年末なので、恒例の年間ベストアルバムが各所で発表されている。
パラパラとめくる程度であるがみていると、かつないほど聴いていないアルバムが多かったのであった。
家にいる時間が圧倒的に長かったし、時間がありそうなものだが、考えてみたら私が音楽をよく聴いていたのが移動中だったし、日中仕事をしながら聴いていたのがラジオが多かったので、そんなにガッツリ聴いていないのであった。
また旧作も含めて聴いていたし、以前のようにiTunes(今はないが)ではなくSpotifyも活用していたので、曲単位で聞くことも多く、最近聞くようになったアーティストの旧作も掘り返したりしていたので、新しいのをガンガン開拓してもいなかった。
シンプルに休日も仕事してたし、忙しくてそこまで資源を避けなかったという背景もあるけど。
なので、ベストアルバムとか選べるほど聞けていないため、今回は今年聞いた印象的だったアルバムをざらっと並べる感じにしよう。
まずはアルバム名にも冠しているが、The Coralの『Lockdown Sessions』。
イギリスでは再びロックダウンになったかと思うが、日本以上にかなり深刻な状態である。
ヨーロッパはかつてペストにより甚大な被害を受けた地域なので、当然みんな自宅で軟禁状態。
Bo NingenのTaigenもしばしば言及していたね。
そんな中で、ヴォーカルのジェームスがアコギ1本で演奏する映像を配信、その音源をまとめたのがこのアルバムである。
曲の良さには定評のある彼ら、アコギ1本でも映えるのはさすがである。
しかも少ししゃがれた声が円熟といった感じで、めちゃくちゃ聞いていて心地いい。
朝も夜も夏も冬も、いつ聞いてもいい曲はやっぱりメロディがすばらしいですね。
Late Afternoon (Lockdown Sessions)
ここからは新譜関連、まずはこちら。
名古屋のジャズバンド、Egoistic 4 Leavesの8年ぶりのアルバム『debris』。
前作も一部では評価も高く、またバンドとしては地元を中心に結構活動していたらしい。
私はたまたまネットであれこれ調べている時に知って聴くようになったけど、めちゃくちゃセンス抜群で嵌ってしまったのであった。
その後すっかり音沙汰がなく、音源制作自体は何年も前から言われていつつも出てこな方。
マスタリングの報が出たのがたしかもう2年以上前だった気もするが、今年ようやくリリースとなった。
前作よりも打ち込み的な音も増えた印象だが、変わらずすばらしいセンスだ。
落ち着きもありつつアグレッシブさもあって、知らない人もに是非聞いてみて欲しい。
[Archive] 2nd album debris release live "play for debris set"
次はこちら、ライブも無事行ったこちらのバンドである。
ギターの青木裕さんが亡くなって、新たにメンバーを加えて制作されたアルバムだが、原点回帰を一つのテーマにしつつも、音的にはさらに深化した印象だ。
前作あたりから打ち込みの音自体は使っていたものの、それをよりアジャストさせつつ、従来の彼ららしさもあり、また新しい領域に入り込んでいる。
このアルバムのリリースツアーも延期になっていたもおが11月にようやく実施、合わせてライブ映像も作品として配信されたのだけど、素晴らしかったね。
演奏は相変わらずの鉄壁、あの複雑な音楽を完璧にこなす演奏力は凄まじいものだ。
ライブ音源も配られる予定なので、早く聴きたいと待っている。
これからまたどんな活動をしていくのか含めて注目である。
最近日本人バンドの中でも成長著しく、またスケール感含めて大きく変わったのがこのバンド。
The Novembersの『At The Beginning』。
前作『Angels』から打ち込みを導入したよりアグレッシブな音楽を展開しているが、それをさらに推し進めている。
メロディアスさ以上に上げしさが耳を引くが、音楽的なスケールがバーーンと広がっており、かつての彼らとは次元が違うところにいる印象だ。
先日配信ライブも行われたが、私は時間が取れなくてみられなかった。
また映像作品としてリリースされることを期待している。
ちなみにヴォーカルの小林くんは、Boom Boom Sattelitesの中野さんと新しいバンド、The Spellboundとしても活動を開始し、年明けに音源もリリース予定だ。
ますますの活躍に期待である。
THE NOVEMBERS Live 「At The Beginning」digest
日本人ながら件のイギリスで苦労をしてしまったこちらのバンド。
Bo Ningenの『Sudden Friction』。
これまでの鋭角的なギターノイズ満載で、甲高い叫ぶようなボーカルスタイルから一転、かなり余白のある、密度よりも腰を据えた重さが際立つような曲が並んでいる印象である。
アルバムで随一ポップな”Minimal”では、Primal Screamのボビーが客演している。
かといってボビがバリバリ歌っている感じではなくて、そこまで前に出ていないあたりがおもしろい。
全体に変拍子みたいな展開が多く、これまでと曲構成も変わってきており、またライブで見るのが楽しみである。
それにしても、Taigenの風貌がえらい変わっている。
Bo Ningen – Minimal feat. Bobby Gillespie (Official Music Video)
