昔は テレビの音楽番組を参考に音楽の情報を得ていたし、割と素直に売上ランキングを参考にしながら音楽を聴いていた。
しかし、高校生になる頃には厨二病も炸裂してすっかり観なくなった。
当時は好きなアーティストのエッセイや、雑誌を見るようになった頃である。
まだインターネットもそこまで十分に発達していなかったし、Youtubeもその存在が徐々に知られる程度の頃だ。
大学生になった頃にiPodが登場して、ナップスターが話題になったり、SoudCloud、MySpaceといったプラットフォームが存在感を増してきた。
それこそ今ではすっかり中堅〜大御所に足を突っ込み始めているArctic Monkeysは、大手レコード会社にも所属せず、MySpaceで話題になって一気に広がったことで、新世代バンドと称揚されていたころだ。
今はTikTokからバズることで売れるアーティストも出てきており、プラットフォームは変わっても同じような構造がすでに常態化している。
私はそれらを使っていないので、だいぶ新しいものをキャッチアップする速度は遅くなっているし、正直好きなバンドの新作を聴くだけでも結構忙しいので、もはや諦めているところもあるけどね。
といって、私もサブスクはSpotifyを使っているので、そちらで新作はちょくちょく聴いている。
しかし、最近なんとなく眺めているのは各アーティストの人気曲である。
再生回数に応じてだと思うけど、なるほど彼らの人気曲ってこれなんだ、と思う一方で、むしろ代表曲と世間で言われているものがどれか、という指標となっているようにも思われる。
特に3位くらいまでの曲はそんな感じで、以下は最新曲が表示されていることが多いようだ。
完全な暇つぶしだけど、私の好きなアーティストのSpotifyの人気曲を覗いてみよう。
まずはこちら。
比較的最近になってサブスク解禁となったヒッポホップアーティスト、THA BLUE HERB。
いきなりヒップホップかい、というところもあるが、こうした一部でカルト的な人気を得ているアーティストほど、こうしたサブスクで知られるべきと個人的には思っているので。
彼らは90年代末にデビュー、MCのBOSSは当時すでに20代半ばであったため、昨今の状況を見ても実は遅咲きと言える。
しかし、そのデビュー盤が当時のヒップホップに大きな風穴を空けたとて大きな波となった。
ストーリーテリングを重視したリリックと攻撃的なトラック、一聴してわかりづらいがバッコンバッコン 韻を踏みまくっており、新しい日本のヒップホップとしてとても大きな影響を与えている。
そんな彼らのSpotifyのランキングは下記の感じ。
1. Ame Ni Mo Makez(1st収録)
2. 未来は俺らの手の中(シングル)
3. Once Upon A Laif In Sapporo(1st 収録)
4. バラッドを俺等に(シングル)
5. Phase 3(シングル)
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1位の曲は1stアルバムのラストトラックなんだけど、彼らの代表曲として今でも名高い。
実際彼らの哲学の集約されている リリックでもあると思うし、彼らの紹介記事も対外紹介される1曲なので、初めて聴く人もとりあえずと思って聴くのだろう。
2位はシングル曲ながら、ブルーハーツからのトリビュートとして作られながらお蔵入りした曰く付きだが、この曲は圧倒的に名曲である。
4位が昨年リリースされたEP『2020』に収録されており、このコロナ禍におけるライブハウスや、ライブを生業にしているアーティスト、その周辺に向けたような鎮魂歌のような曲である。
5位の曲は正直意外だが、トラックも攻撃的でかっこいい曲なので、そうしたわかりやすさが受けているのだろうか。
個人的には”時代は変わる”とかも入ってもよさそうかと思うが、ともあれ5位以内に2曲入っていることもあり1stアルバムから聴いてみると良いアーティストである。
続くはこちら。
先にも紹介した、インターネット発で最初に爆発したと言っても過言ではないArctic Monkeys。
当時の経緯の異端性だけではなく、音楽としてもカッコ良かったので、デビュー当時はあちこちで彼らの曲が流れていた。
今はだいぶ落ち着いていた曲を多く展開しており、特に最新アルバムはバンド音楽でもないとて賛否両論であった。
私も正直ピンとこなかったのであまり聴かずじまいだったが、最近改めて聴いている。
そんなインターネット世代バンドと言える彼らのランキングは以下だ。
1. Do I Wanna Know (5thアルバム収録)
2. Why'd You Only Call Me When You're Hogh ?(5thアルバム収録)
3. I Wanna Be Yours(5thアルバム収録)
4. 505(2ndアルバム収録)
5. R U Mine ? (5thアルバム収録)
なんと5曲中4曲が5thアルバム『AM』(2007年)からである。
2ndでも代表曲ではなくこの曲なのもなぜかわからないが、ともあれやはり今の彼らの代表作は5thなのだろう。
実際今の20歳前後の子に聴くと、とりあえず聴いたことあるアルバムとしてこのアルバムを上げていたし、実際彼らのキャリアにおいて若手バンドから脱却したアルバムとして当時のベストアルバムを方々で取っていた記憶である。
それまでのファストな曲と比べてずっしりと腰を据えたような感じなので、おっさん世代にも大きく支持されたのだ。
おそらく英語圏での人気を反映していると思われるので、日本ではそうでもないのかもしれないな、なんて思わないではない。
続いてはこちら。
個人的に大好きで仕方ないカナダの大所帯バンドBroken Social Scene。
元々音楽性自体が幅広いこともあるだろうが、キャリアを通じて音楽性はある程度一貫している。
