音楽放談 pt.2

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音楽の求道者 ―XTC

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人がポップだと感じるメロディというものがある。

いわゆるヒットメーカーはそのツボを心得ているが故に売れる曲を書けると言う。

90年代の小室哲哉なんかはそんな発言をして話題になったものだが、そのメロディにも時代性というのがあるのかもしれない。

今聴くと、いかにも90年代的なメロディというのもあるしね。

そんな状況を鑑みて、既に人のポップだと感じる新しいメロディはない、なんていわれたりもしてる。

考えてみると、最近流行の曲でも割と奇妙な曲が多いようにも思う。

急な変調したり、すごく唐突だったり、なんでこんな曲が大衆受けしているのかわからない場合もある。

そういった事実が、先の発言を裏付けているのだろうか、とも思わせる。


そういう発言は、何も最近になって出てきた訳ではないらしく、割と昔からいわれていたとか。

具体的にいつかは知らないけど、昔の曲の方が何故か耳に残る、というのも、それがオリジナルに近い世代の音楽であった為かもしれないね。

しかし、そんな発言に真っ向から対立したのが、かのXTCのフロントマン、アンディ・パートリッジである。

そんな事をいうのは作るも者の怠慢だ、と切り捨てたと言うのは有名な話である(一部で)。

実にかっこいいぜ、アンディ。

彼が職人と呼ばれる所以もそんなところにあるのだろう。


実際彼等の作品は外れなく良い曲が満載である。

まだ全作品を聴いた訳ではないが、今のところこのアルバムは失敗だ、と思ったものは一つもない。

『White Music』『Drums & Wires』『Go 2』『Black Sea』『English Settlement』『Skylarking』『Oranges & Lemmons』そして『Non Such』。

どのアルバムも実に素晴らしい。

もちろんこの中で順位付けする事は可能ではあるが、それぞれがそれぞれの特性もあるので、一概にはいえない部分がある。

最近買ったのは『Non Such』。

彼等の作品の中では割と埋もれたアルバムではある。

時期的にはアンディの神経症が落ち着いた頃になるので、彼等がバンドとしても注目されていなかっただろう。

ストパンクブームも一段落付いていた頃だろうし。


しかし、世間での注目度が=良い曲の指標ではない、という事は彼等が見事に体現している。

このアルバムでも、相変わらずポップな名曲満載である。

曲のトーンとしては『Oranges & Lemmons』のならびになるが、こちらの方がもっと穏やか。

ちょうど今くらいの時期の晴れた朝に聴いていると心地良くて仕方ない。

無条件に気分良くしている、という点で最上のポップアルバムである。

レビューなんかを観ると、このアルバムが一番好きという人も少なくない。


このバンドは日本にも熱心なファンが多い。

イギリスは日本人のメンタリティと似たところが多い為、日本人には英国バンドをより好む傾向はあるらしいが。

日本のバンドでも、ポリシックスなど曲名に彼等のバンド名を使うほどファンである。

しかし、知名度は非常に低い。

ビートルズ級で語られる事もあるバンドなのだが、そんなバンドが売れない理由もよくわからんし。

一部の好き者の為のバンドのようになってしまっているのが残念だ。

とはいえ、恐らく当の本人はそんな事は気にしてなくて、むしろ熱心に聴いてくれている人がいる、という事実こそが重要なはずである。

アンディには名言も多く、その一つで「一生懸命叩き売りのキャンペーンをするくらいなら、ワゴンセールに入っているほうが良い。もしそこから誰かが見つけて聴いてくれたら、それが一番さ。」なんていうのがある。

そんな捻くれた態度が売上げに結びつかない理由になっているのかもしれないけど、彼ほどストイックに良い音楽を作り続けようとする人も珍しいのである。

多分、彼はカリスマ性のある人ではない。

そういう意味でもコマーシャルになりにくいのだけど、本当に良い音楽を聴きたいと思う人であれば、是非聴いてほしい音楽である。


純粋に良い音楽ってなんだろうか、そんな事を考えたときには、彼等のようなバンドが出てくると良いですね。