自分の音楽遍歴を振り返るという極私的な記事である。
前回は10代までをざっと振り返ったけど、私はなんだかんだ原点が残っているだなと感じる一方で、大槻ケンヂによって随分と人生を変えられたということに改めて気がついた。
もしあそこで出会っていなければ、私はどうなっていたのだろうか、なんてことは考えても詮のないことであるので置いておこう。
ともあれ高校生から大学にかけて、聴く音楽の幅が爆裂に広がったのだけど、そこからさらに加速、またライブにもいくようになったので、ますます私の音楽ライフは充実していくことに。
20代の私と音楽
大学生の頃は、割とバイトばかりしていたので、そのお金で毎週CDを買いあさっていた。
何もない田舎の高校生だった私にとって、電車でスイスイと行ける場所にたくさんのCDの売っている都会はとても魅力的な場所でしたね。
ちなみに、高校生の時に部活の大会で一度だけ関東地区へ来たことがあったのだけど、その時にいった場所で大学時代を過ごすという不思議な縁もあったのだが、いずれにせよ今振り返れば全く後悔がないわけではないが、それでも楽しい時間だったと思うね。
大学生になって音楽の趣味の合う友人とも出会ったわけだが、大学2年生、20歳になった時に初めてライブへ足を運んだ。
しかもそれはSummer Sonicだ。
理由は、その年活動を再開させ、6年ぶりとなる新作をリリースしたNine Inch Nailsが出演したからだ。
さらにその年のメインステージはすごくて、Deep PurpleにThe Mad Capsule Markets、Slipknotも出演していた。
まだそこまで洋楽とかをがっつり聴いているわけではなかったが、今にして見ればメンツすごいな。
友人と観にいったのだけど、終盤で低血糖症に見舞われて中座するという失態も犯したんだけど、いい経験でしたね。
ちなみにOasisもこの頃にようやく着いたし、Radioheadとかレッチリ、Nirvanaもこの頃に聞くようになった。
中でもSmashing Punpkinsはいっときめちゃくちゃ聴いていたね。
初めて買ったアルバムは、たまたま目についた『Adore』だったのだけど、普通に気に入って聴いていた。
その後アルバムを全て遡るように聴いていったんだけど、90年代のスマパンの持つなんとも言えないあの空気がハマりすぎて、がっつり聴きまくっていたね。
また、この頃はUK、USの新人バンドの勢いがすごかった
UKではMaximo Park、The View、The Coral、Arctic Monkeysなど多くの素晴らしいバンドがデビュー、さらにUSではArcade Fire、Vampire Weekend、Yeah Yeah Yeahs、TV on The Radio、LCD Soundsystemなどが出てきていた。
特にMaximo Parkは大好きで、その後リアルタイムで追っかけていたものな。
この頃から過去の音源も聴くようになっており、Portisheadとかも聴くし少し遅れてMusicやStrokes、さらに遡ってDepech Mode、XTC、T-Rex、Velevet Undergroundなど過去の作品もさらに掘るようになっていった。
そうして色々の音楽を聴くようになった中で、Arcade Fireを経由して知ったのがBroken Social Sceneだった。
大世帯バンドが多くなっている、みたいな音楽雑誌の特集で目にして、一度聞いてみようと思って手を出したのだけど、最初に聞いたのは『You Forgot It In People』であった。
すでにセルフタイトルアルバムもリリースはしていた記憶だが、一番評判も良かったところから手を出したのだ。
彼らの音楽の一体何がそこまで刺さったのか当時はあまりわかっていなかったが、とにかくハマってしまった。
特にこの"Cause = Time"は彼らの曲のなかでもいまだに上位に入るくらい好きな曲なんだけど、私のフェイヴァリットの一つとなっている。
ここからカナダのArts & Crafts周辺のバンドを聴くようになり、Strars、Metric、Feistなど、今も愛聴しているバンドも彼らをきっかけに出会っている。
さらに社会人になると、80年代の音楽を深めるようになったのだけど、その大きなきっかけはJoy Divisionであった。
Nine Inch Nailsが彼らの"Dead Souls"をカバーしていたので存在は知っていたが、調べるにつけそのセンセーショナルな話題をまず目にするわけだが、その温度感が私の感覚にどハマりしたのだ。
その後ポストパンク、New Waveの音楽を知るにつけ、その魅力にズブズブハマっていく。
別な方向ではRadioheadを経由してPortisheadを知って、こういう音楽もあるのかと衝撃も受けたころだ。
一聴して暗い印象ではあるが、その奥にほんのり温もりのあるような音楽がすごく響いたんですね。
