音楽放談 pt.2

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諸行は無常 ―Zazen Boys

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昨日は新木場のHigh Appsというイベントへ行ってきた。

実は定期的に開催しているらしいが、私は初めていったのですね。

目的はLITE、avenger in sci-fiZazen Boysの3組。

他には今話題の若手バンドの出ていたので、イベントならではということで。

この日は天気はよかったが思いの外風が強く結構寒かった。

私は14時半頃に到着して、そこから観始めたのだが、その時ステージに登ったのは男女3人組のPredawnというバンド。

UAみたいな声の女性ヴォーカル兼ギターとウッドベース、ドラムの編成なのだが、始って早々強風でセットリストを書いた紙が飛んだり楽譜置きが倒れたりと大変なことに。

ハスキーヴォイスながら可愛らしい顔した女性ヴォーカルがよくわからないテンションでたまにクラウドに語りかける。

いやぁ、可愛い子を遠慮なく見られるのはいいですね、なんて。


そんな荒れ模様だった訳だが、この日観たバンドをとりあえず総ざらい。

上記バンドに続き観たのはThe Flickersという奴。

打ち込み入れたダンス系ながら独特の間を駆使した楽曲で、ヴォーカルもちょっとラップっぽい感じはRadwinpsとかの影響なのだろうか。


その後ザゼンだったけどこちらは後で。

次いで目的①のアヴェンジャーズ。

音源はいくつか聞いた事があったけど、ライブは初であった。

あの渦巻くような音楽がライブでどうなるかが楽しみであったが、結論からいうと期待とは少し違った。

ライブそものもはよかったし、曲もライブ映えがするから全然文句ないのだけど、一方でもっと音圧上げればいいのにと思ったね。

もっと音がビューーンと渦巻くような空間を作れればもっと独自になれるのに。

音源のイメージとは大分違ったな。


次に観たのはgroup_inou

テクノ的楽曲にラップの載せているのだが、残念ながらヴォーカルが小さくて何を言っているのかよくわからなかった。

曲自体は非常にアッパーでポップだったし、やけにぶっちゃけたようなMCも面白かったが。

ただ、何よりも驚いたのが謎の観客2人組。

明らかに大人しい印象な奴らが、フロアで爆発していた。

周りのテンションとは一線を画するハイパーなテンションで踊り狂っていた。

しかもそのノリが独特で、何故か途中ピッチャーよろしく球を拾って牽制されてしまった。

周りにいた女の子たちも馬鹿受けしていたが、さすがに終盤は飽きていたが、そんな事は構うはずもなくずっと爆発していた。


そして次には今日も主目的LITE。

既に日も落ちた外のステージはすっかり寒くなっていて、待っている間もかなりさぶい。

幸い風は大分止んでいるのだが、それでもまだ春にはなっていない。

メンバーもステージに登場するも明らかに寒そう。

かなり細かなフレーズも満載のバンドだけに大丈夫だろうか、と心配したが、ライブはさすがの一言。

とはいえ、やはり精彩は欠いている印象であった。

セットリスト自体はイベント使用のショートヴァージョンで、馴染みの曲を披露して行った。

今回も井澤さんのベースはブリブリでよかったが、ドラムが少し聞き取りにくかったな。

細かなフレーズを叩くので、こういう環境だと映え辛いのだろうね。


この日最後に観たのは今話題のKANA-BOON

関西の若手で最近非常に注目株ということで、せっかくなので観てきた。

結論からいうと、非常に健全な感じ。

演奏もしっかりしているし、佇まいも堂々たるもの、ライブ運びも大したものだ。

人気な訳もよくわかる。

しかし、すっかりタダレた私の感性には響かなかった。

それにしても、最近デビューしたくらいの若いバンドはラッドの影響とかやっぱり強いのかな。


さて、とりあえずこの日の総括をした訳であるが、今回ザゼンは個人的には初ライブという事もあって非常に楽しみだったのですね。

音源自体は聞いているし、友人からライブの噂は聞いていたのでどんな者かという訳だ。

時間前からメンバーが出て音出しをしているのだが、寒空の下ギターのカシオメンは半袖。

しかしその表情からは今一感情が読み取れない。

その他マイペースな向井、バーテンダーみたいなベース、ラーメン屋の店長みたいなドラムと、なんか濃い。


そんなメンバーを擁するバンドのライブスタート、初っ端は「本能寺で待ってる!」という訳でいきなりきた。

シンプルな楽器のみで繰り出される骨太なアンサンブルがとても気持ちいい。

タイトでドカドカと鳴らすドラムと、体系の割に軽やかな指運びのベースが底をしっかり支えている。

その上で奇天烈なギターがテロテロ鳴っている。

ていうかギター、謎のロボットダンスなど好き勝手に動き回っている。

そして向井がマイペースに情感たっぷりに(?)歌い上げる。

これは痺れるね。

新譜1曲目の”サイボーグのお化け”もやったのだけど、思いつきとしか思えない向井の語りも妙だが、パンツ!に合わせてギターをかき鳴らすカシオメンが健気でキュートだ。

そういえば、”HImitsu ~”ではギタリストによる口ギター(カタカタタカタカ~、とフレーズを模した口頭によるウルトラC)も披露され、なんてシュールな景色だろうと思ったものだ。


このバンドの一番の見せ場は、終盤の向井指揮による謎の音出しだろう。

メンバーが全員向井の方に向き合い彼の挙動に合わせて音を奏でる。

振り方により音の出し方を変えている訳だが、ここでうまくかみ合うかどうかがこのバンドでできるかどうかなのだろう。

とにかくメンバーも楽しそうなのが印象的だし、ハッとかいって声を掛け合っているのもなんかいい。

音楽ってものをメタ的に眺めているような、そんなライブであった。

次は是非単独で観たいですね。


彼等の世界感については理解できない人もいるだろう。

今時点での新譜『すとーりーず』も、個人的には非常にコンパクトな世界のコンセプトアルバムという感じ。

四畳半の部屋で一人で酒を飲む冴えない中年男性の一夜を描いたような楽曲達がすごくいい。

”破裂音の朝”の「朝はもう終わるから」という歌詞も印象的だし、記憶だけで過去を行ったり来たり、酒に酔って悪魔と戦ってみたり、フランクザッパの幽霊を観てみたり、そんな取るに足らない世界をあえて『すとーりーず』とひらがな表記にする辺りがやはり諸行は無常なのだろう。


本来ならもっと書けることも一杯あるが、ライブ兼ねてにしてしまったのでさっぱりしすぎてしまった。

ともあれ、アルバムもさる事ながらそれ以上にライブがすごかったな。

短い時間でも笑いあり、驚きあり、感激ありで、まさにエンターテインメント。

これが音楽だ、と示された気分だね。

また単独も行こう。