音楽放談 pt.2

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パンク魂、褪せずに候 pt.2 -The Mad Capsule Markets

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夏ももう直ぐ終わるわけだが、今年は短い夏だったね。

 

梅雨が長かったし、なんのイベントもないから平穏な日々がただ流れていく。

 

まあ、全然平穏じゃないけど。

 

せめてもの慰みとて各フェスがYoutubeで過去のライブ映像を配信してくれるのは嬉しいことだね。

 

私も自主的に家で音楽を流して暴れているが、昨日ヘドバンしすぎて今日は首が痛い。

 

間抜けだが、なんかライブに足繁く通ったあの頃を思い出す感じだ。

 

 

さて、新しい音楽も魅力的な一方で、いつまでも色あせない音楽というのはやはりあるものだ。

 

こんなクソ暑い中で聴きたくなる音楽の一つが、The Mad Capsule Marketsだ。

 

解散してすでに久しいし、KyonoはソロとTCL、TakeshiはAA=と楽曲提供、MotokatsuはAce Of Spadeとして活動しており、それぞれすでに一定のキャリアになりつつある。

 

もう再結成はないのかなと思いつつ、その楽曲は日本のラウドロック/ハードコアにとってはやはり伝説だ。

 

改めて後期マッドの名曲をおさらいだ。

 

パンク×デジタルの実験作『digidogheadrock』(1997年)

音楽的にも大きな転換期を迎えたのが前作『4 plugs』だったが、そこからよりデジタル色を強めていき、生楽器との同機をスタイルとして明確に取り入れ始めたのが7thアルバムとなる『Digidogheadrock』である。

 

前作で取り入れ始めたミクスチャースタイルを全編にわたって取り入れつつ、イギリスで起こり始めたデジタルハードコアというスタイルの萌芽が見え始める。

 

全体に実験的な曲が多く、まだまだ発展途上感が強いものの、元々のパンク的な攻撃性とスタイルが見事に合致しており、キャリアで最もゴツゴツしたアルバムとなった。

 

その中でも彼ら自身もターニングポイントとしてあげるこの曲は外せないだろう。

 

曲としてはかなりシンプルだが、ゴリゴリしたベースとギター、歌詞も断片的な言葉を鏤めようなスタイルとなっており、後期マッドのエッセンスがしっかり詰まっている。

 

とはいえ、この頃はまだそこまでバーンと売れたわけではなかったようだが、当時の音楽誌ではかなり好意的に受け取られていたとか。

 

私はこのアルバムも後追いで聴いたので、最初は正直地味というか、全体に派手なシンセやデジタルハードコア的な感じでもないんだけど、非常に骨太でゴツんとくるような重たい音が実にかっこいい。

 

ここで大きな感触を掴んだ彼らは、次のアルバムで大きく飛躍する。

 

世界に響いたデジパンクの金字塔『OSC-DIS』(1999年)

元々彼らのルーツにはYMOなどもあり、初期からデジタル的な処理はなされてきたが、それが前作から本格的に導入、ドラムも生と打ち込みを併用させており、ベースとギターはますます歪んでおり、ヴォーカルもラップスタイルも大きく導入している。

 

このアルバムは代表曲も満載だが、ポップさも含めてやはりこの曲は外せないだろう。

彼ららしい攻撃性とポップさのバランスよ。

 

同世代のメロコア的な感じもあるからある世代にはたまらないムードもある。

 

アジテーション的なところはAtari Teenage Riotのようなデジタルハードコア的な感じもあって、まさにミクスチャー。

 

彼らの真骨頂はこの攻撃性とポップさのバランスなんだよな。

 

Kyonoのヴォーカルも完成しつつあるし。

 

このアルバムがイギリスでもヒットして、それが彼らの世界進出の大きな足掛かりになった。

 

90年代終わりから2000年になったばかりの頃だ。

 

この頃にDragon Ashなんかも徐々に知られるようになっていったと思うけど、まだまだ日本のバンドが世界でやるということが珍しい時代だ。

 

そんな中でイギリスのダウンロードフェスで、日本人初のメインステージに登場したというのは彼らの伝説の一つである。

 

最近ではDir en grayやCrossfaithなど、世界でも人気を獲得するバンドも増えてきているけど、まさに彼らはその先駆けだったのである。

 

音楽的な相性もよかったんだろうね。

 

このアルバムからはもう1曲こちらを。

今や世界で人気のBabymetalの人気爆発の契機なった”ギミチョコ”、その曲のベースと思えるのがこちらの"Good Girl"。

 

