音楽放談 pt.2

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肉体性の回帰 -LITE

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昨日はLITEのアルバムリリースツアーへ。

先週くらいからスタートしており、全国を回るのだけど、日程的には2日目になるようだ。

だいたい東京が最終日に来る場合が多いけど、最近何かと引き合いも多いwww xなので、会場の都合だろうか。

それはともかく、イベントなんかはLITEの単独自体久しぶりだったのだけど、実は今回もう一つみたいバンドと日程がドンかぶりしており、どっちいこうかな、と迷っているうちにもう一方がソールドアウトしてしまったので、それであればとLITEへ来たのだった。

こう書くと消去法のように感じてしまうかもしれないが、そういうわけではなくて、もう一方のバンドの方が見る機会がイベント含め少なかったし、そっちも新しいアルバムを昨年だして、新しいフェーズに入るタイミングだったからみておきたかったのだ。

1日ずらしてくれたら解決した問題なのに。


さてそんなわけでLITEであるが、最新作『Cubic』は彼らの中ではまたグッとバンドのパーソバリティを広げるようなアルバムになった。

近作ではすっかり初期の刀のようなソリッドな音楽性から変わって、いい意味でオープンで鮮やかな音像になっているわけだが、新作ではさらに新しい要素を入れて華やかになった感じである。

2nd『Phantasia』は2ギター、ベース、ドラムという王道的なバンド編成で徹底的に突き詰めたロック色の強いアルバムで、フレーズなども今聴くと彼らの中では比較的シンプルに聞こえるものもある。

力強いストロークが気持ちいい曲も多いけど、一方で全体的に攻撃的な楽曲が占めていて、その印象はまさにストイック。

私はこのアルバムリリースのライブを見て、1発でやられたのだけど、その後彼らに1つ目の転換期が訪れる。

そこでTortoiseのJohnと仕事をする中で、シンセを導入していくのだけど、その方向性での一つの到達点が『All For The Innosence』である。

このアルバムはサイケデリックな色彩感漂う曲で、色々な動物をモチーフに曲が作られている。

銀盤の音や、シンセ音、もちろん従来的なギター、ベースもバキバキなっている。

このあたりからドラム自体も直線的なフレーズといえばよいのかな、ババババッ、みたいなキレ良い叩き方が増えた気がするな。

非常に物語性を感じさせるもので、アルバムとしても私は大好きである。

ちなみにこのアルバムからコーラスというか、人の声も入っていて、その曲は今ではライブの定番曲になっている。

そこからまた生楽器の比重が増えていくとともに、ギターも複雑さが増してくし、ループを使ったり、一方で楽曲としては非常にシンプルながらアンセムが生まれたりと、原点回帰とこれまでの融合、みたいなフェーズが続いていたと思う。

それが前作『Installation』だったのだけど、このアルバムは一聴するとシンプルで抜けのいい一方で、とにかく複雑なフレーズが多かった。

また実は結構打ち込み主体に作られたアルバムということもあり、ツアーを回る中でスタジオの環境のよくないところでもしっかり再現できるようにという思いが強くなって、彼らの中ではもっと生楽器で表現できることを追求しようという方向性にむかったらしい。

ライブをしながら練っていった曲も多く、"Else"のように実は数年前にライブで披露されて、「反応がよかったら、次のアルバムに入れます」なんていっていた曲もあったり。


こんな感じで練り上げられた『Cubic』だが、このアルバムではゲストアーティストとしてSoil Pimp &Sessionsのタブゾンビ、ヴォーカルとして根元さんが参加、さらに武田さんも歌うという彼らにとっては大きな新機軸を出している。

ジャケットやアー写、今回のライブ演出含めてコンセプチュアルに組んでいて、『All For ~』とは違うい意味で鮮やかな印象である。

というより、彼らもいっていたけど立体的な感じかもしれない。

単純に音としての要素が増えたということは大きいかもしれないけど、これまで電子音的なものが重なる中で積み重ねるよりも、生の要素が増えたことがその要因かもしれない。

かの山下達郎が「コンピュータの音はいくら重ねても厚みは出ない」みたいなことを言ったらしいが、人力ならではの迫力ってやっぱりあるからね。

また武田さん歌唱の"Warp"は、曲や楽器のフレーズはアルバム曲中随一に複雑というか奇妙だったりして、ヴォーカルトラックによるわかりやすさとどこかバランスを取るような思いもあったのだろうか。

そうした派手めのトラックの合間には実験的な色の強い曲も多く、ただヴォーカル曲も彼らにとっては実験的な曲なので、実はこのアルバム自体実験的な1枚になっている。

私のアルバムを聴いた第1印象は「いろいろ試して見たんだな」というもので、とっ散らかっているというか、統一感がないというか、そんな感じだった。

打ち込みだけみたいな曲もあるし、歌っている曲もあるし、従来的な彼ららしい曲もあるし、ゲストヴォーカル曲は割とわかりやすいロックな曲だったりもするし、トランペットも鳴っているし。

アルバムとして10曲40分未満と短い中でこれだけ詰め込まれているので、余計にそう感じるのかもしれない。

今回のライブでどうしよっかな、と思っていた理由の一つは、このアルバムのとっちらかった感じだとライブとしては曲単位で披露していくようなものになるようなイメージがあったし、その前にすでに何曲か曲単位では聞いていたので、あえてここでまるっと聴く面白さっていうところまでイメージできず、それであればという思いがあったのですね。

このアルバムはこのアルバムとして一つのコンセプトがあって、それは多分楽曲を貫くものではなくて作り方とかその周辺的なことを含めていたので、見る視点が違うととっちらかったという印象になったのかもしれない。


で、ライブである。

今回は新譜の曲を軸に組まれたセットリストだったので、なんだかすごく新鮮だった。

アルバムで聴くよりもやっぱりライブになると肉体的というか、生演奏の力強さが実に気持ちよくて、意外な感じがした。

ゲスト曲はちゃんと出てきて演奏するのだけど、良かったのは"D"。

元々即興にも強い人なので、結構アレンジしまくりだったのだと思うけど、トランペットの音が汗臭さがあってすっごい生々しい演奏になっているのである。

そうした客演もあってか、メンバーも終始楽しそうだった。

先にも書いたが今回セットリストも変わっていて、本編ラストはこれまで長きに渡り”1000 million Rainbow”だったが、今回は"Phantasia"であった。

この曲が大好きな私には嬉しくてまらないわけだが、面白いもので曲の印象もかつてのような攻撃性全開よりもいい意味でひらけた印象になるのである。

全体に打ち込み要素は抑えて生の比重の多いライブだったけど、なんかそれがすごく気持ちよくて、正味2時間くらいだったのだけど、本当にあっという間だったな。

なんやかんや彼らのライブはそういう感覚にさせてくれる。

演奏スキルが圧倒的だし、楽曲も複雑だから今何が鳴っているのかを探しながら聞いているから飽きないのである。

念のため言っておくが全然こ難しくないし、なんだかんだ音の強度で単純にかっこいいと思えるし。

非常に満足度の高いライブだったね。


早速次回作の話をするのもなんだけど、次回作でまたコンセプト性を貫いた『All For』的なアルバムを作ってくれることを期待したいものだね。

15周年の節目にもなるようなので、引き続きいい音楽を期待したいです。

"D" ft. タブゾンビ