パンクのその後に勃興した音楽の一群をニューウェイヴとかポストパンクなんて言ってね。
パンクの後だからポストなんだけど、その音楽性は多岐にわたり、恐ろしく豊作でありながら、一方で瞬間最大風速のような側面もあったのは確かだろう。
ああもオリジナルで、しかもクオリティの高い音楽がゴロゴロ出てきたというだけでもパンクの功績は大きい。
そうした時代考察をするにあたって、ここ数年はその当時のような感じがある、という人もある。
確かに毎年話題の新人が出てきては、しばらく経つといつの間にか解散してしまっている奴もいて、もったいない。
果たして何人が残るのか、それもまた楽しみ。
さて、新時代はこれからなんだけど、その80年代前後に出てきたバンド群で、今も尚元気なバンドって結構いるんだよね。
例えばNew Order、U2とか。
最近は喧嘩ばっかみたいだけど、その前身であるJoy Divisionとともに再び脚光を浴びつつ。
既に解散したものの、Talking Heads、Gang of Fourなんてのは未だにそのフォロワーみたいなバンド、あるいは参照点に挙げるモノが絶えない。
面白い事に、オリジナル世代は今も現役なやつが結構いるのに、それらの触発された連中の方が色々あったりしてね。
やっぱりバイタリティかメンタリティが違うのかな。
Damnedなんて今年来日&単独もあるし、Pistolsも昨年来日して。
Buzzcocksもまだ現役だから、関心するよね。
で、ポストパンク組の中で今も元気なバンドの一つが、後のインダストリアルからゴス、果てはヘヴィロックにまで影響を与えたといってもよいであろうバンド、Killing Jokeがある。
Nine Inch NailsもMInistryも少なからず影響されているし、Mad Capsule Marketsはカバーもしている。
一昨年のフジロックに続き、昨年は2日間の単独公演でもバリバリ感を示した。
アルバムもまたここ数年結構良いペースでリリースしているし。
私も現時点での最新作も買って聴いたが、初期に最も印象的であったところのシンセピコピコ音は陰を潜め、よりヘヴィロックよりになってはいたが、かっこ良かったよ。
ミニマルなビートの反復なども効果的に使いながら、ここに在りを示したような格好だね。
より呪術的なにおいが強くなったのは気になるところであるが。
そんな彼らの1stは、今聴くと果たしてどこまで刺激的といえるかはわからないが、それはそれだけスタイルといて一般化した、という事でもあろうから、それで価値が下がる事はない。
むしろbpmも遅いのに、決してだるくなく、むしろ高揚するものが在るというのは他ならぬ彼らのすごさであろう。
1曲目はゴス的なイメージを抱かせる、彼らのバンドのムードを体感するにはもってこいのような曲である。
2曲目はマッドもカバーした"War Dance"。
オリジナルの方がポップな感じすらあるんだけど、この曲も単純なリフだったりビートだったりの反復が基本で、その辺りはやや先取り感がある、かな。
ちなみにマッドヴァージョンはよりアグレッシヴで、得意の歪んだベースラインが抜群にかっこいいので、こちらも是非要チェックしてもらいたい。
その後も聴き進んでみると、所々にNINを彷彿させるようなアレンジもあるし、当時のエレポップ的な空気の強い曲もありで、かなり面白い。
音楽性自体は昨今の陽気なムードからはかなり外れるんだけど、一回は聴いてみても良いんじゃないか、というバンドである。
ちなみに、当時フロントマンであるジャズ・コールマンは、ピストルズのジョン・ライドンと比肩する天才と呼ばれた事もあったそうな。
そこまで真剣に追っかけている訳でもないし、彼らを聞き込んでいる訳でもないので、その辺については考えた事ないんだけど、まあそんナ評価もあったという紹介である。
それにしても、この当時のアルバムっていうのは、音楽もさることながら、ジャケットも秀逸なものが多い。
上述のバンドのどれもかなり面白いアートワークだし、このアルバムのジャケットも非常にかっこいい。
音楽性それ自体をうまく表している感じもするし。
やっぱり主張の在る連中が音楽をやっていた訳であるから、自ずとトータルでそうした姿勢が現れるんだろうね。
最近はダウンロードがセールスの主流になってきていて、ジャケットの存在意義自体を理解できない人も多いんだろうけど、やっぱりこういうのも大事だと思うんですね。
特に自分でアーティストと言いたい人は、それくらい考えても良いんじゃないかな。
それなりに考えているんだろうけど、その発送に深みはないんだよね。
まあいいや、とにかくよき時代の遺産だよ。
バンド名もナイスだしね。