音楽放談 pt.2

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戦慄のアルバム ―The Larks Tongue in Aspik

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楽器のテクニックという奴は、楽器をやってない人間からすれば全くわからない。

たとえライヴを見たとしても、やっぱりわからない人にはわからないのである。

その理由としては、CDと同じに聞こえる事が当然だと思っているから。

CDと同じに聞こえたところで、それが驚く理由にはならないだろう。

でも、今の技術とかを考えると、やっぱりバンドなりミュージシャンの本領というのはライヴの場でこそ発揮されるというものである。

最近ようやくその辺の事もわかるようになってきたのですね。

人は成長するんです。


楽器のテクニックと言えば、なんといってもジャズ畑の人たちは凄まじいときく。

即興性に富んだジャンル故、まずはテクないとしょうがないのだろう。

そこから派生したと言われるフージョンなど、もはやどんなものだろうか、きっとすごい、てことしかわかんないんだろうな。

ロックでもテクニックはすごく重要視されていて、かつてのプログレはそういう音楽だったんだよね。

おかげで敷居が高い、と言われちまい、挙げ句否定され足蹴にされてしまって良い迷惑であっただろう。

やっぱり過ぎた芸は時に身を滅ぼすのかもしれない。

しかし、音楽をやる上でテクニックというのはやはり重要で、頭の中に鳴り響く音を如何に外に出すか、そのためにはテクニックってないと駄目でしょ。

楽器という道具を自在に操れてこそのテクニックの否定じゃないとね。

何でもそうだけど。


で、頭の中の音像をいかにしてうまくアウトプットさせていくか、という事を長年研究してやまないのが、ザ・プログレ、御大King Crimsonである。

もはや40年以上の活動にして、未だにその音楽性を変貌させながら転がり続ける、音の求道者との呼び声も高い?バンドである。

かつて4天王と呼ばれた中では、一番音楽的だったんじゃないかな、色んな意味で。

そんなにたくさん彼らの作品を聴いている訳でないけど、今のところどのアルバムも聴いたときにはおお、と思うのである。

もちろん好みも別れるんだけど、これだけ長くやり続けていて、それでも尚刺激的であり続けるというのはすごい事だよね。


そんな私が目下一押ししたいのは、絶頂期との呼び声も高い時期の作品、「The Lark's Tongue in Aspik」である。

太陽と月のシンプルなジャケットは男女を表しているそうな。

それはともかくとして、全体の約6割を即興演奏で占めるという凄まじいスタイルによるこのアルバムは、要するにかっこいい。

凄まじい緊張感もさることながら、曲はどれもかっこいいし、曲ごとに全く違った表情があるのもすばらしい。

流れるように転調してゆくその手法もあっぱれであろう。

未だにライヴで演奏される曲もあるくらいだから、悪いはずないんだけどね。


個人的に一番好きなのは、"Talking Drum"から"Lerk's Tongue in Aspik, Pt.2"への流れである。

パーカッションとバイオリンで少しずつ音を挙げていき、ドラムやギターも徐々に加わりつつ盛り上がっていくあの緊張感は鳥肌者である。

そして絶頂に達してすべての楽器が弾けたあとの鋼鉄のギター、あれ最高。

それまでの、そよ風から少しずつ強さを増し、嵐を巻き起こさんばかりの勢いから一点、強烈なダイナミズム、力強さね。

あれはしびれるよ。


プログレと言えば、基本的にはインストが多い。

というよりはそんなに長い事唄ってられない、ていうのは実際だろうけど(1曲10分が普通なので)、このアルバムでは歌者も非常に秀逸である。

"Book of Saturday"の静かでもの憂げな美しさも、"Exile"のざらついた孤独感も、"Easy Money"のほこりくさい重たい感じも、どれもすごく良いのである。

彼らの楽曲における詞は、かなり大きな意味のある者であった訳であるが、この頃には少し事情が変わっている。

デビュー当時は作詞のためのメンバーがいたのであるが、脱退しちゃったんだよね。

なので、別の人がかいているんだけど、それでも結構かっこいい歌詞を書くんだよね。

もっともそれ以上にこのアルバムじゃあ演奏にフォーカスされちゃうと思うけど。


おそらくこのアルバムを最高傑作に挙げるファンて少なくないと思うのである。

メンバーのスーパーテクだし、楽曲もよくできていて、アルバムとしての展開もすばらしい。

何よりそれを完璧なまでにライヴで再現できるだけの力量が全開な訳である。

好む好まざるはあると思うけど、これは一回聴いておくと良いと思うよ。

静と動のこの揺らめきは、半端じゃないぜ。

そりゃMars Voltaも好きでしょうね。