音楽放談 pt.2

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いつかは消えてしまうけれど ーThe Spellbound

今日はThe Spellboundのライブへ。

 

これまでボーナス的に演奏してきたBoom Boom Satellitesの曲をセットの中心に据えたライブとなり、全国ツアーを回っていた。

 

元々BBSのファンでもあった小林くんの声質が、思った以上に川島さんと近かったこと、また小出しにしていたカバーがおそらくファンにも好評だったのだろう。

 

ただ似ているだけでなく、何よりそこにリスペクトも見えてきて、中野さんにとってもとても信頼できるパートナーになってきたこともあると思うし。

 

カバーではなくBoom Boom Satellitesとしてライブを行うことになったわけだ。

 

小林くんのギターは川島さんのフライングVだ。

 

言って仕舞えばノスタルジーだし、思い入れのない人にとってはなんこっちゃだろう。

 

でも、後からでもぜひBBSの軌跡や、最後の瞬間について調べてみて欲しい。

 

活動終了と銘打たれ、当時の中野さんのインタビューの、なんとも言えない切なさとか悲しさとか、今思い出してもギュッとなるような思いがする。

 

そこへきて、こうしてかつてのバンドの名前を全面に出してのこのライブをやろうとなった心持ち、その中野さんの思いとかそういうのを想うだけでグッとくるよ。

 

このバンドとしての活動を通して、止まっていた時計がようやく動き出すような感覚だったんだろうな。

 

 

前半はBBSの曲を展開。

 

バックドロップにもデカデカと「BOOM BOOM SATELLITES」とロゴも含めて刻印されており、その時点でなかなか胸熱だ。

 

私は彼らの曲の中では”Moment I Count”が1、2を争うくらい好きな曲なんだけど、序盤に投下されてそりゃテンション上がるよね。

 

"Dive For You""Kick It Out""Easy Action"などのぶち上げ曲は何より、驚いたのは”Lay Your Hands On Me”も披露。

 

彼らの最後となった曲だし、特別な想いのある曲だと思うが、この曲をライブで披露することそれ自体が大きな意味だったんだろうなと思う。

 

この曲をリリース後、程なくして川島さんは亡くなってしまったわけで、ライブでの演奏はラストのあのライブだけだったろう。

 

それを、こうして彼らの音楽を聴いてきた小林くんが、川島さんの声色に近い歌声ながら、彼らしい肉体性を持って表現しているのだから、それだけで素晴らしいことだ。

 

 

後半はバックドロップも変わってThe Spellboundだ。

 

曲自体はまだ多くないので定番セットになるわけだけど、BBSもSBもどちらも今になった瞬間と言えるだろう。

 

終わらせる必要はないし、ずっと背負っていけばいい。

 

代わりがいるわけじゃなくて、ちゃんと受け継がれているということが示されたようなライブだった。

 

私はThe Novembersも好きで、しかも小林くんは同い年なので勝手に親近感を持っているのだけど、人生は幸福な出会いっていうのがあって、彼らに取ってはまさにこのバンドがそれだったのかなって。

 

ちなみにドラムはBBSでも叩いていた福田さんと、対面にはYelYelというバンドの若いドラマーも。

 

そんな中、中野さんがMCで「ここにいる誰よりも長生きします」と半ば冗談まじりに話していたけど、そんなに饒舌でもない口調の中にいろいろの思いが溢れていて、しばしば言葉につまりながら話していたのが印象的だった。

 

 

The Sellboundは、SNSで中野さんが相方を募集したところから始まったプロジェクトだ。

 

そこに普通に応募した小林くんが選ばれたところからだったのだけど、当時はBBSのファンの人の大半は、この若造誰?みたいな感じだった。

 

彼ら自信も、手探りでやりながらなかなか形にならなかったという事を言っていたけど、ある時カチッと何かがはまっただろう。

 

Novembersの音楽とは全然違うタイプの楽曲ながら、昨今の彼の活動だったり歌詞だったりからは、それとなく納得感のある感じなんですよね。

 

今日みたいにセットを明確に分けているとその事で改めて浮き彫りになることもあるなと思っていて、BSSはハイファイでデジタルな感じだが、SBはもっと人間的な印象がある。

 

しかし、共通するのはライブの肉体性だと思うのだけど、それが結実しているようなライブだった。

 

BSSの曲はやっぱりかっこいいし、小林くんが歌うとやっぱり彼の個性も出てくるからすごく良かったのだけど、でも個人的にはSBの”はじまり”がやっぱり感動的だった。

 

この曲は歌詞も演奏もよくて、すごくアップリフティングな曲である一方で、ちょっと寂しさとか切なさがあるんですよ。

 

歌詞は小林くんが書いているんだけど、まるで中野さんのことのようにも感じるし、もっとシンプルに新しい環境に向かう人の普遍的なアンセムにもなる。

 

そして同じくいいのが”Flower”、これもSBならではって感じの曲で、「新しい誕生日」という歌詞が印象的なポップでパンクな曲だ。

 

 

最近も様々なアーティストの訃報があって、ファンからしてみればもちろん悲しいわけだが、長年一緒に過ごしてきたメンバーにとっても、それ以上の衝撃であるはずだ。

 

そんなに都合よく割り切れないし、どんなに時間が経っても消えないものがある。

 

だけど、それをいい意味できちんと向き合わせてくれる出会いだったり巡り合わせだったりは、とても幸福なことだと思う。

 

とのタイトル通り、愛に溢れたいいライブでした。

 


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