今日は既に火曜日の気持ちだったが、まだ月曜日だった。
なんだ、この一日千秋感。
そんな日なので、昨日見た映画について。
兼ねてより興味があったのだけど、昨日DVDで買ってきてみたのがかの有名な『Body Snatchers』という映画。
SF小説が原作で、所謂侵略ものの元祖と言える位古い映画らしい。
何せ1956年がオリジナルで、その後幾度かのリメイクが重ねられているという。
私はそこの事情をよく知らずに、目についた其れを買ったらそれはどうやら3度目のリメイク版で、1993年のものであった。
道理でこぎれいな感じだと思ったし、私の頭の中にあったイメージとは違うと思ったのだ。
まあいいやと得意の適当を発揮した結果がこれである。
映画のあらすじをざっくり説明すると、気がついたら隣人が別な人になっていく恐怖を描いているというものである。
物語の展開は各年代毎に舞台が異なっており、この93年verでは父親の仕事の都合で家族揃って軍の施設に引っ越してきた少女が主人公で、家族が変容していくところが主軸になっている。
ちなみに1作目では街の人が少しずつ変わっていき、最期には恋人も変わってしまうという展開、2作目は忘れちゃった。
この物語の一番の恐怖は、見た目には何も変わっておらず、いつもの声でいつものように話しをするのだけど、どこか無感情でそこはかとない違和感を醸しているところである。
宇宙から来たエイリアンが寝ている間に卵のような中から触手を伸ばして、栄養を吸収するようにしてコピーのように出来上がるのだけど、そのシーンよりも一番はやはり本人も気づかない間に自分がいなくなってしまうこと、あるいは自分の近しい人が別の誰かになってしまう事である。
人の本質は見た目ではなくて、その中身だと言う事を皆普段殊更に意識はしないけど実はわかっているよね、みたいな見方も出来るだろう。
私は一体何でこの映画を知ったのかは覚えていないのだけど、そういう設定に興味を持って、その結末はどうなるのだろうと楽しみだったのですね。
で、いざ見てみてびっくりしたのだけど、なんか色々勿体ないというか、不可解というか、やたらクソ真面目な描写っぽい割には展開が突飛だったり、安易だったりして、よくわからないのである。
例えば、冒頭で立ち寄ったガソリンスタンドで主人公の少女がトイレに入ると、そこで謎の黒人が暗がりから突如現れて、物語の確信である「あいつらは寝ている間に襲ってくるんだ!」とかいって来る。
トイレから逃げ延びて、父やらにその事を告げ彼等がトイレに向かうと誰もなくなっている。
ちなみにその黒人は物語中もちょこちょこ出てきて、どうやら無表情を装って侵略者の目をかいくぐっている事がわかるのだけど、物語終盤になるとすっかりいなくなっている。
こいつなんなんだ。
ちなみにちなみに、侵略者達もそいつが自分達と同じなのか元の人間のままなのかは見た目では判別できず、感情があるかどうかの揺さぶりをかけてくる訳である。
他にも主人公の少女が軍の若手操縦士と恋に落ちて、お互いを打ち解け合う風な場面があるけど、そこの感情の推移も不思議。
極めつけは終盤になると主人公とその若手以外は軍の施設の人初め、家族もみんな乗っ取られてしまう訳だが、そこで戦闘ヘリに乗って逃げつつ基地を爆撃しまくるシーンも意味不明である。
ちなみにエンディングは不吉な余韻を残して、結局ハッピーエンドにはならない辺りは良いとも思ったけど。
先にも書いたけど、この物語の面白さは、見た目には判別できない異質なものの存在の恐怖だったり、「大事なのは個ではない、種だ」なんて言ってみたりするところだと思う。
そこに政治的な文脈だったり、存在についての価値観だったり、人間らしさみたいなものがにじみ出てくるところだと思う。
だけど、それ以上に展開が不可思議過ぎて、なんか勿体ないような気持ちになったものだ。
まあリメイクされまくっているから、其れ以前のものと差別化しようと思うとどうしても話の展開にてこ入れするしかなく、そうするとこういうひずみが出てくるのかもしれない。
やっぱり1作目を見たかったな。
ただ、主人公役の女優さんは可愛らしい人でしたね。
それにしても、私はこの映画って有名なのかと思っていたけど、実はそうでもないらしいね。
アマゾンのレビューでも他の名作と呼ばれる映画と比べても明らかにレビューが少なく、またネットで調べても尽く出てくるのはB級という評価である。
しかも私が買ったこの93年版はそもそも日本では未公開だったらしい。
確かにいくら古いとはいえこんな映画が映画館で大ヒットするイメージはないかな。
中古とはいえ500円で買ったので文句は言わないけど、そうだったのかとちょっと驚いた。
まあ、それなりに楽しめたから良いのだけどね。
さて、このブログは音楽専門を謳っており、これまで映画を扱う際は必ず音楽的なトピックを立たせてきた。
例えばサントラとかそういうところでね。
しかし、この映画自体には特にそういう要素はない。
では何故この映画をここで扱ったかと言えば、知っている人は知っているだろうけど、あのRadioheadの『In Rainbows』というアルバムに収録されていた同名の曲は、まさにこの映画がモチーフになっているのである!!
まあ、厳密には原作が、なのかもしれないけど、あの曲の歌詞を読んでもこの物語を下敷きにしているのはわかるはずである。
今年サマソニに来るレディへ、彼等のファンを自称するなら、この映画は見ておくべきではあるまいか。
あるまいか。
"Bodysnatchers"