
私はそんなにアニメを熱心に観る方ではないし、そんなに深い興味があるわけではない。
有名どころも知らない場合が多いし、特に興味を惹かれることもない。
別に嫌いというわけでは全然なくて、見始めると面白いじゃないと言って全部見ようとするのだけど、今って本当にいっぱいあるから正直よくわからないというのもある。
そんな私であるが、昔なんとなく見るようになって、今でもたまに思い出すアニメがある。
Sci-Fi Harryというアニメなのだけど、ご存知の人はどれくらいいるだろうか。
ネットで調べてもあまり多くのレビューは見かけず、評価的には明らかにカルトアニメの類である。
ただでさえアニメに疎いくせになんでこんなカルトアニメを知っていて、しかも今でもよく覚えているのかは謎だが、知ったきっかけはその頃ちょうど飯田譲治の『Night Head』の小説を読んでいて、それで面白いなと思っていたところにちょうどこの人原作のアニメがやっている、というので録画して見始めたのである。
深夜アニメだったのですよ、当時はまだVHSでしたしね。
その頃録画していたテープもまだ残っているのだけど、見始めたのが4話目くらいからなので、物語のスタートは当時はよく知らなかった。
その後コミカライズ版も出たので、そこでようやく全容を知ったのだけど、当時なぜそこまで見ていたのか、今にして改めて考えるわけだ。
なぜ今更かといえば、この間またふと思い出して、アマゾンでDVDを買って今見ているから。
7巻セットかと思って買ったら6巻セットの間違いでした、という話であって、先ほど7巻を追加で発注したところだ。
今週の土曜日にまた観よう。
さて、このアニメであるが、ストーリーをさっと説明すると、ある気弱でいじめられっ子のハリーが、超能力に目覚めるところから始まる。
ある日クラスメイトにいじめられていたところを、同じくクラスメイトの女の子に助けてもらい、そのまま彼女の家でテレビを見ている時に、超能力番組でスプーン曲げを試しにやって見たところ、できてしまったことで彼の人生は動き始める。
彼女の応援もあって、彼は超能力の練習をして、次第に自信を持ち始める。
そして、テレビ曲にその映像を送ったところ、出演が決まり、彼はますます自信を深めるのであるが、時を同じくして、周辺では奇怪な事件が多発していた。
突然首がねじ曲がって死ぬ人が多発したのだけど、そうした事件とテレビ出演によって、彼はとんでもない事態に巻き込まれていってしまう。。。
このアニメに出てくる登場人物は、それぞれに闇を抱えており、ハリーを中心とした事件をきっかけにそれらが出てくるとともに、少しずつ成長していく。
もちろん主人公のハリーもそうだし、彼を助けたクラスメイトのキャサリンもいわゆるいい子であろうとするばかり自分に無理が生じてしまい、弟のエリオットとの関係性もギクシャクしていたがそれも徐々に誘拐していく。
また物語の中盤以降で大きな存在となるジノリという超能力を持った少女や、彼女と深いかかわりのあるマザーという人物、当初は悪役として登場した人たちも含めて、みんながかかわりの中で自分を見つめ直して、成長していく。
物語の核心と言えるのは主人公のハリーとジノリという2人の超能力者なんだけど、彼等は2人とも孤独だった。
ハリーはいじめられてばかりで、やっと人に必要とされていると思ったのに、結局超能力という特異性に惹かれただけで、彼という人間自身が求められているわけではなかったことに気がつくのだけど、一方で彼自身が甘えるばかりで主体性がなかったところに、最後にはようやく自分を突き動かすだけのものを手にいれていくことになる。
一方のジノリは、そもそもある実験によって作られた人間で、元々はある研究者と恋仲にあったが、その人間に多大な裏切りを受けたことで人を信用しなくなり、まして超能力という得意な能力を持つがゆえに誰からもまともに見られない存在であった。
最後は2人がお互いの存在を掛け替えのないものとして感じるようになり・・・という感じ。
基本的にはサスペンス的なジャンルになると思うのだけど、根本のテーマは人間の根本的な欲求というか、存在価値みたいなところが一つのテーマになっていると思う。
それこそ思春期的な思考だと思うけど、結局人が自分を認めて生きていくためには、人から認められる、求められるということが不可欠である。
しかし、一方で求められることだけを求める人は結局誰からも求められないという側面もあって、それに気づけない人はずっと孤独なまま過ごすことになる。
それに気がつくきっかけは、やっぱり自分の中の変化を感じ取れるかどうかということもあるし、自己犠牲的な精神であったりもする。
別にそれが美しいとは思わないし、そこに感動したわけではないけど、このアニメだと全体的に非常にドライに、しかしだからこそ美しく描いている気がするのである。
そういったテーマとかモチーフとかもあるんだけど、あとはこういう淡々とした派手さのないものがもともと好きだっていうのはあるんだと思うけど、このアニメが放送されていたのは多分私が高校生くらいの頃なので、その頃からやっぱりそういう感じが好きだったらしい。
人に積極的に進めるかといえばそうでもないけど、たまに見たくなるアニメなのである。
ところで、このアニメをあえて日本のロックカテに入れたのは、このアニメのオープニングはJanne DaArcの”Mysterius”という曲。
この曲は彼らの中ではヒット曲というわけではないが、とてもかっこいい曲で、私は当時この曲きっかけでジャンヌを知った。
このバンドは普通に売れているバンドではあったけど、今聞いてもかっこいい曲が多いよね。
熱心に聞いていたバンドではないが、今でもたまに聴くことがある。
今はヴォーカルのYasuはABC主体で、バンド本体はどうなっているのかわからないが、体調不良で今は休養している。
早く元気になってほしいものだ。
ちなみに、物語とは特にリンクは感じないけど、オープニング映像もかっこいいので、機会があればチェックしてみてほしい。
"Mysterious"