今日久しぶりに靴を買ったのだけど、その際に店員さんの言った言葉が非常に不思議であった。
スニーカーを履いていて、たまには違う靴も履こうと思ってスエードの革靴っぽい奴を買ったのだけど、「お仕事用ですか?普段ばきですか?」「あ、普段ですね」「あ、そうなんですね・・・今履かれているのがスニーカーなので、服に合わせて使い分けしていただくといいですよ!」「・・・」。
まあ、そのつもりで違うタイプの靴を買ったのだけど、何か別な意図があったのだろうか。
その時にふと思い出したのが、以前も同じように不思議なことを言われたことがあったな。
デザインは至ってオーソドックスなスニーカーだが、外側は黒で中がオレンジという配色のものがあったのだけど、その試着をしている時に「このスニーカー、外は黒なんですけど、中はオレンジになってるんですよ」「・・・」。
みたらわかるよ、ていうかそこをみて買ったんだけど、やはり何か別の意図があったのだろうか。
考えてみたら同じ店なんだけど、そのほかの手順もおそらくマニュアルの中に組み込まれているだろう。
サイズを確認、靴について何か一言伝える、手入れについて教える、スプレーの営業をする、といった具合に。
しかし、彼らに別に不快靴の知見があるわけでもないので、さしていくべきことなどないだろう。
ゆえに外見的なところをコメントするという話になるのだけど、だったら言わない方がいいレベルだ。
ちなみに今日のお兄ちゃんの場合、おそらく私がビジネス用に購入しようとしているんだろうと思ったのかもしれない、そこですかさず、これなら普段履きもできるんで、よかった色々合わせてみてください、的な展開を期待したのかもしれない。
リアクション的に「え?(あ、そうなの?)」ていう感じにも受け取れたからな。
そう考えると、私がもう少し素直な顧客であるべきであったかもしれない。
私は気がつけば社会人になり10年以上経っており、ずっと営業職をやっているのだけど、ずっとまともな営業研修も受けてこなかったし、上司もあまり関知しない人が多かったし、何より扱う商材がありふれている中でどう売るかを考えなければいけないものばかりだったので、結果的にいわゆる提案営業というスタイルが当たり前に染み付いている。
もちろんまだまだレベル感としては上げていかないといけないけど、今の会社に入って改めて感じるのは、いわゆる物売りと言われるスタイルとの違いだ。
わかりやすいくらいわかりやすく物売り的なことしかできない奴が結構いて、そういう奴らと話をしていると本当に噛み合わなくてぐったりするのだ。
そもそも考え方として、こういう視点で見るとこうでしょ?だからこういうことを聴いて、そうするとABCいくつか可能性はあるにせよ、それぞれに合わせて話をしないとお客さんからしたらぽかーんじゃない?みたいなことを割とわかりやすい言葉を使って話しているし、聴いているそいつも確かにそうですねと関心したような顔をしている。
にもかかわらず、じゃあこうすればいいでんすね、とつらつらと手順を述べてくるが、違うそうじゃない!ていうかそもそもと言って正したはずの話をなぜ蒸し返すのか!?というやりとりが多くて、疲れてくるのでもう好きにして・・・となってしまう。
今時そういうスタンスじゃないと営業なんてできないだろ、という価値観の中でやってきたので、この噛み合わなさに対する正解が見えずに少し頭を抱えてしまったくらいだ。
いわゆるマニュアル営業という言葉があるが、私も以前営業マニュアルを作ったことがある。
トークスプリプトを整理して、ストーリー立てた展開、そして見せ方にここがポイント、みたいなのをせっせとやっていたんだけど、そういうのを作ると出てくるのがマニュアル営業という批判ね。
でも、そういうこというやつの大半はそもそも全然営業できない、できないと愚痴や言い訳ばっか言うし、人に聞く割に言うことを聞かない。
反対にそうしてアウトプットするしないによらず、できる人は自分なりのマニュアル的なものを持っている。
マニュアルというよりは営業ノウハウをきちんと整理しているという感じかな。
だから、一見天才的なひらめきをずっとかましているように見えてその実めちゃくちゃ考えながら話をしているし、全てにちゃんと説明がつくくらいなのだから舌を巻くことが多い。
やっぱり何事も考えないでやっている奴は成長しない。
そんな私が、ここ数年でみて感動した営業トークを今日は紹介しておこう。
ご存知イギリスの90年代を席巻した元OASISの兄貴、ノエルの来日時のコメントである。
ライブのプロモ的に撮影された映像のようだが、日本語訳も絶妙な素晴らしい仕上がりである。
Noel Gallagher's important message to Japanese fans
まだライブを1回もやっていないのにすでにジャパツアーは成功だと豪語する。
その理由はうまい飯を食ってかっこいい服を買ったからだ。
また最近ファッキンでかい家を買ったという近況報告もありつつしっかり物販をアピール。
ロジックはどこにもないが、彼は情に訴えかけるタイプだ。
挙句作った人にも言及して、思わず筆箱くらいなら買ってしまいたくなる。
ていうか、ノエルのツアーグッズ企画している人は、一体どんなターゲットをイメージして筆箱を選んだのかは謎だが、ともあれこれをみたファンであれば思わず一つや二つはグッズを買って、ファッキンでかい家のローンの助けにしただろう。
もっとも、ノエルクラスならとっくにキャッシュで払っているだろうが。
大切なことは、自分が売りたいんですと訴えることでも、とりあえず何かいうことでもなくて、どうしたら相手がそれほしいと思うかである。
もっと言えば、どうしたらこの人から買いたいと思ってもらえるかだ。
別に営業に限らず、日常的な人間関係も全て同じ理屈であるはずである。
実は営業ができるようになると、日々の暮らしにも役に立つので、是非参考にしてもらえれば幸いです。
余談だが、この動画には続きがあって、そちらは5月病対策を紹介してくれている。
Twitterに掲載されているので、是非チェックしてみてほしい。