訃報は急にやってくるもので、つい先日高橋幸宏さんが亡くなったと思ったら、まさか坂本龍一教授までお亡くなりになるとは。
かねてより体調が思わしくないことは周知ではあったが、治療を重ねる中で回復してきているとの報せもあったからね。
ライブについてはもう最後だと銘打たれて公演が行われたのもついこの間のように感じるが、こんなに立て続くなんてね。
教授については、音楽よりも先にダウンタウンのごっつええかんじでアホアホマンというコントに出ていたことの方がはるかに記憶は古く、むしろだいぶ後になってYMOを聴くようになって、そこでまさかこんな音楽をやっている人があんなアホなことやってたんかとびっくりしたものだ。
幸宏さんはおしゃれでダンディな感じが印象的だが、教授もやっぱりおしゃれで、しかしダンディというよりはちょっととんがった印象の方が強かったな。
でも変なとんがり方ではないからあんなコントにも出ているし、何より細野さんも含めた3人の活動が長く続いたのだろう。
社会活動も積極的で、反核運動でもよく彼の名は耳にしていた。
訃報が流れると、日本はもとより世界中から追悼のメッセージが発信され、Flying LotusやStarsなんかも触れていた。
でもやっぱり、こうも立て続いてしまうと悲しい気分にもさせられるものである。
71歳と、今時ではまだまだ若いと思えてしまう年齢だが、病には勝てなかったようだ。
私は最近またYMOを聴いているんだけど、その中でも『テクノドン』を改めて掘り返している。
彼らの興味を持って最初に買ったアルバムがこれだったんだけど、正直間違えたような感じが当時はしたのだ。
高校2年生くらいだったと思うが、ポップなものを想像してたら全然違ったからね。
実際評価を見ても、YMOらしくないと言ってイマイチと評する言葉も少なくない。
私もあんまり顧みなかったんだけど、ふとなんとなく聴いて見たらめちゃくちゃかっこいいやんかと再発見して、最近よく聴いているのである。
リリースは93年なので、それこそAphex Twinの『Selected Ambient Works』の翌年くらいだが、アンビエント風味満載で、そこに通じるような音もあるし、絶妙にふざけた感じの曲もあるし、都会的と言うか非常に無機質とすら言えるようなドライな音楽になっている。
そうかと思えばラストの”ポケットが虹でいっぱい”は、とても穏やかで優しい曲で、幸宏さんのあのヴォーカルが暖かく響いている。
結局YMOはかっこいい音楽しか作っていないじゃないか。
日本だけでなく世界中の人に影響を与えた彼らは、たとえ亡くなってもその音楽は残り続ける。
図らずも、日曜深夜の細野さんのラジオではこのアルバムの1曲目"Be A Superman"が流されたそうだが、そのチョイスもたまたまだったそうだ。
この曲は、教授と幸宏さんの共作で、シングルカットもされたらしい。
静かな展開から、少しずつ盛り上がっていく展開がクールでかっこいい。
いやでも、残念至極である。