ここからは海外勢を。
まずは久しぶりのリリースとなったこちら。
Owen Palletの『Island』。
クラシックとゲーム音楽の混じった独自な音楽性で持ってデビューして以来、一部の音楽ファンにはすっかり認知されていると思うが、早5作目である。
前作は割とダークな曲調が多かったが、今作もそんな印象である。
ただ、今回はアルバムというフォーマットをだいぶ意識したのかな、という印象である。
なので、曲単位で聴くよりはアルバムで聴く方は向いているかなという感じだ。
相変わらず澄んだ歌声も伴って非常に上品な音楽を奏でている。
多分CDなどではリリースされていないので、余計にこの日本では話題にもなりにくいが、またライブを見たいアーティストの1人である。
Owen Pallett - A Bloody Morning (Official Video)
こちらはフジロックにも決まっていたのに、と悔やまれるバンド。
すっかり大御所、The Strokesの『New Abnormal』。
ロック回帰云々などと描かれていたが、シンプルに彼ららしいアルバムだなと思った。
個人的にこのアルバムタイトルが図らずも皮肉が聞いていて面白いと思っている。
リリースは1月だが、その後の社会で一時よく言われたのがニューノーマル、新しい日常という言葉だが、何かの予見のようにも今となっては感じられてしまう。
私はこのニューノーマルとか新しい日常とか、そういう言葉が言われるたびになんだかイラついた気分になった。
特に東京都知事とやらのスローガンネタとか、ほんといらない。
どう考えたってアブノーマルな自体だろ、これがあたりまでたまるかと思ってしまう。
現実にはそれを日常と捉えないとしょうがない事態ではあるけど、キャッチコピーを作ることばかり腐心しているようなありかたは、やはりどうなのかなと思う。
それはともかく、アルバムは良かったので是非聞いてみて欲しいですね。
The Strokes - Bad Decisions (Official Video)
私が長年大好きなこちらもリリース。
Nine Inch Nialsの『Ghost V-VI』。
なんとフリーでリリースされた太っ腹アルバムだ。
以前にもリリースされたインストシリーズの続編だが、私は当時はあまりピンときていなかったものの、最近また聴くようになっていいなと思っていたところに出てきたこの2組、これまた良かった。
近年のトレントのサントラワークを色濃く感じさせる音楽ながら、ギターの音やメロディ、曲の展開はまさにNINのそれで、インストでアンビエントな曲が多い中でもそこはかとなくポップさも感じさせる作品で、今年よく聴きましたね。
ながら聴きにもぴったりだったので、仕事していてもちょうど良かったな。
サントラのリリースも多くあったので、なんだかんだトレントの作品には定期的に触れてましたね。
元気でいてくれて何よりだ。
Nine Inch Nails - Ghosts V-VIII (Full Album)
最後はこちら。
Tha Blue Herbの『2020』。
音楽的にとか、普遍性みたいなところでいうとそんなに評価される類の作品ではないと思うが、この年のドキュメントとしてこういう作品があってもいのではないかと思う。
無闇に前を向うとか、新しい暮らしを云々とかではなくて、今の状況の息苦しさや、少し前の暮らし に思いを馳せるようなリリックなので、後年振り返った時にああこうだったね、なんてことを思う作品だろう。
こういうのって好みや価値観に寄ってどう評価されるかというのはあると思うけど、こういう作品もあっていいと思うのだ。
同じことばかりいうのは嫌だけど、やっぱり人生で一番大きなインパクトのある事態だったのは間違いないし。
もう直ぐ10年にもなる件の震災も確かにショッキングだったけど、全てを破壊する強烈な一撃は、反動として向かい合うこともしやすいところがあるけど、じわじわと削られていく1年だったので、特に心理的なダメージは深刻だったかと思う。
仕事においてはビジネスチャンスもたくさんあったというのが正直なところだけど、そうでない業界もたくさんあるし、結局何かにとって変わられていくことが急激に起こったわけだから、その意味でもインパクトがあったと言える。
そんな気持ちはしっかりトラックに乗っているから、そこが表現者としての彼らなのだろう。
まさにヒップホップ。
THA BLUE HERB "バラッドを俺等に"【OFFICIAL MV】
個人的にこうして自分なりによく聞いた音楽なんかをまとめることは、毎年の自分を音楽を通してなぞっているところがある。
一応その年のリリースされた音楽に焦点を当てているものの、最近は新しいアーティストよりも以前から好きなアーティストの作品が多くなっているように思う。
どんどん聴きたいものが増えていくから、追いつかないのもあるし、あとは中に入ってくるまでに時間がかかるという問題もあるんだけどね。
自分では意識してなかったけど、割と静か目な音楽を好んでいたみたいだしね。
かといって、上記には上げていないけどKyonoのアルバムは変わらず疾走感満載だったからこれはこれでよかったしね。
いずれにせよ、別に励まして欲しいとも思わないし、コロナウイルスを恨むみたいな感情も私にはない。
恨んでも仕方ないからね。
恨むしかない気持ちもわかるから、それをどうこうもいわないけど。
来年は少しでも改善されるといいですね。