音楽放談 pt.2

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ベスト盤のあり方 -AA=

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今週は私にとってかなり嬉しいリリースが立て続いた。

今年に入って個人的にはそこまでめぼしい新譜のないスタートだったんだけど、5月以降はかなり増える予定で、それに先立ってテンションの上がるリリースがTha Blue Herb野音ライブのDVDとAA=のベスト盤だ。

どっちも純粋は新作ではないんだけど、前者は実際に行ったライブだし、遠かったので細かなところは見られなかったし、何より台風だったからね。

発売は11日なんだけど、公式サイトで先行販売があり、そこでは特典DVDもつくとあって欲しかったの。

4日の10時に販売スタートだったんだけど、さすがにアクセス過多でなかなか繋がらず。

それでも職場のPCでヘヴィクリックを繰り返して無事ゲットできた。

この土日はそれ見ながら酒飲もうと待っているんだけど、まだ来ないな。


そして今ひとつはAA=のベスト盤。

コンスタントにアルバムを重ねており、すでに5枚、活動10年ということだから2年に1枚はアルバムを出してきた計算である。

Takeshiの活動としてみると楽曲提供や、実は映画のサントラもやっていたりするのでかなり多作な方である。

改めて1stからの楽曲を聞いていると、根っこの音楽性は変わらないし、マッドの延長線上にあるので名義を変えて大きく変わったわけではない。

それでも完成度は徐々に研ぎ澄まされていくような感じはあるが、むしろ大きいのは歌詞の方な気がする。

マッドの時も初期はまっ直線なハードコアパンク全開の攻撃的な歌詞を書いていたけど、それから抽象的で断片的な表現になって、攻撃的というよりはアジテーションに近いような表現であった。

しかし、AA=の近作ではまた社会性のある歌詞が多くなっているし、ライブMCでも自身のスタンスを明確に言葉にすることも増えている。

そもそもこの名義自体が小説「動物農場」からの引用だし、今回のベスト盤の豪華盤ではこの本をオリジナルカバーで同梱させたりしている。

一応小説について軽く紹介すると、出版は1940年、モチーフになっているのは当時社会主義国家としてあった旧ソ連で、社会主義の問題点を皮肉的に描いているんだけど、もっと普遍的な集団のあり方とか人間関係とか、その中でのヒエラルキーの形成みたいなものとか、様々な視点があって実に含蓄に富んでいる。

様々なキャラクタが登場するので、それぞれが何かしらの象徴にもなっているのが見事である。

ハッピーエンドで終わるものではないけど、そうした政治的な皮肉だったりイデオロギーの云々を抜きにしても面白いので、一読の価値は十分にある。


そんなところに端を発しているわけだから、やっぱり主張が強くはなるよね。

音楽的にも近作はよりマッドっぽいと評されるわけだけど、彼の好きなサウンドがこういうのなんだなというのが伝わってくる。

余談だけど、マッドのヴォーカル・Kyonoはワグダグはほぼ休止状態で、ハードコア全開のTCLがメインになっている。

好きなことやってるんですね。


で、このベストアルバム、私はベストアルバムという体裁自体はあまり好きではないんだけど、面白い点は大きく2つ。

一つは先にも書いたようにAA=としてのキャリアを俯瞰的に見て表現の違いを見られること。

反面変わらない部分とか、彼にとってのコアな部分が楽曲としてどれなのかもわかるからね。

1stシングルにして今のライブで定番の"Peace"を最後に持ってくるあたりは、やっぱりなと思うわけだ。

そしてもう一つは再録であるということ。

アルバムタイトルにも『Re:Rec』と題しているだけあって、今回は全て再録するというのが一つのコンセプトであったようだ。

もともと1人で始めたプロジェクトで、ライブ用にバンド形態をとっているけど、基本的にメンバーはほとんど変わっていないし、ライブの本数も増えてきているので、そういう現場での音を重視したとか。

なので、単なるスタジオで録音してリアレンジしてとか、リミックスとかではなくライブで演奏している音を落とし込んだというものなので、半ばライブアルバム的でもある。

実際今回のレコーディングはせーので演奏して録ったそうだ。

そんな背景もあるので、ロックバンドのライブ的なダイナミズムみたいなものもあって、それも聴きどころである。


初めましての人にはどんなバンドかをしるのにちょうどいいし、ライブ定番曲満載でライブ的な録音なのでそれを垣間見るにもちょうどいい、実に素晴らしいベスト盤だと思う。

彼の中で音楽的なところは一周した感があるので、これ以降でまたどんな音楽を作っていくのは、ファンとしてはとても楽しみである。