私は割と幅広く音楽を聴いている方だと思うし、いまだにライブにもよく足を運ぶ。
独身で背負うものもないからというのもあるが、やはり音楽を聴くのが好きなんですね。
そんな私が初めて自分の金で買ったCDは2つあって、1つはMoon Childのベスト盤。
もう1つはLUNA SEAのライブ盤、『Never Sold Out』だ。
私は小学生の高学年くらいから自分の好きな音楽を自覚するようになった記憶だが、当時はまだ世間で流行っている、所謂オリコンなどのランキングの音楽や、親の聴いているものも一緒に聴いているような状態だった。
しかし、思い返せばそうして親の聴いていた音楽で今も好き、ていうのはあんまりないのである。
親は音楽は好きだが、広く聴くよりはやはりヒットチャートに出てくるようなものを聴いているくらいだったので、所謂普通のリスナーだ。
そんな中で、私が自覚的に好きになったバンドが当時ビジュアル系全盛だったわけだが、まさにGLAYとかが最初だけど、これカッコいい!と思ったのはLUNA SEAだったね。
一次活動休止して、それぞれがソロ活動をしていた時期だったので、正直初めはあの甘ったるいモードの河村隆一のバンド、という認識だったため、どうなん?とか思っていた。
ところがだ、テレビで"storm"を聴いた時にめちゃカッコいいじゃないかと。
当時はよくわかっていなかったが、曲の構成自体も所謂J-pop的なわかりやすいサビの曲ではなく、歌メロは割と淡々としていて、寧ろイントロからの演奏の、まさにタイトル通りの吹き荒れるような様がカッコよかった。
その後リリースされた"shine"は、さらにそれを推し進めたような展開の曲で、世間的にはあまり評判が良くなかった。
しかし、私はこの曲でLUNA SEAが明確に好きになった。
思春期に入り色々と懊悩することが増えていく中で、この曲の歌詞が刺さったんですね。
そして買ったのがライブ盤だったのだが、当時はベストアルバムだと思って買ったらライブ盤だった、つまり間違えたんですね。
でも、それが却ってよかった。
毎日ヘビロテしてたからね。
その後は全部音源は買って、過去のものも買っていたのだけど、ふたたび活動休止。
からの再開した時には私の興味が別な方向へ向いていたので、結局ライブを見ることはないままに来ていた。
そこへきて、今回昔の再現ライブをやるという事で、彼らがスターダムへ押しあがった2つのアルバム当時のものということで、折角なら観とこうと。
図らずも彼らのアルバムを聴き直してもいたので、これもなんかの思し召しだろうと。
で、それが昨日だ。
2 daysで、アルバムごとに日を分けての開催となったのだが、私は『Mother』の方でチケットを取った。
2日間とも行こうかと迷ったのだけど、チケット代も高いからね。
それに、言い方は良くないがとりあえず一回は観ときたいから、みたいな気持ちもあったので、そこまで熱量持って、てわけでもなかった。
ただ、結果的には2日とも取っときゃよかったと思うわけで、結果的にめちゃよかったのですね。
ステージはいくつかのビジョンに映像を流しつつ、レーザーライトや時に火柱が上がったり、ポイントポイントでの派手さはあったが、それでもかなりシンプルなステージだったように思う。
メンバーも、それぞれに衣装はまとっているが、大部隊にしてはやはりシンプルだ。
真矢はウィッグをつけており、ザ・ビジュアル系といった感じ。
SUGIZOさんは例によってセクシュアルだが、INORANとJはロックな佇まい、特にINORANは髪も後ろに縛っているだけであっさりだ。
そしてRYUICHIも90年代的なあの感じだが、箔もしっかり感じさせる堂々たるもの。
肺腺がんに罹ってしまったものの、手術して無事復帰、素晴らしいことである。
1曲目は"Loveless"だったが、Jのベースがブリブリでめちゃくちゃかっこいい。
ライブ盤もこの曲スタートだったが、生で聴く方が迫力が違う一方で、広い会場でもシンプルに5人の音だけでやっている姿が実にかっこいい。
中学生の頃から聴いているバンドのライブを、実に20年以上の時を超えて初めて見るのも、やっぱいいよね。
しかもみんな現役バリバリで懐メロバンドじゃないから、かっこいいんですよ。
Jのブリブリに曲を引っ張っていく存在感のあるベースも、タイトながら手数も多く正確な真矢のドラミングも、リズムキープでクールなINORSNのギターも、SUGIZOの派手ながら流麗で彩り豊かなギターとバイオリン、いずれも美しい。
そして流石に高音部はなかなか出づらくなっているのかもしれないけど、深みのある響きを聞かせるRyuichiの歌声、これですよ。
彼らの音楽は、確かにパッと聴いたところ結構シンプルな印象なんだけど、彼らの音楽とすぐにわかるオリジナリティは圧倒的で、何度言ってしまうがかっこいいんですよ。
昔音楽番組かなにかで、彼らの音楽を耽美的と表現していたが、ある意味ですこしキザなところはあるけど、それは美学という言葉で表現されるものかと思うが、今に至るも私が好きなアーティストは、そうした独自の美意識を持っているアーティストが多い。
その源流は彼らだったのかもしれないと改めて思ったものだ。
この日はセットリストも最高で、アルバム収録の"Rosier""True Blue”といった代表曲もさることながら、インディーズ時代の"FATE""Blue Tranceparency""Believe""Wish"などもアンコール含めて演奏された。
にやけてしまうよね。
"Face To Face"は映像も凝っていて、世界観抜群。
"Genesis of Mind"もそうだし、オーラスの”Mother”の演出も、基本的にはライティングの美しさが際立っていたな。
個人的には”Rain”を聴けたのがすごく嬉しかった。
シングルのB面集に収録されている曲なのだけど、静かな展開から終盤に爆発するエモーショナルなところが最高な曲なのだけど、地味っちゃ地味な方の曲だと思うので、このライブで聴けたのが嬉しかった。
全体として2時間半、途中20分の休憩を挟み、Wアンコールまであったけど、満足度は半端なかった。
LUNA SEAのライブ自体も初めてだが、2万人規模のアリーナでのライブもフェス以外では初めてだったので、こういう環境自体も新鮮だった。
こうやって長い間やってきているバンドの実力というか、単純な演奏力だけじゃない見せ方みたいなものも含めて、やっぱり違うんだなと思った。
でも、なんだかんだ一番思ったのは、このバンドは5人が5人ともそれぞれに色があって華があって、本当にカッコよかった。
アンコール以降は写真撮影OK、SNSでも拡散してね、というサービスを見せてくれたので、私もちょっとだけ柄にもなく撮った。
遠くからだったので、流石にメンバーここの姿は捉えるべくもないが、みんな仲良さそうだし、次のアルバムももう準備中らしい。
バンドとしてもいい状態なんだろうね。
いやほんと、また改めてLUNA SEAが好きになってしまい、また折に触れてライブにもいくんだろうな。
カッコよかった、さいこいうでした。