今はお盆期間ということもあり、結構まったり過ごしている。
特に会社休みはないので、私は普通に出勤した1週間だったけど、なんとなく集中力も欠いていたな。
それでも最低限の仕事はしていたけどね。
そんな状況もあって、今週半ばには空間現代のライブへ。
1月にBo Ningenとの対バンという私にとってはまさに最高なマッチングがあったにも関わらず、クソみたいな仕事のせいでいけなかったのだ。
空間現代のライブは見たことなかったので、ようやく巡り会えた機会だ。
彼らの音楽は一言で言えば奇妙だ。
カット&ペースト、コラージュのような音楽をやっていて、世界屈指の変わり者である。
変わり者だけあって、最近では海外公演も行っているし、最新アルバムはSunn((Oのレーベルからという有様。
彼らにとって日本は狭すぎるらしい。
ちなみに、早稲田大学出身らしいね。
彼らのインタビューを読んだけど、まあ言葉の量が多い。
やっぱり変わっている人は変わっているのだ。
彼らは今のところ3枚のアルバムを出しているが、1st、2nd共にポップとキワモノの境みたいな奇妙な音楽である。
レコードの針が飛んだように切れ切れな音を紡ぎながら、時に急に曲調が変わったり、一応ヴォーカルもあるけど何か叫んでいるだけにしか聞こえなかったりと、要するにポップではないだろう。
しかし、実は坂本龍一ともコラボしていたりもするので、本格的なアート志向のバンドだと言える。
ポップではない、といったが、いうてもそこはかとなくわかりやすさはあるし、その奇妙さを楽しめればなかなか楽しい音楽だと私は思っているが、最新作『Palm』は随分とダウナーな作品になった。
これまでの2作のアルバムは『空間現代』『空間現代2』というわかりやすいものだったが、今作は初のちゃんとタイトルが付いている。
タイトルが付いているだけでなく、全体の雰囲気もだいぶ変わった。
のっけからかなり重たいというか、空気が重いのだ。
以前から彼らの音楽には独特の不気味さみたいなものがあったんだけど、今回はそれとはまた違った不気味さがあふれていて、まあ間違いなく売れない類の音楽だ。
だけど、インタビューを読んでもわかるけど、彼等は本質的にアートである。
そうした違和感みたいなものをあえて求めているようなところがあって、それが妙に好きなのである。
ともあれ、ライブでの焦点はあのコラージュみたいな音楽をいかに再現するかである。
で、結論から言うと、ドラムめっちゃ大変そう。
一体どこでリズムをとっているのかもよくわからないし、どこからどこまでが楽譜的な音楽なのかもわからない。
歌?はあるけど、たまに叫ぶくらい。
今回のライブでは、アルバムでもコラボしたMoe and Ghostも3曲くらい客演。
ラップ?的な言葉を乗せてはいるけど、ほとんど何いっているかわからない。
いやほんとに、何をやっているのかがさっぱりわからないんだけど、それが面白いのだ。
不思議なもので、理解できるもの以上に、時に理解できないものの方が面白いのだ。
ベースがひたすらミニマルで、ギターは好き放題な印象。
ドラムはわけのわからないフレーズをひたすら叩き出す。
いやでも、いいものが見れましたよ。
新作からの曲を軸にしつつ、過去曲もきちんと演奏、時間は正味1時間半くらいだったけど、アンコールもなく終了。
あれだけのライブをやってアンコールはさすがにきついだろうね、特にドラムの人。
メロディーのある音楽は、確かにわかりやすいし聴いていて素直に楽しい。
一方でこういうわけのわからなさに圧倒される音楽も、それはそれで楽しいのである。
私は、人生において重視していることの一つが圧倒されることである。
私にはできない、と思わせてくれる体験があるほど楽しくなる。
私はカラオケはそこそこうまいと言われるし、絵も下手ではない。
字も本気で書けばそこそこ綺麗に書けるし、文章だって普通以上は書ける方だと思う。
だけど、全てそこそこでしかないから、どんな分野でもぶち抜けた人がいるとそれだけで尊敬しかしない。
彼等の音楽は世界的に見ても特殊だし、何やっているのかはさっぱりわからない。
でも、彼等には彼等の表現したい世界があって、曰くそれはちょっとの違和感とのこと。
人生にはちょっとの歪さがあった方が、面白いと思っている。
理解できないものがあって、それを受け入れられる方が、人生は面白いと思っている。