音楽放談 pt.2

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優しい呪い -downy

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今日は久しぶりの生ライブ、しかもDownyである。

 

ライブ自体、自粛明け早々に行われたアナログフィッシュのライブ以来、Downyはもう1年以上前だ。

 

また青木裕さんもありし頃で、前作6枚目のリリースツアーだった気がする。

 

彼らのライブにハズレなし、しかし体制が変わって初ライブとなるので、尚更楽しみであった。

 

色々の葛藤があったにしろ、こうしてまたライブが観られるのは、やっぱりファンとしては嬉しいのである。

 

今回は配信もされることになっており、チケットは東京公演でも払い戻し対応化可となっていたが、私はもちろん行ったさ。

 

会場はフルの状態に対して4割程度との発表がなされていた。

 

たしか700か800くらいのキャパなので、300〜350くらいだったのだろうか。

 

床には升目に区切られたテープが貼られており、そこから動かないでね、という感じだったんだけど、そもそも彼らのライブにモッシュとかもないから、全然不自由もなかったですね。

 

 

さて、ライブは最新作の曲を中心に演奏されたわけだけど、とはいえ新旧バランスよく織り交ぜられており、特に旧曲については青木さんのパートは打ち込みに置き換えており、新たに加入したSANNOVAさんも非常にいい感じに馴染んでおり、演奏もバッチリであった。

 

以前よりもよりリズム隊の2人の強度がましている印象もあったし、ロビンもギターにシンセにと忙しく切り替えていた。

 

また、最近はMCも少しだけするようになったんだけど、そこでは裕さんについても話がされた。

 

彼が亡くなる前に3つの約束をしたという。

 

一つは、まさに彼が入院したその日のライブをちゃんとやること、もう一つは映像作品を作ること、そしてもう一つはバンドを続けることだったという。

 

一つ目はすでになされている。

 

2つ目は今日、そしておそらく今月末にも行われる配信ライブで映像作品として残すようなのでそこでなされる。

 

そして3つ目は今この瞬間になされているのだけど、それを「やさしい呪い」と表現したあたりに彼らなりの葛藤もみて取れる思いだ。

 

そのMCの後に演奏されたのはアコースティックにアレンジされた”下弦の月”という曲だったんだけど、「月が観てるさ」という歌詞に彼を重ねたのだろうか。

 

基本的には轟音で複雑な楽曲が特徴にある彼らだが、シンプルになるその音は、歌詞もかなり明瞭に聞き取れる分、そうかこんな曲だったんだな、なんて再発見にもなったりしてね。

 

いずれにせよ、全体にバランスもよくて、わかりやすいロックな曲もドラムをしばきまくるこれぞDownyな曲も、全てが素晴らしかったね。

 

 

今回配信の方では、ライブ終了後に新曲が流されたらしい。

 

会場で観た私にはそれは聴けなかったが、代わりと言ってはなんだが珍しくアンコールで2曲もやってくれた。

 

「本当はいっぱいいっぱいだし、普段は基本的にやらないけど、内緒で」なんていいながらやってくれたんだけど、最後の最後までよかったよ。

 

 

彼らは一度解散して、再結成して今に至るバンドである。

 

解散当時はバンド内の緊張感が高すぎて持たなくなった、みたいな話をしていたが、そこから再結成したのは、純粋に彼らがそのメンバーで鳴らす音楽がやりたかったからだろうし、そこからのアルバムは何もめちゃくちゃいいのである。

 

私は再結成後にファンになったんだけど、そのせいもあって最新アルバムの方が好きだ。

 

その中でキーマンでもあったメンバーの死は、音楽以前に大きな衝撃だったに違いない。

 

実際、そんな気分でもないのにその彼から「ライブやってきて」なんて言われたら、そりゃやるしかないし、彼の言葉の表現にもだからこそ呪いのように響いたのかもしれないけど、それがあったから改めてバンドとして前に進むことができて今があるのだろうし、おそらくその言葉がなかったら、Downyというバンドはもうなくなっていたかもしれない。

 

だからこそ「優しい呪い」だったのだろう。

 

目下最新アルバムもその気持ちの中で作られたアルバムだから、ここで最後の約束を果たすことで次に進むのだろう。

 

ひょっとしたら、この機会を持ってまた停止してしまう可能性はあるかなと思うけど、それは仕方ないだろう。

 

それでも、こうして生ライブを観られたのはファンとしては嬉しいし、できればまだまだかっこいい音楽を世に放ち続けて欲しいものだ。


downy - 下弦の月