音楽放談 pt.2

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ポップの多義性 ―Queens Of The Stone Age

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今年も年の瀬が近づいてきている。

と、毎年この時期には言っている。

今年も豊作でしたね。

なんと言ってもNine Inch Nailsの新譜には痺れたし、フジロックでのライブは、最高でした。

他のアーティストについても結構な数が出たな。

!!!、Arctic Monkeys、Vampire Weekend、Yeah Yeah Yeahs、These New Puritans、Strokes、My Bloody Valentien、Little Boots、LITE、How To Destroy Angels(今年のトレントは絶好調ですね)、Hadouken!、Free Energy(世間的には注目皆無だが・・・)、Foals、Factory Floor、Delphic、Deerhunter、The D.O.T、Boards Of Canada、Beady Eye。

邦楽系でいえば、Back Drop Bomb、Mop Of Head、TCL(元MADのKYONOの趣味的バンド)、きゃりーぱみゅぱみゅ(友人から音源だけ貰ったのだけど、結局3回くらいしか聴いてない・・・)、サカナクション電気グルーヴ、八十八ヶ所巡礼、凛として時雨Corneliusデザインあ)、9mm。

Bo Ningenの2ndは日本盤は今年になってからだけど、私は輸入盤をさっさと買ったので。

それにしても、邦楽系の大半は友人から貰ったのだが、実質あまり聴いていないな。

その他初めましてで買ったのがKanye West、Troy Moi、Thundercat、Daft Punk(ザ・今更入門)、Darkstar、Van She、Savegesといったところか。

旧譜も結構買ってたから今年もまあよくも今時こんなにCDを買ったものだと我ながら感心する。

今年のベストはなんだろうね。


さて、今年はQueens Of The Stone Ageも新譜を出している。

今回もゲストアーティストが満載でその段階でも話題満載であった。

半ばレギュラーと化したデイヴ・グロールは今回も参加。

我らがトレントもいるし、アークティックのアレックスも参加、元Mars Voltaのジョン・セオドアも正規ドラマーとして加入、そしてエルトン・ジョンも参加!

相変わらず友達いっぱいだな、ジョシュは。

さらに今回は久しぶりにかつてのベーシスト、ニックも参加とあって古参のファンも喜んだのであった。

デイヴ、ニック、マークラネガンと、ちょうど彼等を一気に有名にした『Song For The Deaf』のメンツも揃ったとあって、各メディアでは黄金期の復活、などと煽り立てたが、そんな文言を観るたびにこのバンドの本質、あるいはジョシュ・オムという人とはかけ離れた宣伝だなと呆れたものだ。

そんな風潮を察してか、どの曲で誰が参加しているかを積極的に広める事はしなかった。

発売後に公式サイトでは出していたようだが、CDのクレジットにも詳細はなかったものな。


で、アルバムのムードとしては前作『Era Vulgaris』のような渋めなもの。

前作以上に渋いけど。

骨太でガッチリした曲はまさにクイーンズ。

硬質ながらどこかポップさはあり、かつジョシュのヴォーカルも相まってセクシー。

色気のあるロックと言える。

全体的に目新しさはないし、そもそもの音楽性としてそういう指針にはないのだけど、だけどカッコいいのは何故だろう。

王道という言葉がばっちりハマる。

彼等はアーティストリスペクトが抜群に高いのだけど、この王道感が同業者にも魅力的に映るのだろうか。

一方で『Song For~』を期待した連中にはどう映ったのだろうか。


それにしても、ジョシュはぶれない。

今回もこれだけ名だたるアーティストが参加しているが、結局は徹頭徹尾クイーンズサウンドである。

そこかしこに参加アーティストのテイストは感じるが、結局味付け程度。

コラボしたぜ~みたいな空気は欠片もなく、「今アルバム作ってるんだけど、よかったらちょっとだけ手伝ってよ」「あ、いいよ」みたいな軽いノリでちょっとジョイントしたみたいな感じなのである。

