屋があったのでそこで岩のりラーメンを喰う。

うまい。

お腹もいっぱいになったのでメインステージたるGreen Stageへ。

すでに人がわらわらし始めている。

ここ数年で盛り上がっているシューゲイザーの元祖とあって、やはりそれなりの集客力だ。


ライブはさりげない感じで始るも、早々に例のフィードバックギター。

世界一うるさいライブと評された事もあるバンドなだけにどんなもんかしら、と思っていたが、特に序盤は思いのほかそうでもなかった。

私は元々マイブラってそんなに一生懸命聴いていなかった。

もちろん『Loveless』はもっているし、好きなジャンルではある。

だけど、正直なぜそこまで評価されるのかはわからなかった。

ライブが始まってすぐも、特にテクニックも曲もなんと言う事はない。

良い曲だけど、なにがそこまで?というのが素直な気持ちだった。


しかし、ライブが始まってしばらくしてなんだか不意にこのバンドの本質が見えた気がした。

Kevin Seildsが何故このバンドを組んだのか、何故『Loveless』が生まれたのか。

そして、なんでこの音楽は今も愛されるのか。

このMy Bloody Valentineというバンド自体、ケヴィンがただデカイ音を出す為に作ったバンドな気がする。

そんなばかでかい音を出しつつ、今日まで愛される理由は、一重に彼の美的センスが素晴らしかったからだろう。

極めて純粋な動機に寄って、圧倒的に美しいセンスに彩られる事に寄って、それは普遍的な価値になったのだと思う。

恐らくダメな人はダメな音楽だろう。

だけど、そこにある純粋さはある種の芸術の域に達していると思う。

ふとその事に気がついた瞬間にとても気持ち良くて、これがこの音楽の楽しみ方なんだな、って思ったね。

気がつけば音は更に大きくなっていた。

彼等の3rdアルバムは永らく登場しなかった。

だけど、なんかそもそもこのバンドにそんなものは必要だったのだろうか?

そんなコトさえ考えたね。

ギターの爆音のおかげでヴォーカルはほとんど聴こえなかったけど。


マイブラが終わる頃に雨がぽつぽつと降り始めた。

それまではパラつくことはあってもなんとか持っていた天気も、これは恐らく止まないだろう、と思いカッパを装備したのだが、その途端に雨粒は大きくなり、勢いはいよいよ増して、それまで集まっていた人々はもののみごとに散って行った。