この曲は、たしか当時生まれたばかりのドラム、Motokatsuの娘に向けて作られた曲なので、歌詞がとてもピースフルだ。

 

彼らのメンタリティはデビュー当時から変わっておらず、攻撃的な歌詞でも対象は社会とかシステムに向いていて、特定の誰かを狙うようなことはしない。

 

それに非常にポジティブなものが多いので、それもいいところだ。

 

ここからのキャリアでは完成度を上げていく方向に向いていく感じだ。

 

デジパンクの完成型『010』(2001年)


前作よりさらに打ち込みの比率も上げつつ、生楽器の強さもガツンとましたのがこのアルバムで、私が初めてきいたマッドのアルバムはこれだった。

 

確か高校2年の頃だったので、多分リリースから1年後くらいだった気がする。

 

1曲目からやられて「なんだこの音楽は!」と衝撃を受けたものだ。

圧倒的な音圧と爆発力が、当時聴いていたどの音楽よりも強烈で、私に音楽の新しい扉を開けさせてくれた作品でもある。

 

ほぼインストだけど、イントロ曲として最高だ。

 

もし私が格闘家とかだったら、この曲を入場曲にしたいね。

 

海外でも人気なのがこの曲だ。

アジテーショナルなヴォーカルと攻撃的な曲調でモッシュ間違いなしだ。

 

このアルバムはいまだに大好きだし、一番聴いたアルバムだろう。

 

彼らのスタイルの一つの完成型だと言えるだろう。

 

最高。

 

次の地平を見せつつもラストとなった『CiSTm K0nFLiqT』(2004年)

私が彼らを聴くようになってリアルタイムで買ったのがこのアルバムだった。

 

大学に入学して、近所を散策しているときに入ったCD屋でたまたま見かけて買ったので、このアルバムを聴くと当時のことが思い出される。

 

なぜかわからないがお湯を張った浴槽の景色が浮かぶんだけど、初めての一人暮らしの印象的な風景だったのかもしれない。

 

それはともかく、このアルバムでは音圧はやや落として、全体に緩急がよりついているようにも思うが、一方で次の一手を掴み切れていないような印象もあった。

 

世間的にもミクスチャースタイルが浸透してきた頃だったことも手伝ってか、CMでも彼らの曲が流れていたし、また当時人気だったPRIDEの人気選手、五味隆典の入場曲にも使われていたこの曲は多くの人が耳にしたはずである。

キャッチーでポップ、非常にポジティブな歌詞である。

 

しかし、ラストのところではかなりストレートに激しい歌詞に変わる。

 

おそらくタイアップ前提で作曲されたと思われるので、前半は見事にポップだが、テレビでは流れないところでしっかりとメッセージを刺しにいくのがすごい。

 

またこのアルバムで出色なのがこの曲だろう。

デジタルの使い方もまた違う感じで、他の曲ともだいぶムードが違う。

 

静と動みたいなものの対比も波きっとしている。

 

この翌年にSummer Sonicにも出演し、私はそこで初めて彼らのライブを目にしたのだけど、残念ながらその後まもなく活動休止、実質的な解散となってしまった。

 

アフターマッドな世界

いまだに再結成を望む声は後を絶たない彼らだが、おそらく再結成されることはないのかなと思っている。

 

TakeshiはAA=とプロデュース、楽曲提供などその界隈ではまさに重鎮となっているし、Kyonoは先日Kjとのコラボ曲をリリースしたがソロ作、バンド活動とインディ界隈でマイペースにやっている。

 

MotokatsuはExileGLAYのHisashiらとのバンドやスタジオドラマーとして着々とやっているようだし、それぞれちゃんと活動しているからね。

 

TakeshiとKyonoはちょくちょく親交のある様が垣間見られるが、Motokastuはそうでmないようだ。

 

ともあれ、Dragon Ash始め彼らに影響を受けてバンドをやっている人は少なくないし、楽曲提供を依頼する人たちはマッドのファンでそのサウンドエッセンスを取り入れたいという非常に純朴な背景で依頼しているという。

 

世界進出というものを現実の目標にできる土台は彼らが作ったと言って過言ではないし、この手の音楽を聞かない人にはなかなか縁遠いかもしれないけど、世界中に彼らのファンはいて、そういうのってなんだか嬉しいですよね。

 

もう10年以上前に解散したとはいえ、いまだにその音楽の魅力は色あせていないので、是非若い人にも聴いて欲しいバンドの一つだ。

 

とにかくかっこいい、そんな音楽である。

 

最後は夏の終わりにもぴったりなこの曲を。