最近土日は家で酒を飲みながらYoutubeとかアマゾンプライムで映画を見て過ごしている。
昨日は某ポッドキャストでも話題に上がった『スカーフェイス』という映画をみたり、久しぶりに本を買ってみたり。
KINDLE版だけど。
いずれにせよ、自分でも薄々気がついていたがこうやって一人で興味のあるあれこれをしながら酒を飲んでいてもさして病むことはないし、たまには人とわちゃわちゃしたいと思うけど、元々人といると気を遣って疲れてしまうタチなので、無理しなくていいのは快適である。
配信コンテンツも多くなってきているので、それで結構楽しいんだよね。
さて、そんな配信コンテンツの中にはライブ映像ももちろんあるわけで、昨年10月のアナログフィッシュなんかは配信とのちにDVD化もされて、もちろん買ったさ。
普段のライブとは違うロケーションで、無観客だからこそ却って音質も拘った映像作品ならではものが出来上がったのは数少ないポジティブなトピックかもしれない。
私が好きなアーティストの中では、The Novembersも近しい試みをしている。
彼らは大谷資料館という自然環境も生かした文化施設でのライブを観光、生ではないが配信と合わせて前日Blue-rayもリリース。
アルバム『At The Beginning』のツアーができなかった分、その再現ライブとして行われたものだ。
この大谷資料館(おおや、と読むらしい)は栃木県にある施設らしいが、彼らが栃木出身ということもありロケーションに選ばれたのだろう。
また最新作はインダストリアル的な色が強い楽曲が耳を引くわけだが、その音がこの地下洞窟でどのように響くのか、という話である。
ちなみに白状すると、私は配信時は忙しくてみることができなかったのでこの映像作品としてリリースを心待ちにしていた。
嬉しいことにBlue-rayだけでなくCDも付いていたのでそちらも愛聴している。
先行で買ったのでハイレゾ音源もDLできるが、聴ける環境がないのが悔しいところだ。
そんな映像作品だが、結論からいうとめちゃくちゃいい。
映像だけでなくCD版の音源もめちゃくちゃいい。
アルバムの曲順に演奏されるわけだが、冒頭の"Rainbow"は小林くん一人による弾き語りなのだ。
これでもしっかりハマるのは、そもそも彼らの曲自体がいいということに他ならないだろ。
そこからの2曲目から凄まじい重低音と轟音展開満載、アルバムの世界観も本領発揮といったところか。
彼らの大きな転換点、というか一つの集大成となったのは『Hallelujya』(2016年)だろう。
それまではArt SchoolやSyrop 16gの系譜に位置付けられそうな、いわばオルタナ系鬱ロックとも言える世界観だった。
ちゃんと聞けばそんなこともないんだけど、彼らのビジュアルイメージもあって私はそんな捉え方をしていた。
なので、初めて彼らを見たライブでは正直ちょっとしんどいなと思った記憶なのである。
Nine Inch Nailsが大好きな私なので、別のその手の世界観がそもそもダメというわけではないのだけど、日本語では言ってくることの直感性もあったし、彼らの出立やファンの子たちを見てう〜ん、と思ってしまったのが彼らとの出会いであった。
しかし、その後なんだかんだライブでめちゃよくみる機会があったのだ。
それこそBack Drop Bombのトリビュートアルバムに参加しているしライブにもでるし、Mouse On The Keysとの対バンライブやったりと、私が好きでよく聞いていたアーティストとよく共演もしていた。
そうなると聞くとはなしに聴く機会も多くなり音源もきいてみようかしら、なんて思っているうちに気がついたらアルバム全部買っているし、一度単独も行ってみようとなっていたのだ。
その単独がまさに『Hallelujya』 のツアーファイナルだったと思うんだけど、めちゃいいやんけ、となり以来ただのファンとなっている。
その後調べている中で小林くん同い年やん、ということも知り、勝手に親近感も合わせてインタビューなんかも読んでいる。
Boom Boom Sattelitesの中野さんとやっているThe Spellboundももちろん聴いている。
