
どういうきっかけかわからないが、ふと大学のときに社会人枠できていた人のことを思い出した。
確か何かの講座で一緒だった人で、どういうわけか一度だけ飯を食い酒を飲んだことがあった。
大学の近くの中華屋だったけど、そこで初めて紹興酒を飲んだ記憶がある。
何を話したかもその人の名前も覚えていないけど、当時60近いおじさんだった。
20そこそこのガキどもの中にあるので、どこか落ち着こうとしているところがありながら、なんだか楽しそうだったなという記憶がある。
私も最近せっせと勉強していることがあるんだけど、それは美術について。
勉強といっても別に筋道立ててやっているわけではないし、もちろん試験なんてない。
もともと美術館に絵を見に行くのは好きだったけど、ただ好きかそうでないかだけで見ていたところに、もう少しちゃんと歴史含めて知ろうと思ったわけだ。
なんでこの絵がすごいと言われるのか、なぜ評価されているのか、なぜこの年代はこういう呼ばれ方をするのかなど、なんとなく見過ごしてきたことを改めて本を読んだりネットを見たりして調べて、その目で改めて見て見るわけである。
そうすると、なるほどなとそれまで見えていなかったことが見えてくるし、個人の好みとしての好き嫌いとは違う視点で見えてくるから面白いのである。
それが芸術を見る目として正しいかどうか見たいな議論ももちろんあるんだろうけど、視点は多いに越したことはない、というのが私の根本の価値観である。
別に絵に限らず、仕事でもなんでも1つの視点から見るよりも3つ4つといろんな視点で眺められる方が、圧倒的にその作品を楽しむ幅を持てるということだから、いいことだと思っている。
スノッブにならないようには気をつけないとね。
こうして色々調べたり考えたりしていると、先のおじさんじゃないけど、改めて学校で勉強したがる気持ちがよくわかる。
それこそ音楽についても、いろんな楽器に触れる機会ってそんなにないし、学校の授業って実はすごくいいよね。
美術にしても、今改めて教科書とか読んだら多分楽しいんだろうなと思う。
少し前の関ジャムでも音楽の教科書について特集していたけど、単純に面白いんだよね。
当時はテストに受かるための勉強という側面が強かったし、なんなら音楽や美術の授業は苦手だった。
写生大会では賞をよくもらっていたし、カラオケは今では大好きだけど、当時は歌を人前で歌うのは恥ずかしくて仕方なかったし、絵は苦手意識しかなかった。
単に自意識が過剰だっただけなんだけど、当時の自分には是非素直になれといってやりたい。
もっとも、そういったところでそうできないから悩んだんだろうけどね。
勉強って実は結構楽しいし、知らないことがわかるようになる経験ってすごく刺激的だ。
なんで楽しくないかといえば、それが点数で評価されるからだ。
それで褒められたり怒られたりするんだから、そりゃ楽しくないよね。
勉強ができてもスポーツができる奴ほどには褒められないし、できなきゃ怒られるって、学生が勉強なんて好きになる理由がない。
だけど、社会人になると自分の興味があることを掘り下げる中で勉強をしていくから、そりゃ楽しいよね。
残念ながらこんなことで持てるようにも注目もされないのは変わらないけど、少なくとも勉強にストレスはない。
まあ、仕事に直接関わる勉強は相変わらず楽しくないから、結局本質は変わらないんだけどね。
今日も書店に出かけて、特に目的もなく立ち読みしていたんだけど、ふとそういえばと思い立って少し悩んで本を買ってきた。
西洋絵画の歴史をさらっとまとめた、いかにも資料集みたいな本だ。
まさか自分がこんな本を買うことになるとは昔は思わなかったけど、単純に面白いんだよね。
ちなみに、今日のトップ画はさっき30分くらいで描いてみた絵である。
印象派の絵が綺麗で好きなんだけど、それを描こうと思ってもやっぱりデッサンのレベルは当然低いし、水彩画で適当に塗りたぐっただけだからそりゃ稚拙だけど、でも絵を描くのは楽しいよね。
こうして文章を書いているのも楽しいし、わからないなりに音楽をああだこうだといっているのも楽しい。
水彩画と油彩画の違いや、水彩画ならではの技法みたいなものも最近改めて知ったんだけど、学生の時はそんなこともわからなかったから、それをわかって書いて見るとそれもすごく楽しんだ。
芸術って一部の人の特権的な仕事かと思っていたけど、本質的には個々人が好き勝手に楽しめばそれで良くて、たまに天才が現れて新しい形を示してくれることでまた素人たちに刺激を与えてくれる程度なんだろうな。
音楽にしても、そういうイノセントさというか、みずみずしさみたいなものが感じられるものってとても好きなんだよね。
今日は出かけにCorneliusの『Senseous』というアルバムを聴いていた。
もう10年以上前のアルバムになるけど、みずみずしさみたいなものがあって、明るくて彼のキャリアの中でも好きなアルバムである。
中でもズバリな"Music"という曲は、根源的な感じがしていいよね。
いろんな音が渾然となって一つの音楽になっているのもこのアルバムの素敵なところだ。
所詮人生なんて自分勝手に好き勝手やったやつの勝ちなんだろうなとつくづく思うよね。