音楽放談 pt.2

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その向こう側 ―Velvet Underground

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所謂ポストパンクと呼ばれる一群は、音楽性に非常に大きな特徴があった。


ギターの使い方とか、音の差し引きの具合とか、あるいは使われている楽器自体とか、音楽的に云々というよりアイデアやセンスの光るものが目立つように思う。

 

そういうのは実に新鮮で、刺激的で、面白いものなので、私は大好きなんですね。

昨今のリバイバルブームでも、従来の形を踏襲しつつも、そこに新しい音楽の要素を取り入れてみたり、あるいはわざと音を外してみたりと、そうした工夫が観られた。

一歩間違えば単なるジャンクでしかないが、それをうまくまとめられるのがセンスというものか。

とはいえ、何となく聴いているときにふとしみてくるのは、なんだかんだ曲そのものの良さであったりする。

メロディが素晴らしいとか、歌詞が素晴らしいとか、もちろん「いい」の定義も様々できるのだけど、わかりやすいところはやはりメロディだろうか。

洋楽だと歌詞はよくわかんないしね。

Maximo Parkとかもポストニューウェーブ的な文脈で出てきたから、ついアレンジとフロントマン・ポールのパフォーマンスが注目されがちだけど、実はすごく良い曲を書くバンドである。

Bサイドに入っているような曲を聴くとよくわかる。

あとはCoralとかもそうだよね。

Super Furry Animalsとか、オアシスもそうだと思う。

Nine Inch Nailsについても、あのコアな音楽性にあってあそこまで大衆認知が出たのは、やはり他の同ジャンルに括られていたバンドに比べて曲が格段に良かったからに他ならない。

やっぱり曲ありき、というところは詰まるところあるのである。

さて、そんなソングライティングに高い評価のあるバンドの一つで、Velvet Undergroundがある。

むしろルー・リードというべきか。

彼等は活動当時はそれほど評価されていた訳ではないが、ここ10数年でもっとも再評価されたバンドの一つではなかろうか。

裏のビートルズなどと一部では呼ばれるほど、今に至るも影響を公言するものは枚挙に暇がない。

Strokesのジュリアンにとっても彼等はヒーローである。

そんな彼等の1stは、前衛芸術家アンディ・ウォーホールのバナナジャケットが有名である。

町中でよくTシャツ来てる奴を見かけるが、果たしてそのうちの何人が彼等の音楽を聴いた事があるのか知らないが、いずれにしても何処かで一度は観た事のあるアートワークのはずである。

音楽性はといえば、退廃的という言葉が非常にしっくりくる。

裏路地の風情が半端ではない。

歌詞のテーマもヘロインの中毒者の歌とか、結構ヘヴィ。

一方で”I'll Be your Mirror”のような美しい曲もあるけど、でもどれもそこはかとない、なんといったものか、切なさじゃないけど、何かを諦めたようなやるせなさのようなものがあって、それが溜まらないのである。

考えてみれば、”I'll~”も、誰にも触れられない孤独社の唯一の理解者の心情を歌ったような内容ともいえるしな。

それは曇りのない感情だからこそ、美しいと感じるのかもしれない。

で、2ndになるともっと猥雑とした印象になる。

ルーと並ぶ中心人物、ジョン・ケイルの趣向がふんだんに現れてる、なんていわれるけど、ノイジーでがやがやとしていて、郊外のろくでなしの集う酒場のような、とでも行ったら良いかもしれない。

すごく危ない薫りがするのだけど、そこでは何かが必ず起こっていて、すごく刺激的で魅力的な、そんな場所。

このアルバムは個人的には大好きだけど、聴くときをちょっと選ぶかな。

そして今日画像掲載したのが、3rdアルバム。

既にジョン・ケイルは脱退しており、ルーの曲がひときわ際立つ内容になっているのではなかろうか。

曲はとにかく良い曲がそろっている。

2ndのような危なさよりも、1stをもっと優しくしたような内容かもしれない。

とはいうものの、なんだか身を任せると危険な優しさのようにも思える。

既に後ろに何もない安らぎ、っていうのかな。

聴いていてすごく心地いいんだけど、もう元の場所へ帰れなくなりそうな不安感みたいなものも同時にあるように思える。

特にラストの”After Hour”なんかは、歌詞が何かを示唆しているようで。

ルーはその後今に至るまでソロアーティストとしても圧倒的な存在感を放ち続けている。

ソロの曲は聴いた事がないのだけど、やはり良い曲を書けたから、そしてこの独特の世界観を描けるからこそ、今日に至るも評価されるのだろう。

なんのかんの言っても曲は良いのである。

気がつけば最近好んで聴いているのは基本的に良い曲のものである。

発表されてから既に40年近く経つのだと思うが、色褪せる事は一切なく、やはり名曲は残り続けるのである。