彼にしても別にかしこまってよろしく、みたいな感じではなくて、スタジオの前をたまたま通りかかったから声掛けてみた、みたいな感じなんだろうね。

前作では日本盤のボートラでアルバムのタイトルトラックが入っており、トレントが作曲していたが、メロディはトレントだけどテイストは完全にクイーンズだったし、そもそもアルバムには入れてない辺りがらしいよね。

アメリカンポップのメインストリームでもR&B系とヒップホップ系のコラボはしばしばなされるが、そういったものとは根本的につき合い方が違うんだろうね。

すごいと思う。


ちなみにアレックスは彼等の3rd『Humbug』以来の付き合いのようだが、今年出した新譜にもジョシュの影響と思われるものが随所に感じられる。

方向性的にも意識してんじゃないかなと思わせるんだよね。

元々アークティックが世に出た時に皆が胸を踊らせたのファストな曲の疾走感あるリフだったり、あるいは少し字余りなリリックを載せた歌だったり、現代的なミクスチャー感覚というのはあったと思うんだよね。

しかし、件のアルバム以降はそうした要素は抑えられて、割とミドルからスローテンポな曲が多く、新譜でも総じてミディ、どっしりとした王道感はあるがワッと盛り上がるタイプかと言えばそんな事はないという感じ。

個人的には悪くないと思うけど、一方でもう少しギアを上げてもいい気がしたけどね。

ともあれ、こうしたマイペースさを貫ける一つのポイントにジョシュがいたであろう事は想像に難くない。

3rdはちょうど2ndまでで着いた上記イメージにまとわりつかれるタイミングだと思うし、そこで世間との距離の取り方を教えたのがジョシュだったのかもね。


ちなみにNINのオーストラリアツアーにはクイーンズが帯同のようだ。

う、羨ましすぎる・・・。

この流れで日本にも来てくれないか、と思うが、今のところその気配はない。

そもそもジョシュはあまり日本が好きではないらしいし。

まあ、彼らの音楽性と日本の市場は正直合わないからね。


最近ふと思ったのだけど、彼等の曲は私はポップだと思うが、一方でポップではないのかもしれないと思うようになったのですね。

どう言う事かというと、要はポップとは、という定義の話なのだけど、彼等の音楽は決して人懐っこくない。

耳馴染みするメロディなどはあるけど、本質的に寄り添う事はない。

だから、馴れ合い大好き日本人からするとちょっとドライに感じられるところがあるのだと思う。

そういう視点で音楽を聴いてない人からすればカッコいいと感じるのだけど、一方で歌謡曲に由来する所謂J-POP的なものを好む層からすれば、例え洋楽を好んで聴いていてもピンと来ないところはあるようだ。

実際、割と音楽的な趣味の合う友人がおり、邦楽系ロックは概ね彼から紹介を受ける事が多いのだけど、彼はクイーンズはカッコいいと思うけど、俺はダメ、と言っていた。

彼はやはりどちらかと言うと人懐っこいメロディのある曲を好むから、そこなんだろうなと思う。

もちろん彼等を理解できる方がより高尚だなんて欠片も思わないし、あくまで趣味のレベルの話だけどね。

ちなみに私は逆に今流行の邦楽系アーティストってあんまりピンと来ない。

曲そのものはカッコいいし、演奏技術もすごいなと思うけど、なんかダメなんだよね。

ま、リンゴが好きかみかんが好きかの違い程度の問題である。


ともあれ、我がみちを貫きつつ、他人は否定しない、自分の好きな事をやりながら相手を敬いつつという姿勢が、彼等の周りに人を集める要因なのだろう。

人懐っこくないけど、だから無闇に媚びる事もなく、故に信用できると言う構図。

EODMの結成秘話に観るあったかさもあるから、魅力的な人なんだろうね。

顔怖いけど。

日本に来てくんねぇかな。