
私が大学の頃から聴くようになった当時もの若手から中堅辺りのバンドも、みな何度目かの周年記念ライブを行うほどにキャリアを重ねている。
解散してしまったバンドも多い中で、大変喜ばしいことである。
今や日本のポストロックといえば、という代名詞的なバンドいえるtoeも25周年ということで、普段はライブハウス中心に気まぐれにライブをやる程度だが、今回は両国国技館だ。
武道館ではないんだなと最初思ったが、武道館はあんまり音が良くないからね。
かと言って両国がいいなんて話は聴かないし、そもそも私はこの会場で音楽ライブを見るのは初めてである。
まぁ、何はともあれお祭りみたいなものであるからね。
toeについては今更説明するようなバンドではないが、何はともあれライブのエモさは随一だ。
インストながらあんなに訴えかけてくるライブをできるアーティストはそうはいないだろう。
まさに、全身で奏でるようなバンドである。
これくらいなの会場で見るのは初なので、どんな感じなのだろうかと。
ステージは土俵の盛られるセンターに据えられており、いわゆる360度ステージだ。
メンバーは中心を向くように配置するわけだが、この円環配置は彼らの代表的なイメージの一つだろう。
ライティングのみのシンプルな演出もいいよね。
ライブの構成はインスト主体で構成される前半と、ゲストコーラスも招いた後半に大きく分けられるような感じだった。
始まってすぐにもうtoeだった。
会場の大きさは問題じゃなくて、なんなら出てきたその時からみんな元気いっぱいだ。
特に柏倉さん。
そしていつになくベースの山根さんも動き回るし、山﨑さん、美濃さんはいい意味でめちゃいつも通りだ。
冒頭にも書いたのだけど、彼らは全身で楽器を鳴らす。
大袈裟じゃなくて、比喩でもなくて、本当にそうなのよ。
スピーカーからでかい音はなっているが、それ以上にステージ上がすごいのよ。
顔も含めてこの音なんだよ〜〜みたいなさ。
後半パートはアルバムでもコラボしていた人を招いてだったが、クラムボンの原田さん、そしてmitoさんも招いてNujabesのカバーも。
テンション上がりすぎて手拍子バンバン求めていたが、しっとりした曲なのでできればじっくり聴きたかったが、ともあれさすがとしか言いようのない最高だった。
私は音源でもよく音楽は聴くけど、ライブは完全に別な体験だと思っている。
体全体に振動として音がくるだけでなく、そこには演者がいて、肉体性がそこにあるんだよね。
感覚的なこともあるから全て言語化はできないけど、やっぱりそこから出てくるエネルギーとしか言えないものがあるんだよな。
流石に”Goodbye”はグッと来てしまった。
あれってなんだろうな。
終演後は雨の中ぺとぺと駅まで向かう道すがらもなんだかよかったね。
なぜか顔出しパネルが忽然と置かれており、何を主張するでもない佇まいも絶妙にゆるくて、この辺りが素敵だ。
終盤に山崎さんが手紙のような形でMCをしたんだけど、このバンドの在り方についても言及があり、これが魅力なんだなと思ったよね。
彼らにとって音楽は夢中になれる、人生のおける大事な拠り所みたいなものであるらしい。
以前、たしか『Hear You』をリリースした時だと思うけど、ゲストボーカルを多数迎えており、しかも木村カエラさんやCharaさんなどビッグネームもあったので、「toeも売れるためにこんなことやって・・・」みたいな批判を目にしたことがあった。
それに対して「僕らは好きでやっているだけで、その時にやりたいことをやっている。それが気に入らないなら聴かなくてもいい」といったことを言っていた。
彼らはみんなそれぞれにバンド以外の仕事もしていて活計は立てられているだろう。
実際バンドの活動状況を見ても、音源はもとよりライブもそこまでしょっちゅうやっているわけでもない。
会場規模もいうてもライブハウス中心だしね。
思い出したようにアルバムが出てきて、ライブをいくつかやって、定期的に出ているのはSynchronicityくらいではないだろうか。
どう見ても趣味とした思えない活動状況だが、だからこそあのクオリティをメンバーも楽しみながらできているんだろうな。
いずれにせよ、よく言われるメッセージではあるかもしれないが、実際彼らが体現している様をみると説得力もあるし、あまり口が達者ではない山崎さんの言葉として発せられると、響き方も違うのである。
何をいうかも大事だけど、それを誰がいうかで変わってくるのが言葉の面白いところである。
東京ドームではオアシスの再結成ライブがあった。
両国ではtoeが魂を奏でていた。
音楽はいつだって最高だ。