音楽放談 pt.2

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今こそ聴かれるべき類いの音楽 ーAround The Sun


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今の日本はなんだか足下が覚束ない。

件の大震災の後、どこもかしこも不安が渦巻いている。

私の住んでいる地域も、住居自体はなんともなかったが、ちょっと足を伸ばせば液状化の被害がそこかしこに見られる。

また、原発の影響も全くない訳ではない。

浄水場の場所が結構危ういと言われている。

一時期放射性物質が検出された、なんてニュースも流れたが、その後何ともないと言う発表があり、それからは何の情報も出なくなった。

真実は一体どこにあるのか、政府はこれと言った対策も打つ事なく、相変わらず街頭演説のような事を公式な場でも宣っているのだから世話ない。

あいつは何がしたいんだ?

世間的にも某国の文化侵略だと騒いでいるが、日本政府も積極的にウェルカムだから、困ったものだ。

別に以前は興味もなかったので何とも思わなかったが、最近個人的な事由によりあまり好きでない。

多分、国民性が相容れないんだと思う。

まあ、そんな事が言いたかった訳ではない。


自然災害に限らず、世界では紛争もあればテロもあり、日常が崩壊してしまった人は毎日増え続けている。

今までそこまで強烈な境遇には幸い見舞われた事はないが、今回僅かながらも身動きできない窮屈さと、一体どうなるのかわからない不安感を経験した身としては、最近はあまり他人事とも思えないのは良い事は。

とはいえ、どこまで言っても今の自分は冷房のある部屋でこうしてパソコンのキーを叩いて好きな事を言っている訳であるから、本当にその気持ちを計り知る事は出来ない。

わかる、なんて奴がいたら、経験者でもない限りそいつは絶対にインチキだ。

だから政治をやっている奴らはどいつもこいつもインチキばかりなんだ。


こんな状況下では、やたら元気づける歌とか、そんな特集が歌番組でも組まれる。

それらに確かに元気づけられる人もいるんだろうから、全てを否定するつもりはないが、こういった企画の趣旨は所詮金の為である。

クソみたいな偽善心には心底反吐が出る。

いっそ何もしない方がマシだと私は思う。



かつてアメリカでも、9.11という歴史的大惨事に見舞われた。

アメリカの経済の象徴でもあったニューヨークの貿易センタービルに飛行機が突っ込んだ。

あの出来事は、多くの人間に影響を与えた。

良い方向に動いたものもあれば、世界情勢をますます不安定にさせるような要素も増えたのは、それだけセンセーショナルであったと言う事だ。

その主犯は既に銃殺されており、これで事件は一段落なのか、それとも何一つ終わっていないのか。

多分後者だと思うけど。


で、影響を受けたアーティストも多くいた訳で、元々政治的な活動も積極的に行っていたR.E.M.も、この事件のあとにアルバムをだしており、内容は明らかにこの事件に端を発していたものだった。

音楽的には評価は非常に低い。

その前に出た2作と比べても明らかに低い。

その後に出したアルバムがわかりやすいロックアルバムであった事もあり、尚更失敗作のような扱いを受けている。

しかし、私はそうは思わなかった。

確かに地味で、いわゆるシングルヒットが生まれるアルバムではなかったのは事実だが、彼等らしい温かさと、反骨心のよく現れたアルバムで、あのタイミングで出た中ではかなりレベルの高いものだったのではないかと思う。


1曲目の”Leaving New York”という曲は、まさに事件に見舞われた人たちに向けた曲であった。

ニューヨークを去るのは嫌だけど、前を向かなきゃ、と歩き出した人たちの勇気と気持ちを彼等なりに称えたような曲である。

また、”Ahtermath”という曲も、ひどい現実に見舞われて、それを受け入れて、そこから一歩を踏み出そうとするその姿をそっと後押しすると言うか、そんな曲である。

ちなみにAftermathとは、大災害の後、という風に訳す。

とにかくぬくもりと優しさにあふれていて、聴いていて泣きそうになる。

一方で、"Final Straw"では当時のブッシュ政権をかなりあからさまに批判している。

これ以上お前に勝手な事はさせるか、といっているようなこの曲である。


これらの曲を見ただけでも、今の日本の状況に照らしても、実にマッチしていると言うか、こういう音楽をこそ聴かれるべきなのではないかと思わしむる。

元々良い曲を書くバンドであるが、時代を射抜く目と言うか、そういう点もやはり優れていると思う。 
ここ最近の2作よりもこのアルバムの方がよほど良いアルバムだと思うし。

今まさに聴かれるべき音楽だと思う。

日本ではこういう音楽を出来る人がそもそもいないとさえ思える。

特に大物と呼ばれる連中は、概ね上を向いて歩こうというばかり。

別に悪い事とは思わないし、こういうのも大事だと思うが、そこから先に進むような音楽をやっている人はいない。

知らないだけかもしれないけど、少なくともテレビに出ている連中はまずやらない。


音楽の価値という点で見ると、純粋に音楽としての革新性と言ったものは重要だし、普段聴いていて刺激的だと感じる音楽はそういった類いである場合が多い。

だけど、メッセージとしての音楽という側面もある訳で、およそ日本の音楽にはない要素だと思う。

まあ、勝手に私がそう思っているだけなので、気にしてもらわなくて結構なんだけど、このアルバムは是非聴いてほしいなと思う。

特に今しんどい思いしている人にはね。

表面的な頑張れよりも、もっと深く刺さるはずである。

こういうのを良い音楽と言うのではないかと思う。