昨年の秋にHi-Standard復活とともにAirjamが開催された。
90年代の終わり、日本におけるインディロックという価値観に絶大な影響を与えた当時のバンド群の中でもその中心的存在であったバンドの復活だけに、大変話題となったものだ。
私は今に至るもハイスタはまともに聴いた事がない。
再結成を機にYoutubeで代表曲らしくを数曲聴いたが、正直ピンと来なかった。
もし中学生か高校生の頃聴いていたらまた違ったかもしれないけど、あの青臭いまでにストレートな音楽を楽しむには、少し大人になりすぎたのだろうか。
とはいえ、この世代のバンドは好きな奴が多いのは確か。
The Mad Capsule Marketsなんて俺にとっては神みたいな存在だ。
日本人の音楽で頭を殴られるような衝撃を受けたのは彼等が初めてだった。
当時高校生で、聴いたのは「010」という奴。
当時はYMOを聴くようになったのだけど、そのリミックスアルバムにマッドの名が在り、しかもそのアレンジが抜群にかっこ良かったので、それが興味の発端である。
そしてアルバムを聴いた瞬間、あの凄まじいまでの音圧に圧倒された。
何じゃこりゃ!である。
周りには聴いている奴はいなかったけど、それ以来大好きなバンドである。
結局ライブは1回しか観る機会はなかったが。
他にもBack Drop Bombなんかは最近聴くようになったバンドだけど、独自の音楽性を持っていてかっこいいと思った。
2月には新譜が出るので楽しみで仕方ない。
そして、さらに最近聴くようになったのはBrahman。
今更かよ、という突っ込みが聴こえてきそうだが、もちろんバンド名は知っていた。
そして、実は大分前に一つアルバムを買って聴いたのですよ。
ところが、それがあまり良いと思えず、あんまりかっこ良くなくて、それで聴かなくなったのです。
しかし、先のAirjamの件で再び名前を観て、何の気なしに調べたら初期の頃の方が評価が遥かに高い。
そして私の買ったアルバムは、ファンの間でも結構賛否在るようなものだったので、でわってんで再度聴いてみたんですね。
で、たまたま買ったのは中古屋にあったメジャー1stであった。
音楽的にはいかにも90年代っぽいと言うか、そういう匂いのあるものだった。
それは以前買ったアルバムからは感じなかった要素だ。
どうやら私はその90年代的な空気が好きらしく、これは素直にかっこいいと思った。
特に’Deep’という曲は抜群に良いですね。
そして何よりもToshi-Lowのヴォーカルがかっこ良かった。
英詩にしても決して発音も良いと思えないし、英語だからっているよりも発音が独特で何言っているかわからなかった。
それでもかっこいいと思った。
これがスタイルって奴だね。
その後更に私を驚かせたのは女優のりょうの旦那だったという事だが、それはまた別の話である。
彼等はとにかく全国津々浦々までライブで回っているという事でも、非常にDIY精神に富んだバンドである。
Tha Blue Herbもかつて47都道府県ツアーを行ったが、何かのインタビューで言った先で彼等のポスターを見かけ恐れ入った、といっていたと思うが、その辺りも実にインディっぽい。
結局日本に置いてもロック、パンク、インディという価値観が根付く事なく、ロックチック、パンクチック、インディチックなものばかりが残っている。
少なくともメインストリームにはほぼ存在しないように思う。
まあ明確な定義を求められても難しいんだけど、ロックってこういうやり方で良いんだよね、これがロックって言う音楽だよね?みたいなスタンスのバンドが多いというのかな、うまく言えないが。
そもそも日本にはロックは必要なのかもしれないしね。
しかし、私のようなものは、そのようなロックなるものはやっぱり必要なんです。
そのロックを感じさせてくれるバンドが日本にも少なからずいる事は嬉しい事ですね。
昔のものでも、そこに宿る精神が本物なら、決して色褪せはしない。
それが本物かどうかを分ける何かなのではなかろうか。
そして、Brahman始め、Airjam世代と呼ばれるバンドには、そうしたものを感じられるものが多いのも確かだろう。
日本にも、まだまだ良い音楽、バンドはたくさん在るってことで、財布が悲鳴を上げているのでした。