今年は色々あったな。
個人的には激動と呼ぶにふさわしい1年であった、ように思う。
世間的にも時代は変わり、平成から令和である。
時代は常に変わっていくものだ。
さて、ここのところこの個人的年間ベストも、考えるのに苦労するようになってきた。
音楽自体は聴いているけど、その時間は減ってきているし、以前ほどCDも買っていないこともあり、自分の中で体系的に整理することが難しくなってきているのだ。
Sportifyって、便利だよね。
そんな中で優劣をつけられるはずもなく、ベストとか位置付けることが難しくなってきている。
とはいえ、私にとっては大事な行事だし、なんだかんだ印象的だったアルバム、音楽はちゃんと存在している。
なので、今年も昨年同様よく聴いた音楽という視点で整理しておこう。
まずはこれ。
1972 - Broken Social Scene - Live from Here
Broken Social SceneのEP『Let's Try The After』、とりあえずVol.2まで出ているが、どこまで出るのかは定かではない。
長い沈黙を経てリリースされた前作、そこからは間をそれほどおかずEPという形で2作がリリースされたのだけど、どっちもまじで良かった。
私は彼らの音楽を聴いていると、とても救われた気分になる。
自分が許容されている、受け入れられているような感覚になるのかもしれない。
彼らの音楽は本当に私は大好きで、その理由はそこに本質的な救いがあるように感じるからかもしれない。
こういう言い方をすると、なんだか宗教じみて聞こえるかもしれないが、そうではなくて、彼らの音楽には全てを受け止める寛容さのようなものがあるのだと感じるのである。
聴いていて本当に気持ち良くて、心地よくて、世界が明るく見えるのである。
Vol.3が出るのかどうかはわからないが、いつだっていつまでだって待っている。
いやでも、本当にいい曲たち。
続いてはこちら。
The National - Where Is Her Head
こちらもアメリカのバンド、The Nationalの『Easy To Find』から"Where Is Her Head"。
女性ヴォーカルを全面にフィーチャーしたアルバムになっているが、中でも個人的に好きなのがこの曲。
女性のコーラスとストリングスのアレンジの美しい1曲である。
彼らはアルバムを出すたびに専門家筋には好評を得ながらも売れているかといえば、この日本においては特にそうでもない。
かくいう私も彼らの何が好きなのかよくわからないというのが正直なところだが、なんだかんだアルバムはほぼ全て持っている。
前作はグラミーも撮ったので本国アメリカではきっとちゃんと評価もついてきているのだろうが、おじさんの草臥れたヴォーカルを好んで聞く人はここ日本には少ないだろう。
だけど、じんわり染みてくる感覚が彼らにはあって、たまらなく恋しくなる時がある。
この最新アルバムは、そこに華やかさが添えられていい仕上がりだ。
2020年の3月には来日、しかも2daysもある。
是非この機会に聴いてみて欲しいバンドである。
続いてはこちら。
LITE / Blizzard (LITE 15th Live)
日本が誇るインスト、マスロックバンドのLITE『Multiple』。
前作まではシンセも使ったかなり忙しい音楽をやっていたが、このアルバムでは改めて原点回帰とて生楽器主体のもっと忙しい音楽をやっている。
早送りなのかと思えるくらいのクソ早い上の複雑なフレーズの応酬、彼ら以外に誰が演奏できるのかと、ある種スポーツ的な驚きさえ思わせる。
初めて聴いたときは地味にすら感じたが、今に至れば彼らがとても楽しんで作ったのだろうなということさえ感じるアルバムである。
ストイックさは彼らの代名詞だ。
日本語よりも外国語のコメントが光るのも、彼らの存在が日本では狭い証左ではないだろうか。
続いてはこちら。
Deerhunter - Death in Midsummer (Official Video)
Deerhunterの『Why Hasn't Everything Already Disappeared?』。
