今日はライブイベント、abura derabuへ。
こうしたイベントは参加するのは実に久しぶり、会場は今年で封鎖が決まっている新木場Studio Coastだ。
個人的にも思い出の詰まった会場で、洋楽アーティストのライブをよく見たら記憶だ。
これはこれでまた記事にしたいな。
それはともかく、このイベントはbooked!というイベントをやっているところだが、毎回コアながら非常に魅力的な日本のオルタナ系アーティストを集めている印象だ。
昔mooolsやNingen Ok、Skillkillsといったバンドの出ていたイベントへ行ったな。
今回の出演者がとても素晴らしく、今やすっかりバンドとしての活動のスケールが独自に進化しまくったGEZAN、THA BLUE HERB、クラムボン、そしてトリはtoeだ。
他にもLOSTAGEはよく名前も聞くし、一番手も関西のかなりとんがったバンドらしい。
その他別のフロアでも私は1組もわからなかったが、話題のアーティストが揃っているらしい。
どうしても用事があったので、到着が遅れて実質GEZANからの参加となった。
時間が迫るとまずまずの密度だが、それでもかなり快適なレベルである。
考えてみれば彼らのライブを観たのは過去に一度だけ。
たしかに2ndが出たくらいのタイミングで、会場は渋谷のnestだった気がする。
その時の彼らの印象としては、とにかく怒ってるなあという感じだった。
音源自体もかなりジャンクでノイジー、歌詞も非常に殺伐としていたわけだが、音楽の根本は恐らく変わっていないにしろ、表現は随分変わったなというのが正直なところだ。
それこそ民族音楽みたいなことになっているという意味ではそりゃ明確だが、そういう表面的な話ではなくて、表現の仕方が違うのかなと思ってのだ。
彼は非常に文学的な歌詞もかけると思うが、言葉はむしろストレートで素直なものに益々なっているようで、今日披露された曲の歌詞も聞き取りやすいものはどれも真摯で柔らかい言葉である。
反して音はと言えばスクリームも織り交ぜながら怒り爆発みたいな感じだ。
抑えたところからドカンと膨らむ瞬間は、こりゃ平時ならまさにマッシュ必至なくらいだ。
ステージ上での振る舞いという意味でのパフォーマンスも、私の中にあった彼らとは全然別だった。
曲はほぼ初めましてみたいな状態だが、そんなことは問題じゃない。
彼らが今表現したいのは怒りよりももっとポジティブで、言ってしまえば世界平和みたいなものなのかなと思ったが、凄まじい世界観でしたね。
それにしても、単独ならともかくこうしたイベントでこういうライブをかますあたり、最高である。
改めてちゃんと音源も聴こう。
続くはTHA BLUE HERB、ロック系の音楽のフェスでも当たり前にお呼ばれする数少ないヒップホップだ。
しかも誰が聞いても楽しめるタイプのものではない、いわゆるゴリゴリのタイプだ。
ヒップホップというジャンル自体がなにかとネガティブなトピックに見舞われている昨今、彼らも思うところはあるだろうが、そういうものへの見解は音源で伝えるというスタンス。
言うものは知らず、知るものは言わず。
並びもちょうど折り返しのところ、どんなライブを見せるかである。
ライブは"2020"からスタート、非常に重たい曲なので、ちょっとびっくりした。
彼らはセットリストは毎回ちゃんと場に合わせて組んでくるのだが、おそらく初めましての人も多い中であえてこれでからあたりが心臓の強さか。
その他"アメニモマケズ""Ill Beatnik"なんかも演奏されたのはまた驚いた。
でも、そこからの流れが見事で、全体的に非常に穏やかな空気のリストである。
深読みかもしれないが、最近はヒップホップにまつわるトピックはネガティブなものが多い。
波乗り物語に始まり、先日は松永がテレビの発言であらぬ批判を浴びるなど、なんだかおかしなことになっている。
波乗り〜はもはや言わずもがなだが、松永は完全に意図と違う、というかそんなこと言ってもないことを言ったことにされてかわいそうだったが、いずれにせよ頭の悪い人がその頭の悪さを遺憾なく発揮している中で、おかしな価値づけがなされている。
それに対して、俺のヒップホップはこれだぜ、とばかりに切り込んでいくようであった。
いたになくBOSSのラップも聴き取りやすく、意識的に強めに意識したのかなとも思った。
後半では"And Again"からの"バラッドを俺らに"で、穏やかながらメッセージ性の強い曲と、今の世の中でせめて救いになるような、同時にこの曲の主人公はライブハウスの人たちでもあるので、コースト最後のライブという意味でもそんな気持ちも込めたのかなと。
