音楽放談 pt.2

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甘美な絶望感 -Syrop16g

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仕事でずっと一緒にやっている奴がいるのだけど、先日その彼がふと最近悩んでいるというようなことをいっていた。

内容としては、20代後半になって自分のあり方を色々と考えているというものだった。

話の発端は、もっと勉強してけばよかったと思いますと言い出したので、それを掘り下げていく中で出てきたのであるが、仕事をする中で頭いいなとかそう思う人と接することや、あるいは近しい友人が一念発起して身を立てたという事実がものすごく刺激になったという。

私も20代後半の時は何かと焦っていたし、そのせいでよくわからないことを色々手を出して見たりしていた。

根本の価値観として、彼は何かしら爪痕を残したいという思いがあり、その中でいまの仕事環境のままでいいのか、ということがあるようだった。

彼のいっていることはなんとなくわかるし、今彼が置かれている環境をみるとその気持ちになるのもわかる気がした。

とはいえ、彼が今ベストの動きをできているかといえばそうでもないだろうという部分もあるわけだけど、それを説教くさく指摘しても意味ないし、何はともあれそういう思いを持っていることは一緒に仕事をしている身からすると頼もしくもある。

近い将来彼は会社を辞めるかもしれないけど、それはそれでいいことかもしれないしね。


私は人生に対して、いわゆる虚無主義的な態度である。

基本的に生きていること、存在そのものに意味はないと考えているということである。

かといって人生そのものに投げやりなつもりはないし、結構頑張って生きている。

そのモチベーションは、だからこそ何か価値を示してやるという思いなんだけど、これを積極的な虚無主義っていうらしいですね。

かたや消極的な方を、だから何をやっても意味がないみたいな感じでだらだらと過ごすことをいうようだ。

私もできれば後者の感じで開き直っている方が多分楽なんだけど、それがどうにもむず痒くなるような時があるから、結果気張ってみるのだろう。


音楽を聴いている中で、特に日本語の曲ではその歌詞の意味も直接的にわかる分その価値観とか考え方とか、そういうものが好き嫌いを分けることがやはりある。

私はあんまり恋愛ソングはわからなくて、どちらかというと人生観とかそういうものが反映されているものの方が好きである。

で、先日今更ながらSyrop16gを聴いて、ふと思うところがあったのである。


このバンドは一応メジャーデビューもしているんだけど、存在としてはインディバンドに近いだろう。

様々な書評をみると、評価としては一律に「暗い」というもの。

一番の特色はその歌詞によるようで、長期間活動休止期間があって、数年前に活動再開したもののまた活動休止に入ったらしい。

いわゆるカルト的な人気のバンドで、好きな人は取り憑かれたように聴き続けるという類というから、かなり力のあるバンドなのだろう。

似たような系列としてはArt-SchoolThe Novembersあたりが音楽的にも近いとか。

この2バンドはすでに聴いたことがあるし、後者については徐々に表現のあり方が変わってきており、すでにその系列にはないと個人的には思っている。


私は暗い音楽って別に嫌いじゃないから、一度は聞いてみようと思って買ってきたのですね。

実際に聞いてみると暗いと言われる理由はよくわかる。

曲だけで見ればオルタナ的なロックでかっこいいし、メロディもいいんだけど、歌詞を見ていくとなんというか、先の虚無主義的な言葉が並んでいる。

それこそ厨二病と揶揄されるようなやつ、具体的には中学・高校生時代の私のような奴らがブツブツといってそうな言葉が並んでいる。

エヴァンゲリオン的なところもあるかもしれない。

表現として見れば、多くの人が何かしら装飾を施そうとしたり、あるいはそれを踏まえて前向きさをぶつけてくるような形にする人が多い中で、彼はそれをせずただそれをそれとして語っているような感じだ。

言い方は悪いが、愚痴みたいとも言える。

世の中の綺麗事に対する息苦しさみたいな感覚もあるかな。

でも、この手の話は周りにしても面倒臭がられるし、頭でっかちの理屈屋と言われるだけなので、周りの人には言わないことの方が多いだろう。

聞いている方も楽しくはないしね。

そういう中で鬱々としている人には、共感というか、ある種の安心感を覚えさせるものなのだろう思う。

「やっぱりそうだよね」「自分だけ特殊じゃないんだ!」「わかってる人がいる!」みたいな、いわば代弁者というやつだ。

こういう表現は広く好まれるものではないと思うので、それだけに彼らの存在が稀有なんだろうなと思う。


ただ、少し気になるのはこれを聞いているファンってどっちなんだろうと思うのである。

まだアルバム1枚しか聴いていないけど、多分この人は基本的に虚無主義的な価値観の人だと思うけど、消極的か積極的かといえば、多分根本は積極的な方だと思う。

でなければこんな音楽なんてやってないだろうし、ましてメジャー契約なんてしないだろう。

しかし、歌詞だけ見ればほぼほぼ消極的な方に思えるから、受け取る側はそういう人が多いのかなという気もする。

ちなみに、私にもし日常会話の中で「人生なんて意味ないんだよ、へへへ」とかいう奴がいたら、「で?だから何?」としか答えられない。

そんなことはわかっているから、今更それを声高にいうことになんの意味もないと思っているし、その中でお前はどうするんだ、ということ以外に何もないだろう。


一応言っておくが、彼らの曲自体を否定するつもりは全然ないし、それに共感することを否定するつもりもない。

もしそれで少しでも気持ちが安らぐなら、それはそれでいいことだし、それは音楽の大きな価値の一つだと思うし。

だけど、そうした状況にただ身を任せて皮肉っぽいことを言って酒で流すようなやつは、やっぱり好きじゃないなと個人的には思う。

現に多くの人に価値があると思われる人は世の中にたくさんいるわけで、それはその人が切り開いたからある状況なわけだ。

一般的な、普遍的な人間の価値がなくても、俺にはあると言えるだけのものを示すのが人生だと思っているので、私は彼らの表現にはあまり共感はできないかなというのが正直なところである。

ただ、彼の考え方とか価値観みたいなものは、よくわかってしまうような気がしている。

"ex. 人間"