コロナに絡んでいろんなカタカナ言葉が飛び交っているのはこの度再選した小池さんの影響だろうか。
結局なにしたっけ？みたいなことをあちこちで言われているが蓋を開けてみれば圧勝という。
ていうか、こんなに選挙感のない選挙もなかなかなかったのではないだろうか。
街に出る機会も少なかったので、そんなにポスターも見なかったし、個人的には仕事が忙しすぎて、土日は半分以上寝ていたし、起きている時間は仕事したり、ボーッとしていたので何をした記憶もない。
なんてこった。。。
私は仕事柄いろんなカタカナ言葉を目にする機会が多く、ニュースで日常的に見る意外にもニューノーマルとかなんとかまあ次から次に出てくる。
今年Strokesがリリースした新譜のタイトルが『New Abnormal』というのが、図らずも皮肉が効いているように感じられて面白い。
新しい暮らし、新しい働き方、新しいなんちゃら、もうええっちゅうに。
とはいえ、世界的に大きな影響を与えているのは事実だし、文字通り生活が変わってしまった人は少なくない。
どちらかといえばネガティブな変化が多いから、それを払拭するようにキャンペーンを展開しているのだろう。
そういう意味では時代の変わり目なのは間違いないだろう。
経済にも大きな影響が出ているので、実態としてもね。
こういう変わり目の時に頭の中に流れる音楽の一つがR.E.Mの曲で、事象によってちょっとずつ違いはあるんだけど、今は『New Adventures In Hi-Fi』に収録された"Electrolite"である。
アルバムがリリースされたのが1996年、まさに20世紀も残りわずかという時期である。
当時私はまだ小学生だったので、もちろんリアルタイムで聞いているわけではないが、全体に静かで淡々とした楽曲ながら、時代のアウトロとしては絶妙な響きである。
何が絶妙って、静かで淡々としているけどそこはかとなく前向きで、歌詞の影響もあるけど未来志向な感じなのだ。
マルホランドドライブという映画も固有名詞で出てくるが、この引用の意図は映画も見たことがないので詳細にはわからないけど、カオスで難解な映画だというし、現実のごちゃごちゃしたものの中を訳が分からなくてもとにかく駆け抜けてきた、みたいなメタファーだろうかと思っている。
それはPVを見ると余計にそんな解釈でよいのではと感じる。
R.E.M. - Electrolite (Official Music Video)
いきなり天地逆転した映像で始まるんだけど、ヴォーカルのマイケルとドラムのビル・ベリーだけが登場する。
そこから急に映像が変わって、鎖に繋がれた人たちが出てきて、でもなんだか楽しそうだ。
また次には4人の演奏シーンが中心になるが、場面はクルクル変わるし、最後の方は一見シンプルなのにマイケルが急にスライドしたり地面に埋まったり、メンバーも大きくなったりジャンプしたまま止まってしまったり、やっぱり不思議映像だ。
「You are the star tonight」「You're Outaside」という言葉がサビでは歌われており、誰かを称賛、というよりは肯定という方が正しいかもしれない。
先の映像の中でも鎖に繋がれている感じとか、ごちゃごちゃ混乱した様が続くけど、刻の最後は「Don't Be Scar, I'm Outta Here（怖くない、僕はもうここにはいない）」と歌われる。
この曲について、ベストアルバムでのピーター・バックのコメントにもあるが、この曲はグッバイソング、歌詞にも「20th century go to sleep」とあるように、世紀の変わり目についての歌である。
90年代のアメリカは色々暗黒時代と言われていたし、音楽でもオルタナと呼ばれる多様な音楽が生まれたが、暗い歌詞の曲が大ヒットした時代でもある。
NirvanaにしてもNine Inch Nailsにしても、Kornもそうか。
もちろんそれだけではないが、こんな曲がランキング上位に飛び込むあたりが何かを反映しているのは間違いないだろう。
そんなみんなが不安なんかにかられる時代はもう終わらせて、次の時代に行こうぜ、という彼らのメッセージなのかなと個人的には思っている。
別に問題に目をつぶるわけではなく、そうしたものに愚痴をこぼすだけじゃなくて解決していこうよ、という言外の意思のようなものがあるのかなと思っている。
楽観的ではいられないけど、かと言って暗い言葉を吐き続けたところで何も解決はしないし、あんまり楽しくはない。
まあ、それも今自分がそこまで切羽詰まった状況にないから言えることなんだろうけど、だから最近は外食して家の近所の店を少しでも使おうとしたり、ちゃんと税金も納めている。
できることをやるしかないからね。
こんな暮らしをしているから、人間関係はどんどん希薄になっていて、世界が狭くなっていく感覚にも見舞われ始めているが、それは個人的な問題だ。
ともあれ、適度に今のネガティブには蹴りをつけて、違うところへまた飛んでいかないとね。
