音楽放談 pt.2

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変わらず変化していく ―The Velvet Teen

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新規に何か聴こう、と思うとき、何を基準にするであろうか。

基準というか、選ぶにあたって参照するもの、という方が正しいか。

好きなアーティストの作品なら追っかけるのは当然だろうと思うけど、違う奴も聴くようになるきっかけである。

一番大きいのは雑誌とかのメディアの紹介であろう。

@より多くの雑誌でより高い評価を得ていればやはり気になるものである。

導入としては一番多いだろうね。

何せ情報が集まっているんだから。

次にはテレビやラジオで流れているのをきいて、というのだろうか。

これも多いとは思うけど、私に関しては最近はほとんど当てはまらない。

それこそMTVとか見たいのでPVが流れていて、というのが精々である。

その他にも好きなアーティストが名前を挙げていたり、自分の作品に参加させていたり、あるいは直接でなくとも類似性を指摘されていたり、と言った場合であろう。


こういうのはかなり直接的な興味の換気と言えよう。

音楽それ自体に興味を示していると思うし。

でも、最近気になるのがレーベルである。

インディという概念ももはや形骸化しつつあるものの、本質的にインディである連中は消えた訳ではない。

独自のコミュニティを形成しつつ、やりたい音楽をやるために自らレーベルを立ち上げ、そこにシンパした連中が集って一つのシーンを作り出す事だってある。

アメリカのグランジオルタナの頃はまさにそうした時代であったのではないか。


最近では音楽性自体が似た連中が集まって、レーベル=で結ばれうるようなものもある。

例えば今をときめくアメリカンエモ、その代表格たるFall Out Boyのいるフェルドバイラーメンなんてのはわかりやすいエモレーベルである。

個人的には完全に興味の外なんだけど。

私が気になるのはまずなんと言ってもカナダのArts & Crafts。

Broke Social Sceneを始め、FeistDears、Stars、Los Campesinos!など、非常に良質なバンドがそろっている。

このレーベルのバンドは総じてクリアな音楽をやっている印象がある。

何というか、変に強烈な感情ではなく、もっと純粋に音楽を作っているような、そんな感じである。

従って、聴いていて非常に心地よく浸れる。

このレーベルのバンドであれば、いっちょ聴いてみるか、となる確率は極めて高い。

あと、レーベルではないかもしれないがDFA近辺も非常に興味深い連中が渦巻いている。

LCD Soundsystemとかね。


で、最近気になりだしたレーベルは、SIDE OUTというところ。

所属バンドはオマハのバンドが中心で、Cursive、Velvet Teen、Bright Eyes、そして最近抜けてしまったが、かつてはFaintも所属していた。

ここに挙げたバンドはどれも大好きで、非常にオリジナルで刺激的な音楽ばかりである。

特にCursiveとFaintは今一生懸命アルバムを集めている。

でも、今回は彼らではなくVelvet Teenを。


以前から名前くらいは知っていたけど、音楽性も知らなかったし、それほどメディアへの露出もなかったので、結局手を出さなかった。

しかし、最近レーベル買いなんてものをするようになったため、必然的にたどり着いた訳である。

これは聴いておかないと、といって聴くようになったのである。

最初に聴いたのは「Elysium」という奴なんだけど、これはまた別の機会に譲として、今回はその次にあたる「Cum Loud」という奴。


ぶっちゃけこのバンド音楽性を一言で表せと言われても、現段階の私には結構難しい。

アルバムごとに雰囲気やなんやらが違うのである。

そうした変化を次々にしていく事が、彼らが注目を集める一つの要因でもあるようだ。

今のところ編集版含め3枚聴いたけど、どれもを表す的確な言葉はない。

とりあえず現段階での最新作である「Cum Loud」は、非常にアグレッシヴで激情的な音楽である。

で、リスナーレビューでも非常に多くの人が書いていたけど、ドラムが凄まじい。

プロダクションのせいか、やや音が籠ったような感じに聞こえる中で、ドラムだけはやたらと存在感を発している。


彼らは3ピースのバンドであるが、かなり音圧はガンバていると思う。

それこそヴォーカルの声なんかも含めて、特にこの前作ではMUSEっぽい要素も感じられる部分が強かった。

ちなみに初期にはRadioheadも引き合いに出されるように、曲調やヴォーカルなんかがぽいな、という部分があった。

でも、今作ではそうした部分はもはやなく、純粋にTVT(と略される)の音、といえるモノになっている。

前作までがそうでない、といっているわけでないよ。


と、ここまで書いたが、まだ曲個々について書けるほど聞き込めていないというのが正直なところである。

ホタ書くな、という話かもしれないが、勘弁してくれ。

書こうと思ったのには訳がある。

既に書いたレーベル買いが結構ヒット率が高い、という事と、彼らはいい、という事、更にアートワークが面白い、という事である。

彼らのジャケットアートは非常に凝っている。

普通にパッケージデザインがかっこいいというだけでなく、裏ジャケも変形させてあったり、帯が少し特殊な感じだったり、あるいは普通は裏面にもってくる面を表面にしたりと、毎回趣向を変えていてこれを見るだけでも面白い。

デジタルダウンロードが普及するに従って、そうしたアートワークはある種マニアのためのものになりつつあるが、彼らの場合そういしファンサービ的な要素でなく、より純粋にアート指向なのである。

これはぜひ一度チェックしてみてもらいたいね。

毎回それだけでもまじう楽しみだもの。

それで音楽も前作とは違うんだから、彼らに期待するファンの気持ちは非常によくわかる。

しかもどれも外れないし。

こういう面白くていいバンドがいる限り、まだまだ音楽は死なないね。


それにしても、このレーベルのバンドは、多分全員がオマハというところ出身で、バンド間のつながりも非常に密である。

その辺の関係性はArts & Craftsにも通じるんだけど、彼らの場合所属バンドの音楽性が非常に多様なのである。

Cursiveは結構エモ的要素が強いが、Faintはゴスなエレクトロ、Bright Eyesはフォーク的だし、TVTは一番ロック的な音楽性であるが毎回がらりと表情を変えるし。

なんだろう、この異端集団は。

彼らはそれぞれで別プロジェクトも普通にやっているので、それらもまた非常に興味をそそられるものがある。

こういうのを掘り下げていくのも、アメリカンインディの楽しみ方の一つであろう。