音楽放談 pt.2

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Black Radio ―Robert Glasper

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最近世の中でも所謂ブラックミュージックが注目を集めている。

Hip Hopもそういだし、FunkやSoul、R&Bなど、黒人の音楽をルーツにする音楽はポップシーンでも昔から一定以上の人気もあったけど、ここ数年は日本でも紹介される機会が増えてきているような気がする。

むしろここのところ主流を成す音楽の大半に実は彼等の音楽にルーツをみるものが多い気がする。

ロックについてみても、Talking Headsのようにそちらに傾倒するアーティストも非常に多いし、日本ではじゃがたらなどは黒人的ファンクを体現していたようなところがある。

それに黒人さんの歌ってやたら力強くて、概してちょっと鼻にかかったような声が特徴だと思うけど、とにかく響きが違うところがある。

リズムという側面でも、体の中に常に流れているような感じで、ダンサーなんかでもやっぱり動きの質が違うななんて素人ながらに思う。

根本的に彼等の中には音楽が流れているんだろうな、と思わせるには十分ではないだろうか。


私は別にそういうこだわりを持っていた訳ではないのだけど、最近黒人ミュージシャンのアルバムを割と多く買っている。

ていうかこれまでロックバンドばかりを聴いているようなところがあったから、接点があまりなかったのだけど、最近はソウルやジャズ、ヒップホップにR&Bなど、その手のジャンルも徐々に聴くようになる中で手を出したと言うのが正解だ。

正直に言うと、昔は彼等の音楽はちょっと苦手だったのだ。

うまく言い表せる言葉はないのだけど、ものすごく濃厚というか濃密というか、そういうパワーがちょっとキツかったのだと思う。

だけど、色んな音楽を聴くようになれば却ってそれが魅力にもなるし、一方で単純な新鮮さのような思いもあるから面白いのである。


で、そんなあれこれを聴くようになったきっかけの一つがRobert Glasperというジャズピアニストの人が出した『Black Radio』というアルバム。

元々昨年のサマソニで~Experimentとして来日したのだけど、そのときのライブがメチャクチャよかったのだ。

そこで興味を持ってCDも買ったのだけど、やっぱり良かった。

ロック的な要素もあるからそういう意味でも入りやすくて、でも要素としてはそのタイトル通りブラックミュージックを集約して再構築しようというようなコンセプトらしく、ヒップホップやソウル、ジャズなど多様な音楽を展開して、尚かつポップになっているのでアルバム通して聴いても聴きごたえもある。

その手のジャンルには全く明るくないので細かいことはまだわからないけど、そこからこれまで手を出してこなかった音楽でも、結構良いなと思えて、結果としてあちこちに広がっている訳である。

それこそEryka BaduとかOdd Future、D'angeloや最近出たKendrick Lamerとか、そういうのも普通の選択肢に入ってきている訳である。

感情表現も豊かだし、リズムも良くて、非常に良い音楽が満載じゃないかと思う訳である。

色んなアーティストもゲスト的に参加したりコラボしたりもしているため、その意味でもそこから開けてくる部分もあるし。

実際Baduなどは彼等のアルバムで歌声を聴いて、そこから興味が広がったからね。

Starfesでライブも観たし。


黒人は差別に奴隷にと虐げられてきた歴史があって、今でもアメリカではそれが根強くて、オバマ大統領のような黒人首長が誕生する一方でそれこそファーガソン事件のような事が未だに起こるような状況にある訳で、やっぱり問題の根は深い。

日本はそういう人種問題ってあまり日常にはないから、ピンと来ないところもあるし、私自身の理解も浅いからあまり言及する事は避けるけど、いずれにせよそうした状況から生まれてきた音楽もある訳で、その意味では決してポジティブなバックヤードのあるものばかりではない。

ただ、一方でそういった辛い状況を跳ね返すような力強さもある訳で、ひょっとしたらそれが昔の私には濃厚だと感じられた要因なのかもしれない。

それまで聴いていた所謂J-POPという音楽の大半はそうした逼迫した背景はもっていないし、もっと純粋な娯楽指向の音楽だと思うし。

日本で政治的な音楽やパンクが一般化しないのは、やっぱり平和な社会を持っているからなんだろうなと思うし、一方でここ最近アメリカなどでもJ-POPが評価される一つの要因はそうした重さのない音楽だからかもしれないね。


それはともかく、自分達の状況と戦う為の音楽でもあるから、やっぱり強いものがあるよね。

そういえば、Vampire Weekendが出た時に、彼等が黒人ミュージック的な要素を表に出した時に「白人が黒人の文化を盗もうとしている」みたいな批判をした人がいたらしく、それがどちらの側から出たのかは知らないが、そんな文化的なところでも闘争があって、でも音楽では誰でも楽しめる要素もあって、やっぱり問題の根は深いよねと思う訳である。

ともあれ、純粋に音楽として聴いたとしても素晴らしい作品はたくさんあるし、素敵なアーティストもたくさんいる。

ただそこだけを観て行けば何の戦いもないはずだけど、世の中はそうでもない。

やっぱり平和な日本で育った私には、彼等の真剣さ、切実さは半分も理解できていないのかもしれないけど、私個人の価値観において一つの参照点にはしたいものである。