このごろ、いわゆるUSインディ系をよく聴いている。
Faintは今やマイフェイバリットだし、同郷のCursive、Bright Eyesなんかもいい。
NY界隈にはTV on the Radioはじめ、Yeah Yeah YeahsやLiarsなどのアヴァンギャルドで、それでいてポップで独自な音楽をやっている連中が非常に多くいて、これらも非常に面白い存在である。
インディ、とはいっても、今やメジャーとの境目はそれほどないし、単にメジャーなレコード会社でなければ、という感じはある。
まあ、もともとDIY的精神を持って活動している連中をインディという訳であるから、別にいいんだけだけどね。
それに、派手なプロモーションがない分、よりその音楽に焦点されるというのはいい点である。
もっとも今やメディアがともすればハイプを作っちゃうから、必ずしもそうでもないのかもしれないけど。
そんなインディ系でも、今や商業的に成功を収めている例もかなり目立ってきている。
メジャーでなくとも普遍性の高い音楽をやっていたり、売れ線だったり、あるいはより音楽的に優れている場合もかなりあり、リスナーの耳もかなり肥えてきているという事もあろう。
いいものはいいとわかるようになったというかね。
自分も最近、別に得に意識している訳でもないけど、そういうのも積極的に手を出すしね。
まあ、雑誌でインタビューを読んだりして面白いと思うから聴くんだけど。
そんな調子で聴くようななったバンドの一つが、今やメジャー級の知名度すら獲得しつつあるModest Mouseである。
昨年出したアルバムには元スミスのジョニー・マーが加わったという話題性もさることながら、批判生にとんだ文学的な歌詞と、きわめてポップな楽曲でついに全米1位を獲得した事がちょっとした事件性をもって語られていた。
アルバムのタイミングで数多くインタビューもとられた訳であるが、アルバムの評価とともにそうしたインタビューを読む中で、このバンドの中核たる人物アイザックは結構自分の好きなタイプの人かもしれない、と思ったのである。
一応言っておくが、別にゲイ的な意味ではないよ。
人間性の問題ね。
いわゆる皮肉屋としても名高いようだ。
実際彼のインタビューは非常に面白い。
仕事だから、と割り切って丁寧に答えようとする人が結構多いんだけど、彼の場合はそんな態度すらない。
きっとインタビュアーは大変だろうな、なんて思うけど。
それでもにじみ出てくる彼の世界に対する思いであるとか、そういったものが結構真面目で意外と人の良さそうなところを反映しているかの様で面白いのである。
で、私が彼らを聴くようになったのは本当につい最近。
初めて買ったのは前作にあたる「Good News For The People Who Love Bad News」というアルバム。
邦題ではほぼ直訳がされているが、それでも面白みが半減してしまうあたりに言語的な違いによるユーモアの質の違いを自ずと感じてしまうが。
この皮肉的なタイトル、好きだね。
今という時代をよく表していると思うよ。
こんな皮肉屋の書く曲なので、本来であれば歌詞にこそ面白みがあると思うんだけど、私は洋盤を買ってしまったため歌詞がよくわからないのである。
時間があればじっくり読めばいいんだけどさ。
なので、そんな状態で果たしてレビューしていいものかとも思ったんだけど、とりあえず曲だけでも、と思ってね。
まず最初はホーンによる"Horn Intro"で幕開け。
続くは非常に穏やかで、ささやくようなヴォーカルから始まる。
まるで子供に絵本でも読み聞かすような口調である。
そして次が"Float On"。
優しいギターが非常に印象的である。
なんて言っているかはわからないが、安心感をもって迎えられるような曲である。
いい今日ですよ、これ。
ヴォーカルはかのアイザックという人なんだけど、この人は特徴的な歌い方をする。
時折素っ頓狂なほどひっくり返る声が、却って味があるのである。
ヘッズ好きなんだっけ?
あえてコミカルさを演じているような歌い方は、ある種の良心なのかもしれない。
比較的ポップでオープンな印象の曲が多いのは多いんだけど、中にはちょっと怖い感じの曲もある。
まあ怖いって言っても、なんか子供脅かしているような感じであって、全般的にある種童話的な印象が
どうしてもしてしまう。
この雰囲気が抜群にいいんだけど。
で、アルバム中で一番好きな曲は"The View"と言う曲。
ホーンの入れ方も非常に効果的である。
この手の楽器というのは、使い方によって印象が全然違うんだな、と最近本当によく思うんだが、それはまた後日別のバンドについて書くときに譲ろうか。
縦揺れなバースから横揺れ的なコーラスへの切り替えなんかもいいし、歌い方も変わるので非常に表情も豊かな曲である。
で、終盤は非常にゆったりな曲が続くのだが、これがまた心地よいである。
こういうアルバムの構造はSuper Furry Animalsの最新作でも同じような構造を少し感じるんだけど、好きな展開だね。
最後の前に1曲アップなやつを仕込んでおいて、ラストはミドルなテンションのあったかい曲。
タイトルは"The Good Times Are Killing Me"というんだけどね。
とまあ、せっかくいいバンドなのに非常に雑で申し訳ないんだけど、この間最新作も買ってきて、いま聞いている最中なので、こちらについて書くときにはもう少しちゃんと書けるように歌詞もしっかり考えてみたいと思います。
でも、単純に聞いていて心地いい曲だし、皮肉屋ではあるがこの人が根っから悪意のある皮肉屋であればこんな曲はできないだろう。
そういう人間性も含めて、非常に魅力的なバンドではなかろうか。