音楽放談 pt.2

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それぞれの個性 ―Something for All of Us...

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i-Podの劇的な普及に伴い、音楽の聴き方が変わった、と言われるようになって久しい。

曲はシングル単位で買い、アルバムが出てもそのうちの気に入った曲だけあればいい。

別にアルバムと言うフォーマットを欲していないのだろう。

そうした流れが強いと、いわゆる捨て曲と呼ばれるものが平気で含まれたアルバムも少なくないようである。

私は相変わらずアルバムと言うフォーマット大好きなので、曲単位で聴く方が珍しい、というよりほとんど皆無に等しいと言う時代錯誤である。

聴くときも、i-Podであるにも関わらずアルバム単位で聴く。

こうして聴いていると、I-Podというツール自体が実はアルバムには向いていない、もしくは想定されていないものであるのがよくわかる。

I-Podだと、曲と曲との間に必ず僅かな好き間が出来る。

その僅かな隙間が、曲と曲との微妙なつなぎを台無しにしてしまうのである。

アルバムなんかで面白いのは、曲と曲との間隔さえも印象に大きく関わると言うことである。

音楽を聴くと言う経験自体がすごく感覚的であるためであろう。

それこそほんの1秒にも満たない0.何秒がアルバムのアルバムとしての善し悪しさえ左右する場合がある。

あとほんの一拍おいてからがいいのに!とかっていうのは結構ある。

もったいないのである。

以前Strokesのジュリアンがインタビューでその辺りのことを触れていたのが興味深かったが、そういう聴き方をしてみるのも結構面白いと思う。

興味のある人は是非その辺りをチェックしてみてほしい。

もっともそのためにはアルバムとして評価の高い作品を聴かなくてはイカンと思うが。


それはともかく、未だにアルバムと言うフォーマットにはやはり魅力があり、それを思考するアーティストは少なくない。

むしろ若い層ほどアルバムとしての作りに力を注いでいる傾向があって面白い。

もっと面白いのが、Green Dayのようにシングルに強いアーティストがアルバムを強く意識した作品を作る一方で、スマパンのビリーのようにアルバムというフォーマットにおいてその才能を発揮するようなやつがアルバム作んない、とか言っている点である。

・・・スマパンて、どうなるんだろうね。

日本ではどうか知らないが、海外勢は割とこんな感じであるようだ。


で、ようやく本題なんだけど、我が愛するBroken Social Sceneも、アルバムとしての構造をかなり大事にしている印象がある。

いかんせんインタビューなどの本数が少ない為、その辺りの情報がどうしても少ないんだけど、曲の並びとかを観てもかなり意識しているんだろうとは思う。

Kevinのソロでもそう思ったし。

しかし、もう一人の核人であるBrendan Canningのソロ作では、かなり異色な印象であった。

一言で言えばシングルコレクションのようなアルバムであったのだ。

1曲あたりの時間を観ても、多分平均3分半かそこらだと思う。

全体にすごくコンパクトで、BSS名義の作品では異例なほど短い。

ん~、やはりコンパクトという言い方がベストだろう。

Kevinのアルバムが、ややもすれば少し長いかな、という印象であったため、そこでまず大きなギャップがあるのである。

また、曲調も非常にバラエティに富んでおり、従来の作品群に比べるとやや戸惑いさえ感じる。

KevinのソロがBSSの準新作的に受け入れられるのに対して、Canningの作品はまったく別物である。

もちろんそれらしい曲もあるんだけど、全体的にはやっぱりまったく別物という認識ではなかろうか。


ただ、面白いというか、すごいなと思ったのは、それでもとっ散らかった印象ではなく、むしろにぎやかな印象となっていること。

ジャケットの絵(本人画)にも象徴されうように、みんなでワイワイやってみました、的な感触なのである。

でもイニシアチヴは一人の人間が握っているから、結果的にはうまくまとまったかな、観たいな。

最後の曲なんかは少しポワンとした感じなので、ほんとキャンプファイヤーでも囲んだような気分である。

色んなイベントを挟みつつ、炎が燃え落ちる頃には既に夢の中で、気がつけば朝を迎えている、みたいな。

聴いた後の感じが本当にそんな感じで。

はっきり言って、好みで言えば断然Kevinだし、曲単位でも向こうの方がいい気がする。

でも、それで悪いと言っている訳ではなくて、それが彼の個性なのだろうとも思う。

ロック的なアグレッシヴさのある曲であると、こっちの方が断然耳を低し、すごく男臭い感じもする。


ちょっと読んだことのあるインタビューでも、彼はかなりはっきりした正確であるようだし。

KevinのまろやかさとCanningのちょっと尖った感じ、そのマッチングの妙が、実はBSSの魅力を形作っているのかもしれない。

いずれにしろ、基本的にはやっぱり良いのである。

強烈に個性的かといえば、そんなことはないだろう。

でも、そこに流れる空気はやはり彼らのもので、聴いていてうれしくなるのは間違いない。


それにしても、このアルバムが出てからもうじき早1年である。

月日の流れるはなんと早きことか。

早く新作が聴きたいし、もう一度、ライヴが観たいわ。