音楽放談 pt.2

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大人のたしなみ -Kevin Drew

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先日嬉しいニュースが飛び込んできた。

Broken Social Sceneが新譜の制作に取りかかっているとのこと。

前作がすでに6年前である。

もう6年か、と改めて思ったのだけど、その年の個人的ベストは彼らのアルバムであった。

今聴いてもそのキラキラしていながら落ち着きのある音楽はすばらしい。

もっと評価されてくれ。

その年にはフジロックでの来日のみで単独がなく、そのままバンドとしては活動休止状態に入っており、各人の活動に従事していたらしい。

その間に中心人物の2人もそれぞれのソロを出している。

Brendan Cannningのソロは実にひっそりとした感じでリリースされており、日本盤は出ていないのでアマゾンで取り寄せた。

前作以上にフォーキーというか、静かなタッチのアルバムで、いい意味でリラックスした印象の作品であった。

一方でのKevin Drewのアルバムはホステスからリリースされており、日本盤も出ている。

ウィークエンダーで出演しないかな、と期待したけどそれはなされなかった。

それはともかく、バンド本体のアルバムに先だってKevinのアルバムについて。


彼の音楽的なバックボーンの多いなところはPavementのローファイサウンドTortoise的ポストロック的音像というところになると思う。

そこに彼の無邪気さというか純粋さというか、そういう施策や歌声などが非常に魅力なのだけど、ソロ1作目では純粋さのようなものが前面に出た作品だった。

「Pressure Kids」という言葉がひとつのキーワードだったように、幼い日の淡い思い出を大人の視線で振り返るというか、追走するというか、そんな感じの世界観だった。

そこに純粋さへの美しさみたいなものがあって、聞いているとちょっと切なくなるような感じだったよね。


で、2ndに当たる『Darlings』は大人のアルバムである。

全体的に静かなトラックが占めており、前作のような激情のような展開はない。

夜更けに1人で酒でも飲みながら静かに聴いているのが似合う感じである。

音楽的なところでは原点回帰的というか、Pavement的な音像なので、余計にそう感じるのかもしれない。

リリックを見るとそこがやはり一番大きな違いかな。

彼の作詞の特徴だと思うのだけど、イベントのど真ん中にいてそれを自分を含めて客観視するような視点で描かれて居ることが多いように感じる。

他人事の観察というにはすごく暖かさがある一方で、かといってそこまでの熱量がないというか。

熱量がない、という言い方は語弊があるけど、語り口が大人というべきだろう。

大人のたしなみの教授、という言い方がしっくりくるかもしれない。

ただ、そこかしこに滲み出てくる彼の不安感というか、ネガティブな側面がかいま見えるような気がして、その反面的に音楽的なキラキラした感じが際立つようにも思う。


ちなみに先行シングルは"Good Sex"。

~なのがいいセックス、という形で定義付けていくように展開していくのだけど、各パートの最後に「すべてを奪って死んでいくのがいいセックス」という締め方が入る。

でもコーラス部分では「それでもまだ生きている」と歌われるから、ある意味でパートナーとのあり方みたいなものといて捉えても面白いだろう。

ちなみにこの曲で歌われるその定義付けは、なかなか興味深いのでぜひ歌詞も含めて読んでもらえると面白い。

これをただのエロい歌とした捉えられない奴は、多分まだ子供だ。


全体的に歌詞は2人の世界で歌われているものが多く、親密さを感じさせる。

あなたが大好きみたいなよくあるラブソングではなくて、関係性のあり方みたいな視点でのリリックが多いので、それが先に書いた一歩引いたような印象を与えるのかもしれない。

そんな大人なリリックで描かれる大人の恋愛、男女関係を見つつ、音的にも穏やかなので、蒸し暑い夜を彩るには実に心地よい音楽である。

ムードもあるので、ぜひ手にとって欲しい作品ですね。


それにしても、BSSの新譜が楽しみすぎる。

"Good Sex"