音楽放談 pt.2

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ちゃんとしないと -トリプルファイヤー

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先日会社の最寄駅で、会社までの道すがらある中年男性が私の目を引いた。

私の職場は都心にあって、場所を言うと大概褒め言葉が出てくるエリアなんだけど、田舎者の私には一生縁のないエリアだと思っていたところ今である。

とりあえず金持ちと鼻持ちならない奴らが多いエリアではある。

そんな中を行くこのおっさん、どうやら銀行のATMにでも行きたかったのだろうと思われるが、明らかにウェストのゆるいジーンズをずり落ちないように必死に手で持ち上げながら歩いて行く。

顔が結構必死で、みていてなんだかハラハラさせられるのだけど、なんだかツッコミどころが満載である。

なんでベルトをしてこなかったのか、なんでこんなダボダボのジーンズをチョイスしてしまったのか、ていうかなんでこんな人がこのエリアで生活感を丸出しにしているのか。

結局彼がどこから来て、どこへ行ったのかはわからないのだが、街中にはたまにこういった奇妙な、やけに目を惹く存在がいて、それが面白い。


さて、最近ネットの記事を見ていると、何かしらの常識であるとか、日常風景に対する疑問なんかを問うようなものがちょくちょくある。

この間も電車内でのマナー啓発のポスターの内容についてああだこうだと議論があったらしいのだが、この手のもので見かける意見で気になるのはそれぞれが訴えるある種の常識というか、正義感というか、俺は私は正しいことを言っている、とでも言いたげな堂々たる感じである。

言葉は若干違っても、見えない相手に「その通り」と言ってほしい感じがにじみ出ている感じがして、ちょっと気恥ずかしい気持ちにさせてくれる。

それこそ芸能人の不倫の記事が出て来た時もそうだし、反対にレディ・ガガへの謎の賛辞は4年前から変わらない言葉で出てくる。

みんなよっぽど自己顕示欲が強いのか、承認欲求が不満なのか、いずれにせよ何かのしわ寄せかな、などと勘ぐってしまいたくなる。

もちろん否定されるよりは肯定されたいし、それは私も一緒である。

こんな自己満足の塊のブログでも、コメントをもらえれば嬉しいし、それが肯定的であればなおさらで、反対に否定的なことだとやっぱり悲しい気持ちになる。

そうはいってもそれは仕方ないことだと思うし、ショック受けながらも受け止めねばなあないだろうと思う。

まあ、うっせぇ!とか思っているけどね。

ただ、すごく気になる理由はその背景にすごく排他的な空気というか、そのほかの価値観なんて認めねぇとばかりの空気がある感じがすることだ。

もっと緩やかでもいいんじゃないかと思うけど、みんななんか余裕がないよね。


そんな前置きをして紹介するのは、一部ではすっかり評価も固まった日本のインディバンド、トリプルファイヤーである。

コミカルな歌詞ながらその演奏は非常にタイトで、音数少なめながらになかなか上がってくる。

ヴォーカルも歌ともラップともつかない感じなのだけど、このゆるさが素晴らしい。

「だらしない54-71」などと言われるように演奏は実にかっこいい。

先ほどコミカルと書いた歌詞についても、ちょっと深読みすればかなり皮肉っぽいというか、含蓄のある表現にもなっているので、ちょっと立ち止まって考えて見てほしい類だ。


このトリプルファイヤーのヴォーカルは吉田という男なのだけど、彼はTVにもちょくちょく出たり、フリースタイルの大会に出たりと、バンド以外でも注目を集めている。

フリースタイルバトルでは実力派と言われる呂布カルマとも対戦しており、その時の動画が上がっているのだけど、これが非常に面白い。


「第一印象、かわいそう」などと言われてしまうが、見事なパンチラインを返しているあたり、彼の言葉のセンスには光るものを感じざるを得ない。

ちなみにこんな童顔だが28歳だ。

余談だが、呂布カルマが認めるHipHop以外のアーティストとしてアナログフィッシュをあげていたらしいのだけど、この時すでにアナログフィッシュとの共演が決まっていたので、それを言ってやろうと思ったけど言えなかった、というエピソードがちょっと好き。


彼らの1stフルアルバムも絶妙なゆるさの中に鋭い視点も混在する曲を披露しているが、その中でもこの曲を紹介。

”ちゃんとしないと死ぬ”という曲なのだけど、短く端的な言葉の中からにじみ出てくる奇妙な逼迫感とか、強迫観念といってもいいくらいの現代的な感覚を感じ取ってほしいところだ。

もっとも、そこまで考えているのかはわからないけど、多分考えてる、あるいは勝手に感じ取って言葉になっている、と私は思っている。

”ちゃんとしないと死ぬ”


実際はちゃんとしてなくても死なないのにね。