音楽放談 pt.2

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オリジナルであるということ -Ogre You Asshole

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休日にはよく美術館に絵を観にいくのだけど、ちゃんと見るようになったのはわりと最近で、確か5年くらい前からである。

大学の頃からたまに観にいってはいたんだけど、その時は本当に何となく観ているだけだったが、ちゃんと本を読んで勉強したり、特定の画家の名前を覚えたりするようになったのは本当に最近だ。

 

それでも、私の特性上興味を持つとある程度のところまでは結構速度良く掘り下げていく。

 

見始めた頃は洋画を中心に見ていたし、日本画はさっぱり興味がわかなかった。

 

しかし、最近はむしろ日本画、というか日本人画家の絵の方を好んで見ているかもしれない。

 

美術館によっても色があり、洋画専門のところもあれば日本画専門のところ、色々のところなどあるわけだが、お気に入りは恵比寿にある山種美術館という、日本画ではかなり老舗な上に中堅クラスになるであろう美術館。

 

収蔵品は日本人画家のものが中心で、コレクションの中からテーマを決めて企画展を開いており、しばしば足を運んでいる。

 

ていうか変わる度にわりと早い段階で足を運んでは眺めている。

 

何がいいかって、まずサイズ感。

 

ゆっくり見て1時間くらいかかるくらいの規模感が、集中してみるにはちょうどいい。

 

あまり広すぎたり、大掛かりすぎると流石に集中力が持たないのだ。

 

それに比べてここはワンフロア内で完結するので、ちゃんと集中して見られる。

 

また、基本収蔵コレクションからのピックアップ企画なので、同じ作品を何度か見る機会に恵まれる。

 

そうすると、前回は気にならなかったものがふと気になることもあり、そこでその画家を掘り下げるような見方をできるので、ちゃんと見られるんだよね。

 

それに、恒常的にやっていることもあってか、そんなに混まないので静かに見られる。

 

私は人気のない美術館って大好きなんだよね。

 

作品は近代日本画家が多いこともあって、西洋画とのミクスチャー感覚もあるのもいいよね。

 

 

こうして作品を眺めていると、日本人画家の作品の多くは西洋画と比べて静かな絵が多く、それがいいのよね。

 

私は風景画が好きで、西洋画でも綺麗な絵はたくさんある。

 

面白いなと思うのは、風景画については日本の絵の方が概してファンタジー感があること。

 

西洋画は細密なリアリティあふれる絵が基本なのだと思うけど、そのリアリティってあんまり感じないのだ。

 

その代わりというわけではないが、心象風景みたいなものとしていいなと思うのである。

 

それに、ある種のリアリティや細密さという部分でも、決して西洋画にも負けていないし、日本は日本のものとして、もちろん西洋画から取り入れている要素も多分にあるにしても、独自のものとしてちゃんと確立された文化として胸を張っていいはずである。

 

実際フランス・印象派に大きな影響を与えたのは他ならぬ日本の美術、とりわけ浮世絵であったわけだが、自国の文化を誇ることって大事だよなと思うわけである。

 

 

音楽においてもそれは同じで、私が好んで聴くロックというジャンルについては、そもそもアメリカの音楽を輸入してきているため、オリジナルなものではないにしても、今に到ればすっかり日本にも浸透した音楽である。

 

時代を増えれば独自の進化を遂げており、海外から参照されるアーティストもいることが当たり前の時代になったわけだ。

 

相変わらずヒットチャートだけを見て「日本の音楽は終わった」などと言っている輩がいるが、一体何を見ているのか、聴いているのか。

 

日本人をなめているのは他ならぬ日本人自身だろう。

 

むしろ日本らしさ、洋楽らしさみたいな境界自体がもはや無くなっていくだろう。

 

ある日本人画家も、かつて「いずれ日本画洋画といった区別自体なくなるだろう」といった人があったらしいが、すごいなと思う。

 

そんな彼ら独自の音楽だなとしか言えない音楽を展開しているバンドの一つが、Ogre You Assholeだろう。

 

デビュー当時はUSインディー、もっといえばModest Mouse的な印象が強かったが、いつの間にか大きく変わり、今ではロックですら無くなっている。

 

その変遷はしばしばゆらゆら帝国にも例えられるが、今に到ればそれも完全に過去だ。

 

今年最新アルバム『あたらしい人』をリリースしたわけだが、彼らを一躍押し上げた3部作の次の『ハンドルを放す前に』の時点でだいぶ具合が変わったが、今作はどこにたどり着くのかもわからないような、音的なというよりは音楽全体が浮遊しているような聴き心地のアルバムになっている。

 

しょっぱなから静かでゆっくりした曲で始まり、歌詞も観念的というか抽象的というか、なんの歌なのかますますわからなくなってくる。

 

正直まだちゃんと聞き込めていないんだけど、掴みどころがないのである。

 

洋楽を聴かない、もしくは聴けないという人のその理由の一つが、どこで盛り上がっていいかわからない、というのがあるらしい。

 

要はわかりやすいサビがないというわけだが、彼らの音楽にもそんなものはない。

 

かと言って洋楽みたいかといえば全然違うのだ。

 

なんなんだこれは。

 

特設サイトまで設置されてインタビューコンテンツなどもたくさんあるんだけど、作った本人たちもまだ掴み切れていないというし、名プロデューサーとして知られる石原さんにも「よくこれで出したよね」などと言われる始末。

 

どうなっているんだ。

 

 

このアルバムのリリース直後に夏の魔物に出演していたので、そこでライブを見られたんだけど、会場のゆるさとは違うゆるさと、しかし絶妙な緊張感あふれるライブであった。

 

これは単独も見たいなと思っていたところ、明日リリースツアーの最終日である。

 

祝日だしよっしゃ!と思ったら、なんとBattlesのライブとドンかぶり。

 

ちょいちょいオウガのライブは別の予定とかぶることがあって、単独は久しく見られていない。

 

彼らのライブはとにかくすごい。

 

ペダルは使うにしても編成はギター、ベース、ドラムの基本フォーマットである。

 

それであれだけの音圧と渦のような音像を作り上げているのが凄まじい。

 

ノイズ系バンドではないし、手数が多いわけでもないんだけど、音の抜き差しのバランスもあってか、気がついたらブワーッと音が渦巻いているんだよ。

 

どう言葉にしたものか難しいんだけど、一見の価値があるライブってのはこういうのをいうんだろうなとつくづく思うわけである。

 

明日はBattlesのライブだけど、音源はしっかり聴きつつ、また咀嚼して行こう。

 

 

ちなみに、冒頭の絵は国民的画家と言われた東山魁夷という人の絵、今日見てきたやつ。

 

色のコントラストがとても綺麗で派手さがあるにも関わらず、どこか静けさをたたえているのはこの人の絵の特徴の一つだろう。

 

オウガの音楽性と実によくリンクしている、わけではなくて、ただ綺麗な絵だったから載せただけだ。

 

強いて共通点を上げるとしたら、いつの間にかその表現の中に引き込まれてしまう魅力に溢れている、ということだろうか。

 

誇るべきはいつだって自分自身だ。

 

 


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