2000年代のロックを語る上で欠くべからざる存在と言えば、Strokesである。
ここ数年は各人のソロ活動が非常に取りざたされる。
アルバート・ハモンドJrはソロ作品を確か3作品くらいは出していた気がしたし、サマソニなどにも出ている。
ジュリアンはQueens of the Stone Ageにゲスト参加したり、あるいは9月にはソロアルバムを出すとか。
愉しみであるが、一方で本体の活動はどうなっているのだろうか。
アルバム制作に取りかかっているという情報もあったが、進捗のほどは果たして。
ともあれ、非常に愉しみであるし、期待したいアルバムである。
そんなStrokesであるが、実は私が聴くようになったのはそんなに昔ではない。
リアルタイムで聴いていても不思議ではない年齢ではあるが、当時はまだそこまで追いついていなかった。
しかも、音楽的な知見の幅が広がった頃には、既に古典の様な扱いになっていたのでなかなか手を出さなかったのである。
初めて聴いたときも、そのあまりにシンプルでさりげない音に肩すかしを食ったような気分であった。
しかし、聴けば聴くほどその絶妙なセンスが素敵、と思うようになったのである。
音数は少ない、しかしスカスカではなく、何かの楽器が必ずその間を埋めている。
かといってギチギチ感は全くないし、むしろ音の重なる部分と単独の部分との、掛け合いと言うとちょっと違うけど、そのバランスが非常に良いのである。
ここは併せて、ここはギターのみ、と言った具合な流れが極めて心地よい。
そこにのるジュリアンのやや気怠いような、独特の歌唱も相まって、肩の力の抜けたさりげなさが出来上がるのだろう。
ギターのアンサンブルという奴が、実に良いしね。
彼らは音楽ももちろんかっこいいのだけど、見た目もまたかっこいいのである。
モデル事務所の社長の息子であるというジュリアンは言わずもがな、メンバー全員が基本的に女にモテそうという、ニクい奴らだ。
同じ男としてはキーッとなってしまうが、一方であの佇まいには素直に憧れる。
ちなみに私は大学時代、グランジ的反骨心とストロークス的さりげなさのミックスを試みたが、いかんせんセンスが及ばず、単なる貧乏学生に成り下がっていた記憶がある。
昨日のことのような記憶。
今ではもう少し小マシになったとは思うが、センスはなかなか育たない。
それはともかく、聴いていて心地よく、観てみてキャー!
こんな素敵なバンドは、いかにも現代的で、ここ最近のバンドの多くにはストロークス以降的価値観が指摘される。
多分、ある程度はタイミングの問題なんだけど、その先鞭をつけたという意味では非常に大きいのだろう。
まあ、その辺のことはWikipediaでも読む方が良かろう。
ともかく、私としては、彼らのようなさりげなくかっこいい佇まい(顔のことは棚に上げろ!)をぜひとも身につけたいと思うし、静かにくすぶる内なる炎をたぎらせているかの様な野心が、実にいい。
クールなだけじゃないね。
ホントにセンスのいい人の作った音楽だと思うよ。
センスのない私が言うのもなんですがね。