そりゃそうだ、彼はフォークシンガーであって文学作家ではない。
しかし、彼の書く詩は文学のそれと言っていいだろう。
実際日本においても彼の書く詩に魅せられて、影響を受けている人は結構な数いるだろうし。
といっても、御年80とか多分そんくらいでしょ。
60年代から活動している人だから、要するに私らの世代にとっても爺さんである。
当然リアルタイムではないし、それどころかクラシックとして聞くようなポジションだ。
とはいっても彼は今も現役バリバリで、日本にもちょいちょい来ているし、確か今年担ってからもZeppツアーをやっておかげさまのソールドアウトだったのではないだろうか。
この年で世界中をツアーしている体力もびっくりだし、そのバイタリティも恐ろしい人だ。
永遠の旅人という言葉がしっくり来る。
個人的には孫の幼稚園に歌を歌いに出た時に、親御さんやそのまた親御さん世代が涙して喜んだのに反して、園児たちには顔が怖くて泣かれたという話。
なんかチャーミングだ。
他にも、若い警察官に職務質問されたとか、そんなエピソードも満載である。
素敵だ。
別にノーベル賞の受賞は面白いトピックだし、こういう現役のミュージシャンが文学賞を受賞するということ自体も稀有なこなんじゃないかと思うし、いわゆるポピュラーミュージックでもそこに表現されるものが本物であればしかるべき評価を受けるのだ、という事実は他のミュージシャンにとっても一つの励みにもなるだろうし、逆に緊張感にもつながるだろう。
いずれにせよ素晴らしいことだ。
なんて偉そうに言ってみても、私自身彼の音楽を熱心に聞いているかといえばそんなことはなくて、2枚しか聞いたことがない。
そこまで咀嚼して聴いているわけでもないので、そんなに語れることはない。
だけど、彼のアルバムの『時代は変わる』については、かっこいいなと思った。
1曲目がタイトル曲でもあるのだけど、この曲だけでも今の時代にこそ政治家先生にもぜひ聴いてほしいね。
この曲はもう何十年も前で、確かに時代は大きく変わった。
だけど、政治家の醜聞はいつの時代もどこの国でも変わらないという現実は、今の大統領選挙をみてもわかるよね。
ともあれ、Bob Dylan、御めでとうございます。
"The Times They Are A Changin"