音楽放談 pt.2

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軸のある人 ―Lily Allen

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ここ数年の音楽業界における傾向の一つが、女性アーティストの台頭であろう。

Lady Gaga、Little Boots、La Louxあたりはエレクトロ系女性アクトとしてロック側からも注目を集めている。

ガガはファッション誌始め、地上波でも大々的に取り上げられているので、恐らく日本における認知度はもっとも高いだろう。

Little Bootsは今年のサマソニで見たが、曲はポップでライヴもかなりおもろかった。

何より非常にかわいらしい風貌ながらその落ち着いたインテリジェンスな佇まいが個人的には好きである。

ルーはちょっとわかんないけど。


女性アーティストといえば、古くはジャニス・ジョップリンパティ・スミス、そしてコートニー・ラヴとか、マドンナとか、ビキニキルとか。

もう少し最近だと、カレンOやシャーロットなんかも女性の憧れる女性アーティストの上位の常連であろう。

更に昨今の傾向の流れを作ったのがエイミー・ワインハウス、Gossipのベス、そしてLilly Allenであろう。

この3組の中でまともに聴いたことのあるのはリリーだけであるが、私はこの子大好きである。

はっきり言って美人ではないし、歌詞の内容などを見ても男としては耳が痛い限り。

しかも歯に衣着せぬ発言などがもっぱらパパラッチの餌食にされ、あまり知らない人に取ってはパリス辺りと同じく若いセレブ気取りの馬鹿女にしか思われていないかもしれない。


しかし、彼女のインタビューなどを読むにつけ、この子は頭はいいし、自分を強く持っているし、なによりぶれないのがよくわかる。

単にでかい口叩くだけの馬鹿ではない。

自分の主張も持っている。

しかも非常にシビアな視点を持っているので、面白いのである。

最近でいえば、何かと話題の音楽のデジタル配信に関する声明であろう。

Radioheadやフロイドのメンバーが、音楽のフリーダウンロードを肯定的な声明を出したのに対し、彼女は「No!!」を突きつけた。

自分の経験も踏まえて、きちんとした言葉で音楽ビジネスにおけるその弊害を訴えたのである。

それに新人、大物問わず多くのものが賛同の意志を表明した。

なんてニュースは一部のマニアしか覚えてないか。


ともあれ、自律的な精神を持っているし、メディアから伝わる破天荒な言動からは想像できないような綺麗でしなやかな歌声をしているのである。

1stは以前既に書いた通り、通して聴くとかなりムラがある。

しかし、今年出された2ndは全体的なトーンが統一されて、曲のクオリティも向上、アルバム通して捨て曲なしの傑作である。

エレポップ調な曲が中心であるが、いわゆるダンス系では全くなく、むしろ静かに耳を傾けていたい心地よさのあるアルバムである。

歌詞は相変わらずの辛辣さがあるものの、一方で妙にほっこりしてみたり、あるいは切なくなってしまうようなものがあったりと、テーマ的にはかなり幅広くなっている。

非常にパーソナルな内容で読めるとともに、政治的なコンテクストも読み取ることの出来る内容である。

でも、やはり何より歌声が良いね。

歌うまいし。

これは良いアルバムですよ。


昔は女性アーティストの曲って全く聴かなかった。

一重に日本人の女性アーティストと世間が呼んでいる連中の世界観がまったく受け付けなかった。

だから、女性アーティストの世界は女の子の為のもの、みたいな事を思っていたのである。

しかし、最近は色々聴くようになったので、もう少し視野も広いんだけど、でも考えてみたら日本人のものは相変わらず聴いていない。

理由としては、少なくともよく耳にする音楽はもっぱら中高生向きの浅いラヴソング(この場合のラヴは恋の方だね)ばかりで、聴いていても良さがわからない。

共感できる、という女の子たちの言い分はよくわかるけど、でもそれは消費される音楽にしか聞こえないのである。

ただ、大塚愛は聴かないけど面白いから嫌いではない。

J-popのラヴソングというと、概ね切ないとかそんなのばっかなんだけど、あの子の書く曲は基本的にポジティヴなのである。

感情がね。

要するに恋愛においても楽しい瞬間、幸せな瞬間を唄った曲が多いのである。

似たような傾向を持つのがaikoだろう。

いずれもカラオケで女の子に唄ってほしいアーティスト上位である。

なんか先述の曲たちは自己陶酔的な側面が強い感じがして気持ち悪いけど、彼女らの曲の場合そういうのがなくて、言われたら、あるいはそう思ってくれたら素直にうれしい、という言葉であったりようすであったりが描かれているように思うのである。

だから男受けが良いんだと思う。


ともあれ、少なくとも下手なロック気取りの馬鹿よりもよほどロック的なアチチュードであるし、バカと思って見下すととんでもないしっぺ返しにあう。

キチンと状況を冷静に分析できるし、そこに自分なりの価値観であったり、あるいは哲学であったりを示すことが出来る。

そういう人が基本的に好きなんだけど、彼女はまさにそうなのですね。

色んな意味でポップスターとして非常に高い異質を持っているのは間違いない。

あまり美人でないというところも、実は大きなポイントかもしれない。

世の女性陣よ、婚活などと言ってないで、彼女の音楽を聴いて、インタビューを読んで、今一度自分を見つめ直すのも良いんではなかろうか。

でも、男には、優しくしてね。