そこからさらにThe Coral、The Horrorsを聴くようになるわけだから、音楽の血脈というやつを感じるところだ。
20代後半は私の社会人としても色々と大きな経験の多かった時期なのだけど、この頃から日本のバンドもまた聴くようになっていた。
その中で大きな存在の一つが、今や日本のマスロックを代表するLITEだ。
彼らを知ったのはBack Drop Bombの企画ライブだったのだけど、ライブが始まった1曲目ですぐにぶちのめされて、そんな経験が久しくなかったので本当にすぐにCDを買ったのだ。
そのLITEのライブへも足繁く通っていたんだけど、そのライブを通してもさまざまなバンドにである。
その一つが、今や完全フェイバリットとなるアナログフィッシュである。
そのライブは、MOROHAの2ndのリリースイベントで、当時音楽雑誌で激烈に評価されていたMOROHAメインで3バンドが出演、その一組がLITEでもう一組がアナログフィッシュだった。
全くノーマークで、なんとなく聴いているだけだったが、”抱きしめて”がすごく印象的で、そこからCDも買ってちゃんと聴いたら全部良くて、歌詞も刺さるし曲も良くて、今では最もライブに足を運ぶバンドだ。
このバンドの音楽が私の社会人生活でもとても支えになったものだ。
さらに、もう一組私を支えてくれたアーティストがおり、それがTha Blue Herbだ。
私はヒップホップは全く聴いていなかったし、なんならちょっと偏見も持っていたくらいだったのだけど、当時よく読んでいたSnoozerに紹介されていたことをきっかけに聞くようになったんだけど、そのメッセージの強さに完全にやられて、今では年末の恒例ライブになっている。
特に20代後半は仕事が忙しかったし、環境的にも大変だったんだけど、彼らの音楽が何度私を奮い立たせたか。
元々年上とか上司とか嫌いな存在だったけど、当時も30半ばとかのおっさんらがやけに私のことを敵対するような場面がたくさんあって、クソッタレと思いながらやっていたんだけど、その時の心情がまさにこの”時代が変わる”のリリックの通りだったんだよね。
「いつだって雑音黙らす術は一つ行動で表す」
音楽の聴き方とか、より社会的なものも聴くようになっていったので、幅が広がっただけではなかった。
とはいえ、高校生の時から割とそういう音楽ばっか聴いていたかもな。
30代からの私と音楽
30歳をすぎて今に至るまでは、今更人生について考える期間になったね。
転職をして激動を過ごすけど、仕事では割とわかりやすい結果も出せたし、スキルアップも感じるし、社会人になってから友達もできた。
個人的には充実した期間になっているが、同時に当時の彼女とも別れて、その後は色恋の落ち着いたことはなかったな。
それはともかく、流石に聴く音楽も激しいものから徐々に落ち着いたものを好むようになり、それこそブラックミュージックを聴くようになったのは30過ぎてからである。
そのきっかけになったのは、Robert Glasperである。
Experienceはじめ、さまざまな活動を通して入口になったので、改めてヒップホップやJazz、SoulやR&Bなどを聴くようになったんだけど、その中でも特にハマったのが、The InternetとMoonchildだった。
どちらもスウィートで静かな女性ヴォーカルが音像も伴って美しく、今でも疲れた時には聴きながらゆっくり過ごしている。
また、すっかりポストパンクは私の構成要素の一つだが、まさに同年代で完全にハマっているのがLillies and Remainsだ。
最近では美学という言葉もよく頭に浮かぶんだけど、それこそThe NovembersやPlasticzoomsなんかもそうだが、そうして自分たちの色を持ったバンドが好きですね。
流石に30過ぎてからは新しいものへ広げる機会はだいぶ減ったけど、じわじわとは広がっている。
また、フェスだったりライブイベントでも、好きなバンドだけでなく全く知らなくても観に行こうというスタンスになっており、いい意味で敷居が下がったなと思う。
この歳になって改めて過去あまり聴かなかったアーティストを掘り起こす中で気づくものもあるけど、なんだかんだ好きなアーティストはずっと好きなんだよな。
アーティスト自身もそれぞれ歳をとっていく中で表現も変わっていくんだけど、その速度感が自分とも合っていると感じるので、共感を求める限りにおいてはそちらの方がいいと思えてくるしね。
ともあれ、好きなアーティストと言えばもっとたくさん記述できるけど、何かしらの影響を与えているというと限られてもくるよな。
いずれにせよ、振り返ると中学生頃の出会いが価値観の源流をなしており、本質的には変わっていないということ。
そもそも文量を見ても明白で、明らかに10代後半の方が書きたいことも多かったからな。
たまに好きなアーティストについて、同じ見解、価値観で聴いている人に出会うと嬉しくなるのはそういう音楽の聴き方をしているからだろう。
これから40代も目前なので、またどうなっていくかだよな。