音楽放談 pt.2

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日本が誇るべきライブバンド -LITE

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先日出かけで電車に乗っていると、ちょっと驚きの出来事が。
 
なんとLITEの武田さんが普通に乗って来たのだ。
 
別に不思議な話ではないんだけど、普段ライブや雑誌などで見ている人が普通にしているところを見るというのは、やっぱり不思議な感じがするものだ。
 
残念ながらその時気がついたのは私一人だったようだが、ついテンションが上がってしまった。
 
奥ゆかしい私は声をかけることもしなかったけど、またライブに音源に期待しています。
 
そんなLITE、2003年デビューのポストロック/マスロックと括られることが多いインストバンドだが、少なくともインストバンドの中では一番好きだと言って過言ではないので、彼らのオススメ曲をここにまとめておこう。
 
 

タイトでマイナー、1st EP『LITE』(2005年)

彼らのデビューは2005年のミニアルバム『LITE』であった。
 
このアルバムはどちらかといえば暗いトーンの曲が多く、マスロック的な色がより濃い曲が並んでいるが、すでにギターメロディには彼ららしさ、というか武田さん的な色がよく出ている。
 
めちゃくちゃテクニカルという感じはまだこの頃にはなくて、インディ的な色が強い印象だ。
 
このミニアルバムからは、彼ら自身が思い入れ深いというこの曲を。
 
"Past Three Days"
 
個人的にに彼らの楽曲の魅力の一つがその叙情性だと思うんだけど、この曲にも日本人的な侘び寂びを感じて、いいんだよね。
 
 

静と動、1stアルバム『filmlets』(2006年)

そしてフルアルバムとして初の『filmlets』、今は1st EPと合わせてリマスター版がリリースされているのだけど、いまだにファンの間では根強い人気のあるアルバムだ。
 
すでに彼らの音楽は完成されている。
 
未だにライブでも演奏される代表曲がこちら。
 
"Contemporary Desease"
 
マスロック的な構築美とエモ的な激情が渦巻く名曲だ。
 
静と動のせめぎ合いもポストロック的な味わいがあって素晴らしい。
 
派手さはないけど、この曲が理解できればまずLITEは自信を持ってオススメできる。
 
基本的にマイナーコード全開のためか暗い印象の楽曲が多いけど、この音色はめっちゃ私にハマったんですね。
 

アグレッシブ全開、2ndアルバム『Phantasia』(2008年)

そして私が彼らと出会った頃のアルバムが、2nd『Phantasia』。
 
彼らのアルバムの中で最もアグレッシブでロックな曲が多い。
 
私が彼らにやられたのがまさにこの曲だった。
 
このアグレッシブなギターリフよ。
 
ツインギターの絡み合いも絶妙だし、キレのいい手数多めのドラムにかなり前に出てくるベースと、彼らの魅力満載だ。
 
この曲好きすぎてあんまりいうことなくて、とにかく聴いてほしい。
 
この頃の彼らは観客席なんてあんまり見てないし、MCもあんまりなかったんじゃないかな。
 
とにかくストイックで音で勝負してるぜ、ていう感じが全開でかっこよかった。
 
もっとも、ライブもこの頃はそんなに見ていないからわからないんだけどね。
 
このアルバムからは表題曲も貼っておこう。
 
"Phantasia"
 
彼らの楽曲の中ではかなり明るめの曲調だし、ギターのカッティングの切れ味も抜群。
 
このミニマルなギターリフの応酬ね。
 
ああ、しびれる。。。
 
そういえば、この頃の武田さんは坊主頭だったのだけど、すっかりお洒落な感じになったな。
 
そして他のメンバーは多分あんまり変わっていない。
 

新機軸導入のEP『Turns Red EP』(2009年)、『illuminate』(2010年)

ここでミニアルバム、シングルを挟むんだけど、これが彼らにとっては大きな契機になる。
 
ギター、ベース、ドラムという編成における音楽はかなりやり尽くしたと感じた彼らは、打ち込みなども導入するようになる。
 
その一つ目の成果がこれ。
 
EP『Turns Red EP』より"The Sun Snak"。
 
始めてシンセ音も導入したんだけど、ここで手応えを得た彼らはプロデューサーにTortoiseのジョンを迎えてミニアルバムを製作。
 
今でもライブラストを飾るのがこの曲だ。
 

"100 Million Rainbow"

 
彼ららしさを保ちながら、シンセ音によってまた違った音楽を展開している。
 
この手応えを元に制作された次のアルバムは、彼らにとっても大きな契機になったのではないだろうか。
 

大きな転換点、3rdアルバム『For All The Innocence』(2011年)

私としても、彼らの最高傑作と言って差し支えないと思っているアルバムが出来上がる。
それが3rdアルバム『For All The Innocence』、その2曲目の"Rabbit”。
 
このアルバムの曲は全て動物の名前が冠されており、全体的にオープンな楽曲も多く、彼らの音源では初となる歌も入っている。
 
と言ってもコーラスレベルなのだけど、ここから彼らの音楽もまた変わっていく。
 
ライブ定番のピースフルな楽曲がこれ。
 
 
"Pirates and Parakees"、ハンドクラップ必死の素晴らしい曲だ。
 
アルバムとしてもまとまりも素晴らしく、ぜひ聴いてみてみほしい。
 
インストはイマイチ苦手・・・という人でも多分聞けるくらいに楽曲の表情は豊かだし、聴いていて幸せになれる。
 
音楽による喜びってこういうことなんじゃないかと思える作品である。
 
このアルバムを引っさげて、彼らはまた世界中をツアーするんだけど、そこである課題にぶつかる。
 
彼らのライブをするキャパは、せいぜい数百人の小規模~中規模の会場である。
 
それこそパブみたいな環境でもライブをするわけだけど、そこでぶつかったのは音響の問題。
 
そのツアーの様子は彼らのツアードキュメンタリーに詳しいのだけど、会場によってはPCからの同期音がうまく流せず、結局過去の曲しかできないような環境がざらにあったそうな。
 
