音楽放談 pt.2

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"Negative Creep"がポジティヴ?に響く ―Bleach

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最近またNirvanaを聴いている。

もちろんそれのみ、という事ではないが、久方ぶりに我がi-Podに復帰した訳である。

きっかけというのは、会社の人から借りたライヴ盤。

昨年末に出た奴ですね。

時間の都合でまだ全部を観た訳ではないが、それでもかっこええわぁ~と思うには十分であった。

で、久しぶりに音源を掘り起こしてみた訳さ。

デジタル時代なのでそれほど苦もなく掘り起こされた音源を聴きながら、改めてNirvanaて素敵、と思った訳である。


Nirvanaと言えば、未だに町中でそのTシャツを着ている人を見かけるし、Rockin'onやCross Beatといった雑誌では未だ表紙に取り上げたりもする。

まあこの2誌に限らず、およそ洋楽ロックを扱う雑誌ではそうであろう。

Beatlesなんかもそうだけど、もはやレコード会社や著作権社にとってはこれ以上にないコンテンツの一つであろう。

なにせ売れるのだから。

やたらとベスト盤が量産されたり、何種類ものボックスセットが出されたり、リマスター版を出すたびに異なるライブ版をバンディングしたりと、うれしいやらムカつくやらやるせないやら、そんな複雑な思いも抱かせられる。

ここまでのロックスターというのは向後出てこないだろうな。

RadioheadOasisなんかはこういう対象にはなりにくい感じがするし。

いわゆる伝説になる感じではない気が、個人的にはするな。


まあそれはいいとして、売れる事を拒んだ末自殺した男は、死後も記録を塗り替えるほど売れまくっているという現実は、もはや皮肉でしかない。

そう思いつつも出た音源は出来る限り聴いてみたいと思う自分もいて、事態は尚複雑である。

悲しいのは、既に古典化して、ある種のファッションになってしまっているところだろう。

それもこれも彼が良い曲を書いたから悪いのである。

時代の必然みたいなものもあったにしろ、どこまで行っても皮肉な人生をたどる運命にあったとしか思えない。

そういうある種の必然性が、また彼を伝説へと導いて行くのだろうか。


そんな観念的な話はこれくらいにして、今日はそんなNirvanaの記念すべき1stアルバム「Bleach」について。

今では同名タイトルの漫画の方が日本ではおなじみになってしまっているかもしれないが、そこにしか結びつかない奴は聴かない方がいい。

で、このアルバムは個人的には、アルバムとしての聴きやすさも含めて一番好きである。

楽曲のベクトルにはそれほど大きな違いはないと思うけど、ムードが違う。

ある意味純粋な感じがするのですよ。

音はざらついて、ゴリゴリしていて、粗暴で、攻撃的であるにも関わらず、どこかしらにポップな要素は潜んでいて、耳に残る。

ここ最近の新人バンドのようなテクニカルさはないが、爆発力はやはり圧倒的である。

それに、やっぱりカートの声って、いい声なんだよな。

割と高い感じなんだけど、高音部を唄うときのザラついた感じが何とも言えない。

歌唱力云々ではなく、曲の世界観であったり、勢いであったり、といったものと非常にマッチしていて、これしかないだろう、と言わしむる魅力があるのである。


収録曲にしても、最初に出たセルフタイトルのベスト盤にはこのアルバムの曲は1曲しか入っていないが、だからといって捨て曲ばかりなわけではもちろんない。

というよりも、むしろ捨て曲なんてないんだけどね。

Nevermind」以降と比べると、(プロデュースも含めて)洗練されてない感じはあるものの、曲そのものはむしろ初期衝動そのままな感じで、ある種の本質があると思うし。

ジャケットも非常に秀逸なんだけどね。

一般にNirvanaといえば、どうしても「Nevermind」が代表になってしまう。

セールスであったり、不朽の名曲"Smells Like Teens Spirit"が収録されていたり、あるいは全体に非常にポップに仕上がっていたり(本人たち、とくにカートはそれが気に入らなかったというのは有名な話であるが)といった要素を考えれば、まあ当然であろう。

また、一部病んでいると思しきファン層からすると、実質のラストとなった「In Utero」をベストに推す人もかなりいる。

私もその一人ではあるが、いかんせんこのアルバムのトーンは重たすぎるのである。

素面で聴くにはちと辛い、というのが正直なところである。

それでも、"Rape Me"をファッションで唄う奴がいたら本気でムカついてしまうような私は、どこか病んでいるのであろう。

まあ、歌詞なんかを観て行けば、むしろこのバンドの世界観自体が時代の病理を表していると言えなくもないしね。

そうした外的要因なんかも加味してみると、Nirvanaらしくて、かつポジティヴなフィーリングを感じられるのは、やはり1stだと思うのですよ。

音楽性こそ違えど、Joy Divisionのアルバムなんかも、ダークなトーンは変わらずとも1stの方が煌めいて見えるのは、やはりバンドのモチベーション的な部分が大きいと思うのですね。


そんな訳で、再び聴いているNirvana

いつきいても魅力的に響くのは、そこにはたしかな普遍性があるからに他なるまい。

単にポップと言う意味ではない、もっと本質的な意味での普遍性が。

ちなみに、ライヴ盤を貸してくれた人は、Oasis大好きな人で、Nirvanaはなかなか素面では聴けない、というのが正直なところだそうだ。

そういう意味では普遍、ではないのかもしれないけどね。

こうして観てみると、やっぱりBeatlesって、すごいよね、なんて話がずれちゃうけど。


ともあれ、Nirvanaにすこしでも興味があるのなら、Nevermindだけでなく、1stも是非聴いてみてほしいと思う次第である。