音楽放談 pt.2

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タイムレス ―Loveless

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先週末のフジロックは実に良かったな。

1日しか行かなかったが、その1日はあまりに素晴らしく、思い切って行ってよかったね。

最もNine Inch Nailsが出た時点で行かないという選択肢はなかったが。

今年のベストアクトの呼び声も高い(はず)の素晴らしいライブであった。

やっぱりNINは俺に取って別格だね。


さて、同日のGreen Stageで昼間っからロックファンの耳目を集めたのは、先にも触れたMy Bloody Valentine

数年前に突如再結成(再始動?)して、その後20年ぶりくらいに新譜も発表。

更に希代の名盤『Loveless』はじめ1st、EP集もリマスター/再発された。

当時の音源はとにかく音が弱く、ドラムの音がほとんど聴こえないものだった。

まあ、コンポなどで大音量であればカバーできるけど、少なくともポータブルな環境で聴くに置いては非常に不向きであった事は否めないだろう。

そこに指してのリマスターなので、新譜並に歓迎されたのは言うまでもない。


とはいえ、個人的なことを言うと元々それほど好きなバンドという訳でもなかったので、何かのタイミングで聴ければいいや、程度であった。

音源の弱さはいつでも感じていたが、そこまでテンションも上がらなかったしね。

リマスターによりどこまで音が化けるのかは興味があったけどね。


で、この度フジロックに行くにあたり、運良く同日に登場という訳でこれは見ない訳にはいかない。

確か2年前だかはヘッドライナーであったわけだが、そこからのトリの前の前、しかも日本人バンドの前とあって、発表時からあれこれ言われていたが。

もっともこの並びはあえなく中止になったRocks Tokyoの影響らしいが。

Toshi-LowがMCで語っていたが、件のイベントの中止によりこちらへ急遽組み込まれたらしい。

彼等もあまりこの時間帯にやる事はないだろう。

音楽性から言っても夜の方がハマるイメージはあるから、どんな感じかなと思ったが、結論からいうと良かったね。


序盤こそなんだか音が弱く感じられたし、「世界一うるさいライブ」と言われたバンドの音の割にはなんだか今一に感じたのですね。

それは当人達も感じていたのか、Kevin Shieldsがスタッフに仕切りに耳打ちしている。

そんな事もあってか、こんなもんかと思っていた。

メロディは綺麗だし、ジャンル的には好きだけど、どちらかと言うとライブハウスとかで聴く音楽だなと思ったのですね。


ところが、4曲目くらいかと思うけど、なんだか級にギターの音が立ち始めた気がして、そこからはたと何かに気がついた気がする。

なんだかこのバンドの本質と言うか、存在意義みたいなものかな。

これも先に書いたのだけど、このバンドはKevinがデカイ音を出すために作ったバンドであるという事。

そして無闇に轟くデカイだけの音で終わらなかったのは、彼の美的センスが素晴らしかったから。

その最大の成果が『Loveless』だったのだと思う。

曲そのものについては特段新しさも感じないし(当時だったらまた違うのかもしれないけど)、演奏技術もなんと言う事はない。

だけど、このアルバムが今日まで評価される理由は、もっと純粋な動機に裏付けられているからだろう。

ブライアン・イーノをして「新しいポップの云々」と言わしめた所以もそこではないだろうか。

もちろん空間を揺るがすギターの音もそうだけど、それはただの手段の話。

このバンドの本質的な魅力ってのはそういうところにある気がする。


その事が不意にわかったような瞬間に、一気にこの音が気持ち良く感じられた。

曲名はほとんど覚えてないし、この時点で『mbv』を聴いていなかったのでその曲は全く知らない中でのライブであったが、そんな事は問題ではなかったね。

流れるようなベースリズムの上を自由に揺らめきながら暴れるギターが実に心地いい。

ヴォーカルは残念ながら音源以上に聞き取りにくいが、そんな事は問題ではないね。

なんだか急に空が開けた気さえした。


そんな経験の後改めてこのアルバムを聴いてみると、私が間違っていた事に気がついた。

今までiPodで聴いているばかりであったのだが、これをコンポで大音量にした瞬間、なんだ素晴らしい音楽じゃないかと。

聴き方が間違っていたね。

この音楽の楽しみ方は、やはり大音量であることである。

こうして聴いてみると、必ずしもリマスターが必要であったのだろうかとさえ思う。

この音楽は、これからもタイムレスに聴き次がれる音楽なんじゃないかなと思うね。

そして、やっぱりこのバンドはライブで見てこそのバンドである。