音楽放談 pt.2

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儚さと美しさ -Stars

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急に冬になってしまった。

来週には11月だから当然といえば当然なのだけど、今年はやけに10月が長かった。

昨日は12月並みだったというが、つい先日までまだ少し暑さを感じる日もあった。

そう考えると、今年の10月には季節が詰まっていたね。

なんだか活気のない毎日を送っているのだけど、日々苛立ちは募りつつ、でもどこか諦めた自分の姿がなんとも情けないものだ。


それはともかく、こういう季節になると聴きたくなる音楽というのがあって、その一つがカナダのバンド、Starsである。

文学的な匂いのするエレポップで、曲は穏やかでとてもメロディも綺麗。

男女ツインヴォーカルだけどいずれも透明感があってその掛け合いも素晴らしい。

彼らはBroken Social Sceneのメンバーとしてクレジットされることもあり、A&Cのファミリーである。

もっとも今はレーベルを写しているが、別に関係性が悪化したわけではないようなので、相変わらずメンバーをシェアしていたりする。

日本ではほとんど知名度はないが、一部インディファンの評価は非常に高く、なんやかんやアルバムは全て日本盤も出ている。

すでに7枚のアルバムと1枚のリミックスアルバム、その他シングル、EPでアルバム未収録の曲もあるため、かなり多作なアーティストである。

ちなみにそのリミックス盤はカナダの盟友達によるもので、BSSDears、それにOwen Palletなんかも参加していて、なかなか面白い。

今日画像で載せたのは、そのリミックス盤の元になっている『Set Yourself On Fire』である。

3rdアルバムにあたるのだけど、彼らのキャリアでも一番注目された頃なのではないかなと思う。


彼らの曲は全体的に穏やかで静かな曲が耳を引く。

と言ってバラードばかりというわけではなくて、ポップな曲もたくさんあるけど、騒ぐタイプの曲ではないし、どちらかといえば夜に聴きたくなる音楽である。

1stアルバムなんて完全にそうだし、2ndはポップな色合いが増しているけど、3rdは一番曲に勢いがある。

きらびやか、という方がしっくりくるかな。

タイトル曲も鮮やかなシンセ音でスタートするスピード感のある曲だし、"Ageless Beauty"なんかは女性の曲って感じ。

彼らの曲らしいと思える曲が詰め込まれていて、本当に全曲シングルにしてもいいのではないかと思えるくらいなんだけど、一方でアルバムとしてのバランスも素晴らしくて、静かな曲、アップテンポな曲、明るい曲、少し憂いのある曲と、非常にバラエティに富んでいる。

中でのラストの"Calendar Girl"はしっとりとして憂いのある曲調が非常にしみる。

こちらも女性的な歌詞の曲なのだけど、内容は少し重い感じである。

タイトルの言葉自体はカレンダーに載っている女性モデルを指すものだけど、そのカレンダーの中の時間が経ったら破り捨てられる彼女達の儚さというか、運命というか、そういうものを描いているという解釈もできるだろうし、それを通して社会で抑圧されるような女性の姿を暗に描いているとも解釈できるだろう。

それこそこの前のアルバムの"Elevator Love Letter"とかもそういう社会の中の女性、みたいなテーマの曲なのかなと思っているので、彼らの楽曲ではしばしば出てくるテーマの曲だと思っている。

「12月は一番重い、6月は一番明るい」というラインがあるのだけど、カレンダーの写真がそうなっているのだろうか。

とはいえ、儚げながら綺麗な曲であるので、好きである。


彼らはカナダでは音楽賞もいくつも受賞していたり、男性ヴォーカルの方は俳優としても活動していてアメリカの人気TVドラマにも出ているし、女性の方はソロでもアルバムを出している。

いわゆる国民的バンドというやつであるらしい。

日本でもちゃんと日本盤として流通しているので、私のように根強いファンがいるのだろうな。

幸い日本人の多くは英語がわからないと思うので、だからこそその曲含め耳に入ってくる音感だけでも楽しめるので、非常にオススメである。

これからますます寒くなっていくこの季節に、そっと彩りを添えてくれるような音楽で、もっと知られてほしいなと本当に思う。


"Calendar Girl"ドラマ仕立てPV