メインステージ前はすっかりガラガラである。

次はBrahman

何故この並びなんだ、と誰もが思ったに違いない。


ライブが始まる頃には人はまた戻っていた。

雨も幾分弱まり、足下がぬかるんだ以外はどうという事はない状況になっていた。

このバンドはアルバムも2枚だが持っているし、曲とかは割と好きだったから、ライブが見られる事自体は嬉しかった。

だけど、とにかく客層が俺はキライだ。

いわゆるロキノン系、タオルを首に巻いてむやみやたらにオイオイいいだすかっこわるい奴らだ。

音楽を聴いているのではなくただ騒ぎたいだけのこいつらを俺は大嫌い。

こいつらを見てるとテンションが下がる。

ライブが始まると決まり事のようにクラウドサーフィンとか始めるし、柵のすぐそばでモッシュとかやるし。

そんな環境なので、ライブにもあまり集中できなかったし、演出としてスクリーンに映し出される映像もなんか今一に思えてしまう。

思ったよりかっこ良くねえな、とか思ってしまった。


だけど、結果的には俺はこのバンドを好きになったね。

何故かと言うと、最後の方で長めのMCを入れたのだけど、そこでは彼の率直な言葉が語られた。

今日の状況(並びね)に対する自虐ネタも入れつつ、こんな風にしゃべるんだ、なんて思ったけど。

彼は3.11以降、そこに対する問題意識を喚起する活動をライブでも行っている。

そうした感性も、そしてしゃべり口調というか、そういうのもブルハのボスとやけに似ていてびっくりした。


で、その長めのMCもずっと客席の頭の上で行った。

その前の曲で飛込んでそのままだったのですね。

MC明けの曲はかなりシリアスな曲で、彼なりのメッセージ性も込めたものだったのだろう。

しかし、その周りのアホどもは相変わらずダイブしてはトシロウの近くに行って粋がっている。

そんな様には目もくれないのがいかにも印象的だったけど、ちょっとした事件が起きた。

ちょうど前屈みに歌って腰を屈めた瞬間、その上を転がって行く馬鹿がいたのだ。

女だったけど、何を調子に乗ったのかそんな愚行をした。

しかもそれだけに止まらず、腰を屈めたトシロウの後頭部付近の髪の毛を掴み引き起こすような格好になったのだ。

スクリーンにでかでかと映し出されたその映像を見て、大半のロックファンは何だあの馬鹿は、バンドのファンでなくても思ったはずだ。

それくらいアーティストに対するリスペクトの欠片もない行為である。

客席に飛込んできた事で何か勘違いしたのだろうね。

しかしそこで痛快だったのが、恐らく反射的な行動だと思うけど、そいつにバックハンド的に肘鉄をかましたのだ。

振り向き様に放ったそれは見事クリーンヒット、前方に流されるとともに肘を食らってそいつは消えて行った。

その瞬間大爆笑したね。

それまでもやたらしがみつこうとする奴や、歌っている目の前でガサガサしている奴らを振り払う仕草はあったから、相当ムカついたんだろうね。

その瞬間、なんかこの人は信用できるなと思った。

全体的にはそんなに好みでもなかったけど、でも俺はファンになったね。

自称ファンのクソが多いだけで、彼は真摯である。

残念なのは、そのメッセージは大半のリスナーには届いていない事だ。

まあ、奴らには耳がないから仕方ないけど。

ともあれ、あの位置でよく頑張っていたと思う。

かっこ良かったよ。


まともに見たのは上記3バンドとNine Inch Nailsで、こうして見るとあんまり見てないね。

途中ベンジーはチラ見したけど。

NINのライブは既に書いたので、よろしければそちらへ。


全てのライブが終わると、早々にシャトルバスへ向かう。

移動距離は長いけど、道は広いから移動のストレスは思いのほかなかった。

しかし、思った以上に夜は寒かった。

雨に濡れた事も在るけど、やっぱり山だよね。

途中おでんを購入して喰ってからバスへ。

今回は準備がちゃんと出来なかったので、当初宿は諦めていたが、やっぱり野宿は辛いかと思い宿を取った。

ちょい高め。

でも、その判断は懸命だったね。

夜は温泉に入ってあったまって、一人でビールをあおってから寝た。


翌朝はまたいい天気、駅付近を散歩しながら、川沿いでしばらく黄昏れる。

昔からよく田舎のじっさまばっさまの家に遊びに行っており、ちょうどこんな山間の川でよく遊んだものだ。

都会には色んな音が在る。

人の声も、車の音も、電車の音も。

そうしたものから一定の土地性みたいなものを感じるのだが、山はどこも同じだ。

川のながれる音があって、虫が鳴いていて、枝葉がこすれる音がするだけ。

きっとこれは日本の音なんだと思う。

そんな中ってのは落ち着くのだよ。

しこうして後、空が曇り始めた。

何となく空気の変化を感じて移動、駅に戻る途中まもなく雷雨。

見事なり、我が感性。

そして駅の温泉に使って帰ってきたのであった。


これまで食わず嫌い的なところがあったけど、フジロックの景観はいいね。

好きだって人がいるのもよくわかる。

これで天候がもう少し安定していれば言う事ないのにね。

ホントは今日も見たいのがいっぱいあったけどね。

あの環境で聴くVampire WeekendとかLITEとかは、きっと気持ちいいんだろうな。

思ったよりもすっと近い場所だったし、また来年もメンツ見て行くかもね。