そこはいかにもライブバンド、どんな環境でも響くライブをしたい、ということが一つのモチベーションとなって次のアルバムが制作される。
 
ひょっとしたらそのコンセプト自体も、この時の経験は大きかったんだろうか。
 

名曲が生まれた4th EP『past, present, future』(2012年)

この間にリリースされたEPでも彼らにとっては新境地があると共に、バンド演奏にも新しい要素が加わることに。
 
『Pasts, Present Future』というEPなのだけど、ここでは女性ヴォーカルを迎えた曲もある。
 
ちなみに杏里の妹、キャロラインである。
 
彼女はMice Paradeでもヴォーカルを勤めているんだけど、このEPの一番の成果はやっぱりこの曲だろう。
 
 
ギターイントロも印象的な"Bond"。
 
このEPのリリースツアーでは珍しくとちるという展開があったんだけど、この曲は今や彼らのアンセムだ。
 
しかも世界中で。
 
この曲の魅力は、何よりこのみずみずしさだろう。
 
バンドとしては技術的にも展開的にも明らかに成長しまくっている彼らだが、何か原点回帰的なものも感じさせるこの曲のエバーグリーンな感覚は、やっぱりとても素晴らしい。
 
ループもこの曲あたりから多用するようになったと思うし、彼らにとってもターニングポイントだったのだろう。
 
ほんと、いい曲。
 

引き算の美学、4thアルバム『Installation』(2013年)

そんな経験も踏まえて制作されたのが『Installation』。
 
現代アートではよく用いられる概念らしいが、作品だけでなく、その周りの環境によって完成するというか、体験型のアートというか、環境ありき、ということが一つのコンセプトだ。
 
再び3つの楽器主体になったその音楽は、かつてのような堅牢さよりはどこか爽やかですらある抜けの良さを感じる楽曲となった。
 
アルバム2曲目に収録の"Echolocation"。
 
朝の情報番組のオープニングみたいな爽やかさだ。
 
同期はさせないまでも、ループを多用した楽曲はこの頃から明らかに増えている。
 
それに合わせて各メンバーの演奏技術はさらに研ぎ澄まされており、レベルがちょっと違うのである。
 
より楽曲が複雑化していると共に、曲そのものはポップさを増してくし、マイナー全開だったものがもっとオープンになっている。
 
個人的にはそういうところに表現者としての資質を見るんだけど、今の彼らは充実しているんだろうね。
 

ついに歌った!5thアルバム『Cubic』(2016年)

そして目下の最新作が『Cubic』。
 
このアルバムでの彼らのテーマは制約を設けない、ということだったのではないかと個人的には思っているけど、これまでの彼ららしい楽曲もありながら、一番の驚きはまさのヴォーカル曲。
 
しかも歌っているのはギターの武田さんだ。
 
とはいえもともと前身バンドでは歌っていたというから、彼にとっては別に新しいことをやったという意識よりは、これまで敢えてやらなかったことを気にせずやって見た、ということのようである。
 
全体的には正直とっちらかった印象なんだけど、彼らにとっては過渡期的な表現なのかもしれない。
 
このアルバム自体、とても聴きやすくいいんだけど、中でもタブゾンビと共演したこの曲は本当に素晴らしい。
 
さすがにライブ音源がなかったのでPVで、”D”という曲です。
 
曲自体もいいんだけど、タブさんのトランペットが色気があって最高である。
 
インストながら思わず口ずさみたくなるメロディはさすがの楽曲なんだけど、全体的に彼らのいい意味での余裕も感じるし、これは名曲だと思う。
 

原点回帰にして進化しすぎ、6thアルバム『Multiple』(2019年)

次のアルバムではさらに原点回帰的に、初期のようなアグレッシブなギターの炸裂する曲が主体であった。
 
一方でこのキャリアの中で身に付けた演奏テクニックとコラボのハマり具合もさすがすぎる。
ヒップホップっぽい要素は初期から指摘している人もあったが、この曲なんかもそんな部分を感じさせる。
 
他の曲ではラッパーも客演している。
 
そして、彼らの曲でも好きなのがこういう必殺技出す時みたいな曲。
変拍子かましまくりの曲だが、このギターリフだよ。
 
ちなみにこれはライブ音源だということを念のため付記しておこう。
 
人間の手って、こんなに早く動くんですよ。
 
 
と、ひとまず彼らのキャリアをさらっとおさらいしてみたんだけど、基本的に貼った動画は全てライブ映像である。
 
彼らの凄まじさは、この音源のレベルを平気でライブで再現するその技術である。
 
人間ってこんなことできるんだ、というある種スポーツに似た感動を与えてくれるバンドってあるか?
 
さらにインストながら物語性、徐々性に飛んだ楽曲そのものも私は本当に大好きなんですよ。
 
日本は歌謡曲の文化なのでなかなかインストってマイナーなままなんだけど、音楽の本質は必ずしも歌ばかりではないのだ。
 
音楽の感動は、やっぱり歌も含めた音にあるのである。
 
 
ちなみに余談だけど、武田さんは行政書士としても働いており、国内のバンドに海外ツアーのための支援的な活動もしているらしい。
 
インディバンドの人は実は多彩な人が多い。
 
つい先日toeが新譜を出して話題になっているが、日本のインストバンドは演奏技術もさることながら、楽曲そのものもとても素晴らしい。
 
普段歌ものしか聞かない人にもぜひ一度聞いて見てほしい。
 
そして、機会があればライブをこそ見てほしい。
 
本当にすごいのよ、彼らのライブって。