音楽放談 pt.2

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変態がいっぱい ―八十八カ所巡礼

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自分という人間はつくづく因果なもので、世の中の変態的なものほど興味を引かれると言う趣向が在る。

いわゆる無難なもの、大衆的なもの、マス向けなものは、得てして味が薄い。

それよりもこってりと糸を引くくらいの濃厚さを持ったものをこそ好むのである。

何故か、それはわからない。

だが、変態と付くものにはつい手を出してしまうのである。

変態、万歳!


さてアホな話はさておき、最近買って結構気に入っているのが八十八カ所巡礼という日本のバンド。

デビューは2010年らしく、謳い文句はポストゆら帝

サイケデリックなロックンロールってなもので、最近ちょくちょく目にしていた。

初めは確かBo NingenのYou Tubeにアップされていたライブ映像かなにかに付されたコメントだった気がしたが。

で、先日たまたま意図的に立ち寄った某塔の上のレコード屋で発見、そのジャケットからして素敵過ぎたのでつい買ってしまったのであった。

それが画像を載せたもの。

メンバーの顔を模しているのかと言えばそういう訳でもない謎のアートワーク。

こういうのが好きな自分は少しイカれているかもしれないとたまに心配になる。

まあでも、好きなものは仕方ない。

ウキウキしながら家に帰って聴いたのであるが、なるほどゆら帝が引き合いに出されるのもわからいではない。

また、いくつか事前に見ていたレビューとかからはもっとエキセントリックなものを想像していたが、音楽的には割と真っ当というか、そんなに狂った印象は受けなかったな。

普通にカッコいいし、ロックっぽいと言うと変だけど、これはロックだねと言える素敵な音楽。

特にPVも作られた”仏滅トリシュナー”という曲は出色と言えるだろう。

不規則なギターが耳を惹くので、奇妙な音楽という印象を受けるのはわかるが、よく聴いてみるとベースとドラムはミニマルにリズムの反復、その上でエキセントリックなギターが不協和音的に奏でられている。

曲の展開もいい。

この曲はいいね。

もちろんアルバム通してなかなかいかがわしくて良い。

良いバンドに出会ったね。


ちなみにこのアルバムにはインディーズ時代の曲もボートラ扱いで8曲は入っているのだが、そちらはもっと真っ当と言うか。

ヴォーカルの声も伴ってBo Ningenを彷彿とさせるものもある。

これが日本人的ロックのセンスって感じで素晴らしい。

きっと世の中のポピュラーミュージックという部類には入らないかもしれないが、これこそが日本的でロックで、素晴らしいと思える音楽である。


それにしても、Bo Ningenにしてもこのバンドにしても、あるいは下山にしても、日本のアングラバンドは本当に素晴らしいものが多い。

私は割と洋楽をよく聴いているので、そうすると邦楽を見下している、などという的外れな批判をする輩が確実にいる。

しかし、私はむしろ逆で、邦楽だろうがなんだろうが良い音楽は良いと言うスタンス。

日本にだって素晴らしいアーティストはたくさんいる訳で。

単にオリコンチャートに出てくるような大衆ポップスには興味が喚起されないだけで、日本だからじゃない。

洋楽だって何これ?てのはある訳で、重要なのは自分が聴いて高揚できるかどうかだ。

それが音楽を聴く態度としては正しいと思っているけどね。


ちなみに私はいわゆるポップな曲も普通に聴くけどね。

この文章を書きながらステレオから流れてくるのはFree Energyというアメリカのインディバンド。

知っている人はきっと少ないと思うけど、DFA所属で、メチャクチャ爽やかでポップな曲を奏でる良質なバンド。

だけど日本での知名度は欠片もないので、昨日中古やで600円で買ってきました。

ラッキー。

これを買った奴がいたということにちょっと驚きだけど、需要のなさが価格から知れてやや切ない。

これからの季節にぴったりな、変態性とは欠片も縁のない爽やかな音楽性なのでもっと売れても良いと思うけどね。

ま、世の中の大半は音楽を聴いている訳じゃなくて、ミスチルと言う共通概念を楽しんでいるに過ぎないのだろうね。

そんな連中にはこう見ないから、今日も私は家で一人の時間を楽しむのであった。


そんな自分がたまに心配だ。


”仏滅トリシュナー”