音楽放談 pt.2

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芸術の春 -Owen Pallett

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昨夜は仕事帰りにOwen Pallettのライブへ。

アルバムを出したわけでもシングルを出したわけもでなく、何かのイベントがあったわけでもない純粋なジャパンツアーである。

・・・このジャパンツアーって直訳すると日本旅行か。

それはともかく、東京と京都の2箇所だけのために、来日である。

洋楽不況が叫ばれて久しい昨今、世界ツアーから日本が外されるのが当たり前になっている昨今、こんな平日のど真ん中に来てくれるなんて。

私が彼のライブを見るのは2回目で、来日自体はちょくちょくしている。

Owen名義で出した1枚目のアルバムのタイミングでも単独来日しているし、初回のホステスでも来日、直近では2年くらい前のフジロックでも来日していた。

私はホステスで初めて見たのだけど、その時のライブがあまりに衝撃的で、これはまた見たいなとずっと思っていたので本当に嬉しくて、チケットは絶対に当日券が出ることがわかっていたけど発売当日に即行で買った。


彼は元々はストリングスアレンジャーとして、地元カナダのアーティストと仕事をしていたようだ。

それこそBroken Social Scene始めArts & Crafts周辺のアーティストが中心だろう。

Starsの『Set Yourself On Fire』のカバー&リミックス集にも名を連ねていた。

それからFinal Fantasy名義でソロアルバムも発表、当時は一部では評価が高かったらしいが、日本にいてはその名は聞こえてこなかったのではないだろうか。

彼がここ日本でも有名になったきっかけは、Arctic MonkeysのAlexとMiles KaneのLast Shadow Puppetsの1stでストリングスアレンジをした、というニュースだろう。

間も無く本名名義でリリースした『Heartland』で、ちょうど同時期に元BattlesのTyondaiとSufianのアルバムが現代音楽、クラシックなどとの折衷的な音楽が注目を集める中で、彼のクラシック的な色の強い音楽も注目を集めた。

ちなみに活動名義を改めたのは、ここ日本でのデビューを控えてのことである。

Final Fantasyはあのゲームからとっていて、あのゲームが大好きだったOwen少年はそのゲームの世界観のような美しい音楽を作りたい、という思いからその名を借りたのだとか。

しかし日本デビューするにあたり、もちろん版権的な都合もあったのかもしれないけど、すっと降ろしてしまうのだから、彼は実は日本が好きなのかもしれない。

初期アルバムの曲には”Afraid Of Japan”という曲もあって、この曲は三島由紀夫の作品に対して感じたことを書いたらしいのだけど、かと行って日本自体にネガティブイメージがあるわけではない、のだろう。

ともかく、彼の音楽はその思いに違わず基本的に美しい曲が多いのだけど、一方でそこ明るさがなくどこか影を負っている印象があるのだが、それは彼のパーソナリティに寄るところもあるだろう。

今ではインディロックの仕事だけでなく、テイラー・スフィフト始めいわゆるメジャーアーティストとの仕事も増えており、すっかり大物といっても過言ではない。

余談だけど、王子様ルックのイケメンだ。


彼の音楽自体もさることながら、ライブが素晴らしいというのは見た人がみんな口々に言っている。

私が初めて見たホステスの時も終演後出ていく人たちが口々に絶賛していた。

その時のライブではドラムとギターだったと思うけど、サポートメンバー2人を携えてのライブだったのだけど、何に驚いたって、彼は中心でストリングスを演奏するのだけど、ただ弓でいわゆるあの音色を出すだけでなく、ベースみたいに弾いたり叩くように演奏したり、あえてノイズ的な音お出したりと様々な形で演奏され、それを取り込んでループさせて曲に仕上げていくのである。

それだけでクラシック的な壮大さを出してくるのだから、かなり衝撃的だった。

ループを使って曲を仕上げていくやり方自体は他のアーティストもしばしばやっていたことではあったけど、楽器一つであれだけ色々な音を出して、しかもノーミスでかっちり仕上げていくんだからまさに芸術的なパフォーマンスとして感動したもの。

才能って素晴らしいなと思ったね。


で、今回はサポートメンバーもなく、彼1人で演奏したのだけど、使った楽器はギターとストリングスのみ。

あとは打ち込みノイズも使用していたけど、基本的にはその場で音を取り込んでループさせて、足元ペダルで時に歪ませていくというスタイルは変わらずだったけど、ステージセットのシンプルさからみる音の要素では明らかにないからなんか不思議な感じがしたものだ。

セットリスト的に暗いトーンの曲も多かったけど、彼のクリアな歌声が逆によく映えているし、相変わらず出している音自体はシンプルなのにそれが一つの楽器からでていることの驚きと、ループでない生の演奏をしながらペダルで音を歪ませてフィードバックノイズにしたり、なんかすごいことになっていた。

ほぼノンストップで演奏していき、ラスト3曲の前に少しだけMCをして、静かに去って行った。

こうやって文章にするとなんともあっさりした感じにしかできないのは私の語彙力の限界なのだけど、一度は見てみてほしいライブである。

結構新曲もやっていたし、曲を作っているよ、的なことも言っていたのでアルバムも近々リリースされるかもしれない。

それもまた期待して待ちたいですね。


ところで、帰りにタワレコに寄ってMaximo Parkの新譜を買って帰ってきたのだけど、新発売にもかかわらずアーティストのコーナーにしか置いていなかった。

今作は日本盤も出たけど、前作はホステスだったのが今回は聞いたことのないレーベルだし、日本盤も申し訳程度の印刷の質も低い解説がペラリと入っているだけだった。

彼らもイギリスでは数万人は集める人気バンドなのだけど、日本ではあまり人気がなく、3年くらい前のライブではUNITでゆとりがある入りだった。

今回のOwenもWWW Xだったけどゆとりがございます状態だったし。

だからこそ、こうして来日してくれるのがうれしいのだ。

キャパが小さくなってもチケット代据え置きでもいいから、またきてほしいな。


ちなみに今回のライブではこのシンセ卓もありませんでした。