音楽放談 pt.2

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幽霊、の気分

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私は平日は仕事が遅くまであり、帰宅が深夜に及ぶことが少なくない。

 

なんとか0時までに最寄り駅まで到着できれば、スーパーもギリギリやっているのでその日の食事にもありつけるが、そうでなければカップ麺をすする、そんな憂き目に遭う。

 

カップ麺、好きなんだけどね。

 

で、最近そのスーパー近辺に非常に気になっていることがある。

 

私がいく時間に必ずと言っていいほど見かける、おじさんかおばさんかよくわかない人がよく店内をうろついているのだ。

 

その人はボサボサの髪にこの世の全てに絶望しているような顔をして、コロコロを引いていつも同じ黒い服をきて店内を闊歩している。

 

かと思ったら、時にはチープなイートインコーナーで何をイートするわけでもなく漠然と座って虚空を眺めていることもある。

 

いつも遅い時間にいくので、生活のサイクルがにているのかもしれないが、どうみても働いている風には見えない。

 

何せその風体ときたら、およそ社会性というものが感じられないのである。

 

それだけではない。

 

休日の夕方、健常な時間においても、その人は私のいく先々に現れるのだ。

 

それだけであれば、ひょっとしたら一日中スーパーで時間を潰している近所の暇人である可能性もまだ否定できない。

 

しかし、先日驚いたのが帰宅時間も1時近くに及んだ日、なんと近所のコンビニで見かけたのだ。

 

この段に至って私はいささか戦慄した。

 

1日中スーパーうろついている説は私の中で一定の妥当性を持っていたが、まさかこんな夜更にまで見かけるとは驚きだった。

 

かと言って、その方はおそらく私のことは認識していないだろうし、なんなら目が合ったことも一度もない。

 

いつもその視線は虚空を彷徨っている。

 

そしていつでも黒ずくめでコロコロを引いている。

 

 

これはひょっとして私の守護霊だろうか。

 

それにしてもみすぼらしい形である。

 

いくらなんでもこいつに守護されるのはいささか心配だ。

 

ただの貧乏神にしか見えない。

 

しかし、たかが人間のごときでも見た目で判断してはいけないと言われる世の中、今時の幽霊もそうしたこだわりは捨てて、自由闊達にしているのかもしれない。

 

あるいは守護霊がその守護大将のある種の写鏡であるとするのであれば、私自身のみすぼらしさの投影とも言え、つまり周りから見れば私も訳もわからず彷徨って、その視線は虚空を捉えた奇妙な存在でしかないのかもしれないのだ。

 

 

確かに最近はろくなものも食っていないし、低級酒を食らっては前後不覚のままとこに着くか、ぐったりするまで仕事をしているかのどちらかだ。

 

服も久しく買っていないし、おしゃれとは程遠いどころか足も臭い。

 

カップ麺を食ってはニコニコしている分際では、守護につく霊もそりゃみすぼらしくもなるだろう。

 

こんなやつを守ったとて大した利益にもならんのだから、とりあえず適当なやつを付けておけ、なにどうせ気づきもしないだろう、と守護霊の中の偉い人も思うに違いない。

 

そもそも守っても守らなくてもそれにすら気づかないような罰当たりの可能性も高いし、だったら捉えずうろうろするしか能のないやつをあてがっておけば良いだろうということである。

 

実際私は初詣にもいかなければ、自社仏閣に行っても手も合わせようとしない。

 

考えてみれば小学生の頃に、3度投げた賽銭を3度とも弾かれるという経験により、私はすっかり神様を信じなくなった。

 

だから守護神ではなく守護霊くらいに留められて、尚且つどこの誰ともしらない、縁もゆかりもない暇なやつをあてがわれて、爾来すっかりパッとしないような暮らしを強いられている可能性は否定できない。

 

 

しかし、これもちょっと視点を変えれば、もし私がもっときらびやかで、誰の目からも充実したような暮らしぶり、さしずめリア充とか言われるような生き様になれば、この守護霊もそれなりにイケイケな感じに変貌を遂げて、おじさんかおばさんかわからない風体がいかにもな女神のご特に変わるかもしれない可能性だってあるかもしれない訳である。

 

多分。

 

こうしてことあるごとに現れては私を不気味がらせるのは、そうして発奮させてやろうという粋な心意気なのだとしたら、つまりそれは私の努力が足りないという何よりの証左なのだろう。

 

実際のところはどうか知らんが、ともあれそんなことで発奮されるほど私は単純ではない。

 

どこまで落ちぶれるのかみてやろうではないか。

 

その恐怖心だけが私を今日まで突き動かしている。

 

だから幸せになれないんだけど。

 

周りから見れば訳のわからない、あるいは見えてすらいないのかもしれないが、生きているほとんどの人がそんなものだろう。

 

私にも見えない人がたくさんだ。

 

同時に彼らにも私は見えていない。

 

それでいいのだ。

 

バカボンか。


幽霊の気分で / In A Phantom Mood (Cornelius Mix) - SAKAMOTO SHINTARO FEAT. FUKO NAKAMURA