みんなで手をあげて盛り上がるタイプの曲は一曲もやっていないし、初見の人には最初多分意味不明だったんじゃないかとさえ思える。
率直な感想も是非聞いてみたいが、ともあれ45分はあっという間、本当に単独が楽しみだ。
続いてはクラムボン。
そこまで熱心に聴いているわけでもないが、曲はやっぱりいいし、一回はライブを観てみたかったのでナイスタイミングだ。
しかも並び的にどうしても期待してしまうところもあるしね。
リハーサルで軽く一曲演奏するサービス精神やMCの感じと音楽の印象がこんなにマッチする人たちは珍しいな、とか思いながら本編スタート。
軽やかな曲調はさることながら、原田さんのボーカルの絶妙に親しみやすさを作り出している気がする。
元々ジャズ畑な人たちだったかと思うが、全然小難しさはなく、むしろひたすらポップだ。
とはいえ、今回はそうしたポップな曲よりは少しおもためな曲もやったり、何よりミトさんが激しかったな。
アルバムもちゃんと聴いたのは2、3枚なので知らない曲ばかりだったが、いうてもやっぱりいい曲多いですね。
改めてまた色々アルバムも聴いてみよう。
そしてやはり期待通り、ラストはBossも登場で"あかり from here"である。
そりゃやるよね、とは思いつつも、イントロが流れた瞬間にトリバダである。
先程かましたばかりだが、喉は引き続き絶好調、ラップも冴え渡る。
こういうコラボならではなのは、おそらくヒップホップを普段聞かない人にはこちらの方が素直に楽しめたのではないだろうか。
何よりラップに乗せられる言葉よ。
彼ら自身も何かのインタビューで、この曲は災害や大きな事件があった時に強い、という表現をしていたが、その通りだと思う。
歌われているのは普遍的なあり方の話だ。
何度聴いてもいい曲はいい。
袖でマヒトが聴いているのが見えたが、同じアーティストの立場だとどんな気持ちになるんだろうな。
最後のMCまでしっかり持って行ったBOSSはやはり目立ちたがりだが、ともあれこの曲を生で聴けて本当に最高でした。
最高でした。
クラムボンが終わると、今日初めて別ステージへ。
Moment Joonという韓国から日本に移住したというヒップホップの人。
私は全く知らなかったが、直前で少しだけインタビューを読むとその辺りの出自についてやはり色々抱えているらしく、その辺りを自分なりに明確に出しながら、移民者と名乗りながらも本当の意味で日本人として認めてほしいと言ったことを発信しているらしい。
ライブ初っ端の挨拶でもそこから始まっていた。
私もそうなのだけど、昔から外国人という人は身近な存在ではなかったし、ひょっとしたらただ認識していなかっただけかもしれないが、日本人かそうでないかという見方をしてしまう。
まぁ、それはどこの国でも同じかもしれないし、実際アメリカや欧州なんかではあからさまな人種差別があるのは有名な話だ。
日本ではそういう差別はないと言われているが、実際はそんなことはないと言われるようになったのは割と最近だろう。
部落と呼ばれたものもかつてはあったので、その点は認識されているもののもう解決済みという教育だった記憶だ。
実際にそういう目に遭っている人からすれば、日常のことなんだろうな。
彼のラップはそうしたことを歌っているのだが、そうしたものがリアルなんだろうな。
曲は普通にカッコよかったな。
ちょっとストレートすぎるようにも感じたが、そうしないと伝わらない現実なのかもしれないな。
いろんなアーティストがそれぞれの目から見た世界を音楽で表現していて、そういうのを世代を超えても見られるのはこうしたイベントの良さだ。
最後はtoe、もはや放っておいても最高なので、素直に楽しむだけである。
そしてやっぱり最高でした。
気持ち良すぎて危うく漏らしそうになったが、彼らのこのエモさはなんなんだろうな。
いつになく柏倉さんのドラムがアグレッシブで、山崎さんは何言ってるかわからなかった。
アンコールでは"グッドハイ"が演奏されたが、ゲストボーカルで何かのバンドをやっているという女の子が歌っていたのだけど、考えてみたら私は山崎さんボーカルverしか聞いたことがなかったので、なんか新鮮だったな。
時間的には予定より少し長めになったのだけど、ただ最高の時間だったね。
以前よりも体力は目に見えて落ちたので、正直夕方からにも関わらず既に足が棒状態だが、最高の休日になったね。
こうやってたくさん音楽を聴いて過ごすこと自体がだいぶ久しぶりなので、帰りの電車で心も軽いのである。
来週はKing Crimsonである。
目についたライブチケットを取っていたら、12月の土日がほぼ埋まっててびっくりしたが、昨年行けなかった分の憂さ晴らしである。
音楽って良いですね。
帰って少しだけ酒を飲んでから寝よう。