かつての死が常に付き纏うような後ろ暗い感じがなくなって、どこか救済すら感じる音楽になっている。
いいじゃないか。
インタビューなんかを読んでも、ブラッフォードがだいぶ健全になったのかな、なんて思わせてくれる。
今年買ったアルバムの中では、一番長く聴いているかもしれない。
単独でもまたみたいバンドであるね。
ここで個人的な好みを。
The Faintの『Egowerks』だ。
個人的にこのバンドが大好きで、本当に来日を待ち望んで止まない。
世間的にも音楽雑誌的にも全く話題にならなかったが、だからなんだ。
彼らは変わらずかっこいい音楽を作っている。
そして私を踊らせている。
それ以外に必要なことがあるだろうか。
来日、待ってます。
日本のベテランからも彼らを忘れてはいけない。
THA BLUE HERB "REQUIEM"【OFFICIAL MV】
日本のアンダーグラウンドヒップホップ代表、Tha Blue Herbの『THA BLUE HERB』。
セルフタイトルという2枚組の超大作、50間近の彼らの発する言葉はなんなのか、それは2枚組という大きな中で見せられた人生だ。
彼らの視点の鋭さは、正直かつてほどではない。
このアルバムを退屈だと思う人がたくさんいるのも良くわかるし、私も何回か聴いてもあんまりピンと来なかった。
でも、今に到ればなんとも滲み入るものもある。
万人に勧めようとは思わないが、耳を傾ける価値が彼らにはある。
ライブは相変わらずの圧倒的なクオリティなので、やっぱり彼らは現役なのだ。
次は日本の若手。
Yogee New Waves - Good Night Station (Official MV)
シティポップという言葉もどこか風化し始めたが、彼らの音楽はまさに都会的な風情があふれいる、というのは田舎出身の都会暮らしが思うところだろうか。
いちいち小洒落ている。
だけどちゃんと寄り添っている。
いい曲、いい歌、いいギター、いいベース、いいドラム。
若手バンドの中ではダントツで好きである。
イヤ本当、大学の時に彼らに出会っていたら、もう人生が変わっていたかもしれない。
かもしれない。
無理やり締めるが、ラストはこちら。
AA=の『#6』。
正直年々ライブから遠ざかっているアーティストだし、昔ほど熱狂もしていない。
だけど、なんだかんだ音源が出れば聴きたいし、聞けば相変わらずかっこいいななんて思うわけだ。
40過ぎようが50過ぎようが、むかつくことには腹を立てるし、間違っていると思うことには立ち向かう、そんなスタンスは持ち続けていたいものだ。
まあ、私は偏屈の塊なのでしばしばそんなことでハレーションを起こしているが。
と、一応今年リリースされたアルバムを中心に据えてみたが、これ以外にもいい作品はいっぱいあった。
昔のアルバムを初めて聴いたなんていうものもたくさんあったけど、いい音楽はいつまでもいいものだし、自分の好きなものは多分いつまで経っても好きなんだろうな。
自分が歳を取るのと同じ速度で彼らも歳をとっていくわけで、その速度は変わるものではない。
いつかいろんなものが終わる時が来るし、自分が終わる時も徐々に近づいている。
なんていうほど歳をとっているわけではないけど、流石に色々考える年齢にはなってきている。
同い年のやつで同じレベルで音楽を聴いている人の方が少なくなってきたけど、私にとってはとても大切なものである。
今日は仕事納めというわけで、いつもよりも早く仕事を切り上げて帰ってきたんだけど、その帰途で聴いていたのがSparklehorseである。
優しい声と曲調がなんだかこの風情にもマッチして、とても気持ち良くて思わずにやけてしまった。
音楽ってのは別に人生に必要なものではない。
音楽に限らず、芸術は実際的な役に立たない。
だけど、それがあることで確実に豊かなものを与えてくれる。
少なくとも私にとってはそうだ。
来年もいい音楽はたくさん出てくるだろう。
束の間の幸せは、こんな瞬間に訪れるのである。
Broken Social Scene - Cause=Time