また図らずもBo Ningen、Lillies and Remains、PLASTICZOOMSとも親交がありイベントで共演したり共同開催したりということもあり、すっかり大ファンになっていたりする。
『Hallelujya』はそのタイトルからして、ある種祝祭感もある曲から始まり、彼らのルーツの一つでもあるラルクっぽい歌メロもあり、全体的にポップでありながらこれまでの彼らをちゃんと感じる作品で、なんか変わったぞ、しかもいい意味で、と誰しも思っだろう。
実際それ以降メディア露出も増えたし、RIDEのオープニングアクトを務めたり昨今のマイブラブームでもしばしば登場するなど、少なくともこの界隈ではすっかり中心的な存在になったと言えるだろう。
別にタレント的な側面だけでなくて、ベンジーのバンドでもサポートギターやってたり、ベースの高松さんのリリーズでのサポートはじめ、他のメンバーもバンド外の活動もかなり活発である。
ドラムの吉木さんも自身のファッションブランドから派生した音楽プロジェクトもやっったりと、活動もいい感じに広がっている印象だ。
当時のツアードキュメンタリー/ライブDVDはクラファンを使ってリリースに至った作品だが、そのドキュメンタリーも日本のオルタナ音楽を聴いている人であればしびれるメンツが登場している。
と、まあそうした周辺的な情報はともあれ、それ以降の彼らがどんな音楽を展開するのかというのも注目点だったわけだが、音楽性としてはルーツを引き出した点はこれまでと同じベクトルながら、まさかのインダストリアル風味、かつAKIRAのようなサイバーパンク風味も出てきた音楽で、それまでとはまた違った色を見せたことが驚きだったわけだ。
業界的には録音環境や音響的な部分でもかなり反響を生んだようで、すでに彼らが違う次元に至っていることを示しつつ、それを当然のように受け止められる環境があったのは私もびっくりした。
偉そうに言って申し訳ないが、大きくしたスケールがさらに拡大したような感じで、やっぱ突き抜けたなと思ったのですよ。
そこへきて『At The Biginning』はさらにそれを推し進めて、元々あったメロディアスさも狂気的な部分もありつつ、さらに音はスケールアップしていた。
音の強度もガッツリ増していて、彼らの充実度が伝わってくる思いだ。
コロナ最中のリリースとなったのでライブはなかったわけだが、その分気合の入った映像作品となっている。
重低音がまた素晴らしく、小林くんのシャウトも健在。
私この1年でスピーカーも買ったんだけど、買ってよかったよね。
本当はもっと大音量で聴きたいんだけど、さすがに近所迷惑なのである程度の音量に納めているけど、これはやっぱり生で聴きたい音楽だ。
鼓膜だけじゃなくて心臓から震わせるような経験は、やっぱりライブならではだしね。
ちなみに、この作品は正味1時間くらいの割と短尺ではあるんだけど、流石にBlue rayにしただけあって映像も綺麗で迫力満点。
ケンゴさんのギコギコや高松さんの5連符?など、見どころ満載だ。
またライブ本編以外にも、メンバーによるライブ見ながらの座談会も収録されており、その様子も面白い。
割とちゃんと回そうとする小林くん、演奏が始まると話聞いてないケンゴさん、淡々としている高松さんと吉木さんという感じで。
直近の活動状況も語られているので、ファンなら必見である。
彼らも10年以上のキャリアになるバンドだけど、お互いの距離感を見ていると絶妙だなと思うよね。
結局作品について全然書いていないけど、音楽もやっぱり体験だなと改めて思った次第だ。
7月にはツアーもあるので、そのチケットは無事ゲット。
久ぶりに生でみるかれらを楽しみにしつつ、このライブ映像で期待値を高めておこう。
元々鬱っぽい世界観を提示していたバンドが、キャリアを重ねる中でこんな時代でも希望のようなものを感じさせる音楽を展開するなんて、誰が想像したであろうか。
今という時代ほど、力強い言葉や音が救いになることもあるだろうし、こんな環境下とはいえリアルで、体で体感できることも嬉しいことだ。
ツアー楽しみ。
私にとっての幸福は、コミュ障ではあるがこうした音楽に素直に救いを感じられる感性を持っていたことかもしれない。
とりあえず、ライブ本編を楽しみに待ちつつ、楽しませてもらおう。
6000円とちょい高めではあるが、その価値は十二分にある作品である。