00年代に出てきた新世代オルタナバンドのカナダ代表といった感じであったが、音楽性的にもインディーズ的な色が強かった。
とてもポジティブなフィーリングがずっとあって、大人の音楽と言った感じで私はずっと好きである。
そんな彼らのランキングはこちら。
1. Anthem For A Seventeen Year-Old Girl(2ndアルバム収録)
2. Sweetest Kll(4thアルバム収録)
3. Pacific Theme(2ndアルバム収録)
4. Lover's Spit(2ndアルバム収録)
5. Caouse=Time(2ndアルバム収録)
こちらもアークティック同様、彼らのキャリア代表作と言われる2ndの曲が大半を占めている。
彼らの1stアルバムはアンビエントなインスト中心で実験的な色の強いアルバムだったが、この2nd『You Forgot It In People』はロック色を一気に強めて、ヴォーカル曲中心のポップな曲が多くを占めており、一躍彼らのキャリアを押し上げたアルバムだった。
5位の曲は私にとっても個人的に一番好きな曲でもあるんだけど、それにしてもここまでアルバムが偏るとは思わなかった。
目下最新作のEPもめちゃくちゃいい曲満載だけど、全く反映されていない。
仕方ないのかもしれないが、ちょっと寂しい思いだ。
もう一つ大御所バンドも覗いてみよう。
キャリア初期から比べたら業界評価も人気も音楽性も尽く変化しまくりのご存知Radioheadだ。
初期はグランジ的なギターロック的な音楽だったのが、エレクトロニカ的な音楽で一つの時代のくさびにもなっているし、そこからジャズ的な要素も盛り込んだり、録音についてもマニアを唸らせまくりの最先端と言われ続けているバンドである。
反面苦手な人は苦手であろう、非常にある種悲観的なメッセージもあるため、万人に紹介しようとは思わないというのが、正直なところである。
そんな彼らのランキングはどんな感じだろうか。
1. Creep(1stアルバム収録)
2. Karma Police(3rdアルバム収録)
3. High and Dry(2ndアルバム収録)
4. No Surprises(3rdアルバム収録)
5. Fake Plastic Trees(2ndアルバム収録)
この文脈だとわかりやすい結果ではないだろうか。
シングル的な観点でわかりやすい曲の多かった初期3作で割とバランスよく占められているし、なんなら人気曲ばかりだ。
1位の"Creep"なんて、当の彼らからしたらいつまでこの曲を?みたいな思いもありそうである。
また業界的には4th『Kid A』の方が影響力も高いし、シングル的な曲もあるがとにかく陰鬱なので、やっぱりコアなファンでないと聴かないだろうなという気はする。
ここまでは10年以上のキャリアのあるバンドを紹介してみたが、まだCD全盛の時代から活動しているバンドということもあり、ファン層も一定上である。
そのせいもあってか、やはり代表的な曲を好きな時に聴く的な使い方ではないだろうか。
このアルバム好きだったんだよな〜、みたいな。
Spotifyにはレコメンド機能もあるので、ある程度表示される曲も偏っていくので、ひたすら自分の趣味を厚くしていく方向になりやすいかなと思うので、新しいものとの出会いは存外少ないのかもしれないと、自分で使っていても思うとところだ。
もう少し最近のバンドについても見てみよう。
そこまで大きく売れているわけではないが、安定して評価もついているYogee New Waves。
CDよりも配信などの恩恵を受けている世代のバンドなので、この世代だとどうだろうか。
1. to the moon(最新シングル)
2. Climax Night(1st シングル)
3. Good Night Station(3rdアルバム)
4. Can You Feel It(3rdアルバム)
5. あしたてんきになれ(シングル)
最新シングルが1位で、2位は彼らの代表曲、3位以下も目下最新アルバムからなので、リアルタイム性もあるランキングといえる。
やっぱりファンの年代層によって聞き方自体が違うんだろうなという感じである。
最後に新生代代表のヒップホップアーティストを覗いて終ろう。
今やテレビにも引っ張りだことなっているCreepy Nutsである。
ヒップホップ系の音楽をやっていてここまで成功しているのは昨今例をみないくらいだろう。
Bad Hopなんかも音源もライブチケットもめちゃ売れているけど、一般層にも波及しやすいという意味ではやはり彼らの方が強いんだろうな。
そんな彼らのランキングは下記だ。
1. かつて天才だった俺たちへ
2. バレる!
3. サントラ
4. 顔役
5. 合法的トビ方ノススメ(1st EP)
5位以外は最新のシングル、アルバムとなっており、非常にわかりやすい。
やっぱり世代によって全然聞き方が変わるよね。
いわゆるベテラン世代にとっても、新しいファン層へ訴求していきたい思いもあってサブスク解禁をしていると思うけど、実態としてはなかなかうまく行っていないのかもしれない。
すでに多くの曲が発表されている分、どこから手をつけるべきかと考えると、やっぱりおすすめを披露しかないし、そこでよほどささらない限りは他の作品にまでは手が及ばないのは無理からぬことである。
その意味でも、形や媒体はどうであれ、ランキングというものは一定の価値はあるよね。
もちろんそこに縛られ過ぎてしまう懸念がないわけではないけど、興味のある人はそこから自ずと手を伸ばすし、そうならないということはそこまでの価値でしかないという話なので、それはそれと割り切るしかないのかもしれないね。
たくさんの情報にアクセスできる分、ガイダンスは一定示していくことで、新しい層にも波及できるのは、いつの時代も変わらないよね。
ちなみに、いずれもランキングは5位までテキスト化しているが、10位まで見るともう少し分散もしているので、適宜活用自体はされているみたいだけどね。