自分が大人になったなと感じることの一つが、わかりやすいものだけでなく地味なものも楽しめるようになったことだろう。
元々そんなに派手好きな正確ではないけど、高校生の頃からロックが大好きだし、The Mad Capsule Marketsは今でも大好きだし、ポップな曲はやっぱり好きだしね。
でも、最近しみじみ聴いているのはメロウな音楽なんだけど、中でもとても気に入っているのがMoonchildというアメリカの三人組バンドだ。
日本に同名バンドがおり、そちらも私は大好きなんだけど、今日はアメリカンのバンドの話である。
音楽ジャンル的に括るならソウルとかになるのかな、しかしRobert Glasperや御大スティービー・ワンダーにもフロントアクトに抜擢されるなど、R&B、ジャズ界隈でも注目をされている存在である。
バンドは南カリフォルニアらしく、女性ヴォーカル含む三人編成だ。
小規模編成なので打ち込みなども活用した音楽に、ウィスパーヴォイスの優しい穏やかなヴォーカルが印象的、そして何よりメロウな楽曲だ。
とりあえず1曲聴いてみてほしい。
現在アルバムは3枚リリースしているが、こちらは1stアルバム『Please Rewind』(2015)に収録された”All To Joy”という曲。
すでにこの頃から彼らの特徴は確立されている。
穏やかでメロウな音楽に美しいウィスパーヴォイスのヴォーカル、いろいろなレイヤーがありながら上品はトラック、聴いていて心地良くてしかたない。
PVではヴォーカルの彼女は歌のみかと思いきや、メンバーはそれぞれに複数パートを兼任している。
ヴォーカルとフルートとテナー・サックスを担当するアンバー・ナヴランという女性。
アルト・サックスと鍵盤を担当するのはマックス・ブリック、トランペットと鍵盤を担当するのがアンドリス・マットソンというらしい。
ベースやドラムの音も銀盤から出しているので、ある種の肉体性みたいな物は希薄かもしれないが、そんなこと以上に楽曲の良さである。
彼らが日本でも大きく話題になったのは2ndアルバム『Voyager』(2017)の頃からみたいだ。
ちょうどThe InternetやKamashi Washingtonなども人気が爆発し始めたころに、そんな彼らに見初められた奴らがいるぞ、みたいな文脈だったのかもしれない。
そんな2ndアルバムからはこの曲を。
"Cure"という曲だけど、前作からのムードはそのままに、展開も多様になりさらにプロダクションも立体的になった印象だ。
ヴォーカルの音も少し大きくなった気がするが、やっぱり上品な音楽だ。
日本でもボカロP始めデスクトップミュージックが興隆を極めて久しいが、彼らも打ち込み音を組み合わせながらこんなに美しい音楽を奏でている。
個人的にウィスパーヴォイスな女性ヴォーカルが好きなこともあるけど、トラックだけ聴いていても結構面白いんですよ。
そしてこちらは3rdアルバム『Little Ghost』(2019)から”Too Much Ask”という曲のライブバージョン。
3作で音楽性的には大きく変わっていないけど、この3rdが一番スタジオワークは凝ったのかなと言う印象。
パッと聴き穏やかだけど、低音がグアンぐわんする感じのところもあったり、いろんな音の絡み方だったりが聴いていて面白い。
でも、やっぱりこのヴォーカルの声が好き。
そしてメロディの美しさよ。
色々専門的なところは専門家の人の記事を紹介しておくので、興味があったら読んでみてください。
ネオ・ソウル? 新世代ジャズ? ポップス? なぜムーンチャイルドは究極の〈いそうでいない〉バンドなのか―柳樂光隆が解説
https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/15099
出典:Mikiki
ともあれ、聴いてもらえればわかると思うけど、単純に聴いてて心地いいのである。
晴れた日の昼下がりに聞くもよし、眠る間際にベッドルームで聴くもよし、カフェでボーッとしながら聴くもよし、いつに聴いてもそっと景色を彩ってくれるようなスーパーグッドミュージックである。
私はロックと呼ばれる音楽をよく聴いているけど、こうしたスウィートな音楽も最近は大好きだ。
今年の連休は、関東近郊はコロナのおかげでろくにやることもなさそうだ。
飲みにもいけないしね。
家にいる時間、ストレスもたんまりとたまるけど、せめて耳には優しい素敵な音楽をかけながら、心癒してもらえれば幸いである。
このバンドは本当におすすめだ。