第一印象は大事ではあるけど全てではないというのは良くある話で、殊音楽では本当によくある。
その時に聴いている音楽の傾向だったり、ジャンルだったりで例えどんなにいい音楽でも「モードじゃない」と言ってスルーすることは、私なんかは特に良くある。
例えばMooolsとかPlasticzoomsとか、この辺りはまさにそうである。
バンド名すら知らない時にライブを観ていたのにその時には全く興味を持たなかったけど、今では音源をせっせと集めては愛聴している。
やっぱりその時に聞きたい音楽のタイプと違うと、なかなか一生懸命に聴こうという気持ちになれないのは私のダメなところである。
とは言い条、やっぱり何かの拍子にふっと入ってくるからこそ好きになるという事もあるし、そもそも全くどうしようもないものには後で改めたところで引っかかるところはないだろう。
上記いずれもなんやかんや何かしら印象には残っていたのは確かである。
それでなければ思い出さないからね。
そんなバンドの一つがThe Novembersである(以下ノベンバ)。
最初に見たのはプラズーも一緒に見たTokyo Style Bnadというかなり濃ゆいイベントであった。
Bo Ningen目当てに行ったイベントで、その時はそのちょっと病気っぽい出で立ちとファン層に先に引いてしまったのだ。
私自身その手の音楽が嫌いかといえば全くそんな事はないし、Bo Ningenだって大概なものである。
にもかかわらず反応しなかったのは、単にその時のモードではなかったからである。
しかし、その後なんやかんや彼らのライブはちょこちょこ見る機会があった。
Back Drop Bombの25周年イベントや、Mouse On The Keysとの対バンとか、そういうところで見ているうちに改めて音源も聴いてみよう、と言って聞くようになると、彼らの音楽性も見えてくるし、今では普通に聴いていて音源も着々集めている。
先のSynchronicityでもかなり超満員な中ライブを観てテンションを上げているわけである。
いやほんと、悪く言ってゴメンなさい。
彼らの音楽はシューゲイザー系のフィードバックノイズなんかはDowny譲りなところを感じるし、実はNirvanaの”Stay Away”とかをカバーしているところからもわかるようにグランジとかオルタナ系の音楽も影響を受けており、そのギターのダイナミズムがかなりかっこいいのである。
で、当初私を遠ざけたのはギター/ヴォーカルの小林の歌声についても悲鳴のような声を混ぜながら歌う独特なところがあるヴォーカルなのだけど、これも慣れてくるとという言い方はなんだけど、楽曲の世界観と相まって結構はまってくるのである。
ノイジーで浮遊感のある楽曲が多い中で、ストレートな曲もあるし、音楽的な引き出しは結構あるんだろうね。
初期作の方が病的というか、多分Cureとかその辺りのポストパンク・ゴス系の世界観の方が強かったが、当時から人肌を感じるような曲もあったのだけど、最近はその手の楽曲も多くなっている印象もある。
彼らのライブではかなりアグレッシヴなもので、湿っぽさなんて欠片もない。
最近なおのこと顕著な印象もあるが、轟音系のライブなっており、先のシンクロニシティでも存在感を放っていた。
普通にかっこよかったし、音も強くていいライブだった。
ファン層を見ても病気っぽい感じよりもロックファンという感じの男のファンも増えていて、その方面でも着実に評価を得ているのだろう。
ちなみに彼らは先のプラズー、Lilies and Remainsとも共鳴しており、BODYSというイベントもやっている。
図らずも私は3バンドとも今では好きなので、いつかは行きたいですね。
ところで、あるインタビューでプラズー、リリーズのヴォーカルがいずれもノベンバの小林について話していたと思うのだけど、とにかく彼は基本的に孤独属性なのだけど積極的に人と関わろうとするところがあって、それがすごい、その態度に影響を受けた、というような話をしていた。
実際彼は様々なバンドで客演としてギターを弾いていて、ベンジーの助っ人としてもやっていた。
また今度Mystery Jetsの来日公演でもサポートをするし、方々のイベント、ライブにも積極的に参加している印象がある。
私が図らずも数回音源も聞かずライブを観ていたのも彼のそうした態度によるものだろう。
そうしてファンになっているのだから、やっぱり続ける事って大事だよね。
などと偉そうに言ったけど、業界筋でも評価も得ているし、リスナーの支持も集めているのだから素晴らしいことである。
ヒットチャートとはだいぶ遠いところにいるバンドなのだけど、彼のこうしたスタンスを見ているとまさにオルタナという言葉がしっくりくるようにも思う。
好みは分かれる音楽だとは思うけど、機会があれば是非聞いてみてほしいし、ライブを観てみてほしいバンドである。
"永遠の複製"